西日本一の奇勝は山に海食洞門と岩橋が!古羅漢(本耶馬渓) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

《愛媛県梶谷岬の洞門に似たものが山に》

当方はこれまで、四国と関西を中心に様々な奇勝を見て来たが、大分県中津市の「本耶馬渓」(耶馬渓の核心部)エリアにある「古羅漢」(霊場山域の岩山の総称)ほどの奇勝に出会ったことはない。

以前紹介した愛媛県伊方町の梶谷岬にある、四角い海蝕洞門が開く宮殿型岩に似た、それより何倍も巨大な宮殿型岩山が存在するのである。その岬の洞門のような洞門は標高100m弱にあるのだが、その上部は「天人橋」と呼ばれ、自然の岩橋状になっており、中心の洞門の東には、切れ長の洞門も開口している。

更にその天人橋下の岩盤の絶壁には、二棟の簡易堂宇が岩盤にめり込むように建てられており、南北朝時代の石仏群が安置されているのである。

以前、日本一の高所(標高180m)にある徳島県の海食洞群を紹介したが、海岸から遠く離れた内陸部の標高100m前後にただの海食洞ではなく、海食洞門があるというのは、全国的に見ても極めて珍しい。

しかも大きい方の洞門は通り抜けられるコースが存在する。そこへは駐車場(県道684号沿い)から僅か徒歩10分ほど。

洞門を抜けた裏側には磨崖仏(室町時代の毘沙門天)もあり、すぐ近くの屹立する岩塔にも簡単に登ることができる。他にも複数の絶壁に開く岩屋があり、復元された草庵や石仏・五輪塔群が佇んでいる。

小さな切れ長の洞門は絶壁で足場がないため、ザイルがないと通り抜けることはできないが、真下へは行くことができる。大きい方の洞門を抜けて北東に下るとすぐ登攀鎖がある。

そこから斜め上を望むと、岩尾根が鞍部風になっている箇所が見えるから、そこを目指して斜面を上がり、越えると真下に出られる(下の写真)。但し、洞門は木の間越しにしか望めない。

そんな見事な奇勝であり、国道の近くに位置しながらも、古羅漢はこれまであまり全国流通する観光ガイドブック等には取り上げられてこなかった。それが不思議でならない。

が、近年、耶馬渓は「日本遺産」に登録されたことから、古羅漢のような地元県以外ではマイナーだった景勝地にも光が当てられるようになった。故に今後、全国的に有名になってくる可能性はある。

ただ歯がゆく思うのは、この古羅漢を始め、多くの「〇〇耶馬渓」エリアの各奇勝・景勝地を巡るコースを案内した冊子・書籍が存在しない点。自治体ではかつて「耶馬渓66景」なる冊子を発行したようだが、各地に於けるコース図は一部を除き掲載されていない模様。

観光客が欲するのは、各観光地を車で巡るマクロな「周遊コース図」ではなく、現地を徒歩で巡るミクロの「探訪コース図」であることを忘れてはならない。

しかし当方は古羅漢に向かう際、二日で道を5回も間違ってしまった。本当は旅行初日に探訪する予定だったが、本耶馬渓に最も近い高速、田口ICからの道路標識が一切なかったのである。だから八面山への道路や東方の県道に出てしまい、当日行くことができなかった。

旅行最終日も何回も迷った。まず東九州自動車道の上毛スマートICの出口が分からず、また高速に戻ってしまい、離れた福岡県側の豊前ICで降りるはめに。

次は県道102号で本耶馬渓に向かおうとしたところ、目が悪いせいもあり、道路標識を見誤って県道109号を進んでしまった。そしてかなり進んだ所で通行止め看板が。

また引き返して今度は102号を進んだ所、これまた途中で通行止めになっていたからまた引き返すはめに。一体この怒りをどこにぶつけたらいいのか。

これだけ迷ったせいで、もう一ヶ所行く予定だった奇勝に寄ることができなかった。そこにも巨大な岩の橋や岩屋があるのだが、GWにでも訪れたい。

 

今度は中津ICで降りようと思うが、日田中津道路との連結がやや複雑だから、無事降りられるか否か不安。

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