Diabetic Cat and Alcoholic Cat

糖尿病猫みぬ(2017年6月30日没)をはじめとする、アメリカに暮らす猫たちの日常の記録です。

血糖値の謎(その3)

2019-12-04 20:00:15 | その他
血糖値の自己測定値と病院での検査値の違いについて調べていたら、こんな興味深い研究をされた方がいらっしゃるのを見つけました。

患者の立場での糖尿病臨床研究
(HP管理者の納先生の許可を得てシェアしております)

特に、こちらで先生ご自身が、ブドウ糖負荷試験を行いつつ、検査室での静脈血のデータと簡易測定による指先からの採血のデータを5回にわたって比較されているのは面白い。

その6) 自己測定値と検査室測定値の異常な乖離!

これによると、空腹時は自己測定の方が低く出るのに対し、食後にはこれが逆転して、自己測定値が高くなり(大きい時では40mg/dL近くの差が出ることも!)、そして食後時間が経ってまた下がってくると、再び自己測定値が低くなる傾向がみられるとのこと。

ということは、食後に簡易測定器で測定した値が140mg/dLを超えていたからと言って、
「やっぱり食後高血糖だわ~」と嘆くのはまだ早いということですね。

つまり、食後に糖が動脈に入ると血糖値が上昇し、それがインスリンの作用で静脈から筋肉に取り込まれる段階で血糖値が少しずつ下降していくのに対し(このため動脈の血糖値は静脈の血糖値より高い)、
食後時間が経って血糖値が下がると、逆に拮抗ホルモンによって糖が筋肉から動脈に取り込まれ、静脈に入るまでに血糖値が上昇していくということらしい(つまり静脈の血糖値の方が動脈の血糖値より高くなる)。

本当に食後高血糖かどうかは、ちゃんとした検査施設で測定してみるべきであり、簡易測定はあくまで目安と考えた方がよさそうです。


更には、こちらで17人のボランティアの方々で、ブドウ糖負荷試験中のインスリンおよび拮抗ホルモン(グルカゴン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、アドレナリン、コルチゾールなど、血糖値を上げるホルモン)の動きを検証されています。

その7) 健康成人17名におけるインスリン拮抗ホルモンの動き

ブドウ糖負荷の前では拮抗ホルモンが優位なのに対し、負荷開始後、血糖値上昇と共にインスリン濃度も上昇すると拮抗ホルモン濃度は下がり、そして時間が経ってインスリン濃度が下がると再び拮抗ホルモンが優位になる傾向が見られます。
血糖上昇に貢献しているホルモンはグルカゴンだけではなく、成長ホルモンだったり、甲状腺ホルモンだったり、どれが大幅に上昇するかは人によって様々な様子。
特に食後数時間後に訪れる血糖値の降下が大きくなると、低血糖発作を防ぐべく、これらの拮抗ホルモン濃度が急上昇し、下がり過ぎないように調整しているようです。

ブドウ糖負荷試験は、前日の夕食以降絶食して、朝食抜きの空腹状態で測定するので、その分試験開始前には特に拮抗ホルモン濃度も高くなっているのかもしれません。
この状態でいきなり糖質を摂取すると、特に糖尿病や予備軍の人なら、血糖値が急上昇してしまいますね。
もし糖尿病が「グルカゴン(およびその他のインスリン拮抗ホルモン)の反乱」であるとするなら、拮抗ホルモンをできるだけ抑えよう、血糖値を乱降下させない工夫も必要なのかもしれません(素人の私みぬままには、具体的にどうすればいいというアドバイスはできませんが)。


ところで、こんな研究も発表されています。
High Endogenous Salivary Amylase Activity Is Associated with Improved Glycemic Homeostasis following Starch Ingestion in Adults(内因性唾液アミラーゼ活性の高さが成人においてデンプン質摂取後の血糖恒常性の改善と関連している)
Abigail L. Mandel, Paul A. S. Breslin
The Journal of Nutrition, Volume 142, Issue 5, May 2012, Pages 853–858

この研究では、唾液中のアミラーゼ(炭水化物分解酵素)濃度が高い人と低い人との二つの群に分け、コーンスターチ液を飲んだ後の血糖値を測定していますが、
アミラーゼ濃度の高い群で、よりよく血糖値が抑制できていたという結論になっています。
唾液中のアミラーゼ濃度は自分の意志で簡単に変えることはできないけど、たとえアミラーゼ濃度が高くなくても、食べ物を口の中でよく噛んで唾液と混ぜ合わせることが血糖値のコントロールにも役立つということでしょうか(あくまで憶測だけど)?

因みに、以前、ヨガの先生から「ミカン瞑想」なるものを習いました。
ゆっくり味わって食べる練習としてお勧めです。
(ミカンが苦手な人は、他の小さな果物一かけや、チョコレート、ミントなどでもできます)

ミカン瞑想
まず、ミカンの皮を剥き、一房だけ口の中に入れます。この段階ではまだ噛まないでください。
ミカンの房の表面が舌、口蓋、歯に触れる感覚、房の形、温度を感じてください。
次に、ミカンの房をゆっくり噛んで、汁が口の中に広がる感覚を味わいましょう。
汁の味は、甘いですか?酸っぱいですか?
舌のどの部分が味を感じていますか?
時間が経つにつれて味はどう変化しましたか?
口の中でミカンの温度はどう変化しましたか?
房が壊れた後の果肉の感覚を舌や口蓋で感じましょう。
そして、ゆっくり噛みながら少しずつ飲み込み、ミカンが口の奥から喉に入っていく感覚を味わいましょう。


実は、私みぬまま、かなり早食いでした。
これからは、意識してゆっくり食べることを心がけます。

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2 コメント

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Unknown (ちーオス君飼育者)
2019-12-05 20:06:07
そうなんですね🎵血糖値急降下させることで
インスリン拮抗ホルモンを大きく活性させる習慣は危険なんですね🎵
よく噛んで食べるとの先人から生活の知恵は正しいですよね🎵🤗
猫科さんと仲良しなんですね☺️
youtu.be/uB5KDIZSkWE
Unknown (みぬまま)
2019-12-06 14:34:45
>ちーオス君飼育者様

実は私は子供の頃食べるのがものすごく遅かったのですが、学校給食で時間内に食べ終わらなければならないというプレッシャーから、早食いの癖がついてしまいました。
良くない習慣ですよね。

またまたほほえましい動画ありがとうございます。
トラとクマが仲良くしているところ、初めて見ました。

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