「岳人」10月号の特集~寄稿によせて~ | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<マイナー峰登山論者の当方がメジャー山・三嶺を>

今月発売される「岳人」10月号の特集記事「全国紅葉名山」の四国エリアに於いて、当方が高知県最高峰「三嶺」のコメツツジ群落の紅葉登山記事(見開き4頁カラー)を寄稿した。これは岳人編集部からの依頼によるものである。

 

山と渓谷誌や岳人誌の外部依頼記事は、てっきり著名な山岳会関係者に依頼しているものと思っていただけに意外だった。これは2014年、岳人関連出版事業が中日新聞社からモンベルのグループ会社に変更されたことにより、出版業務の方針が変わったのかも知れない。

かつてマイナー峰登山論者だった当方が、高知県で最もメジャーな山、三嶺の記事を書くことはある意味皮肉なことであるが、メジャー峰の神髄を知らずして、マイナー峰を語ることはできない。そういう意味からも、三嶺の紅葉とコース(名頃を基点とした回遊)の魅力を余すところなく記述した。

 

10月号にはもう一つ「秋を楽しむ週末の山ベストコース」という特集もあるが、二つの特集で紹介された山及び山域に於いて、三嶺以外に四座の登山経験があるため、簡単に触れてみたい。

 

(1)  大台ヶ原(1695m)奈良・三重県

大台ヶ原は当ブログでも簡単に紹介したことがあるが、野生の鹿が生息するイトザサの平原に林立する白骨林が印象的な山。大台ヶ原の標高数値は三重県最高峰・日出ヶ岳のものだが、日出ヶ岳を擁す「東大台」と逆峠展望台を擁す「西大台」を同時に紹介する場合、総称名「大台ヶ原」が使用されることが多い。

西大台回遊コースの南側コースは前半、ナゴヤ谷沿いを行くが、この谷に落差245mを誇る中ノ滝が懸かっている。しかし滝に到る道はない。

 

当方が登ったのは10月上旬か中旬だったと思うが、特に紅葉については印象がない。が、記事の写真を見ると、鮮やかなシロヤシオの紅葉等がある。

(2)  宮指路岳(946m)三重・滋賀県

この山も過去、簡単に紹介したが、これまた紅葉のイメージはなかった。が、誌面の写真を見ると、コース一の展望所「東海展望」付近や稜線に紅葉が多くある。

 

東海展望の一角に当ブログで過去解説した、見る角度によっては浮いて見える大石がある。ただ、その石の写真は記事には添付されていない。

東海展望周辺は奇岩怪石が多いが、そこから望む近くの尾根も荒々しい岩尾根となっている。山頂は展望がないが、コース起点手前に鮎止の滝や小岐須渓谷の両岸が狭まった屛風岩がある。

(3)  摩耶山・兵庫県

この項の執筆者は編集部。摩耶山(702m)は神戸の裏山、六甲山系の中心部の山だが、山頂周辺が車道化・観光地化されていることもあり、当方は登っていない。

 

が、記事の往路コースの一部を以前紹介した、陸軍東山高射砲台跡探訪時の復路として辿ったことがある。砲台跡がある東山(372.6m)の往路の登山口は春日野一号緑地にあるが、ここから東山を経て摩耶山に登るコースを紹介した市販の登山ガイドブックは殆どない。→ヤマレコ記事

記事の往路ではすぐ、布引の滝(滝群の総称)を探勝するようになるが、当方が探訪したのは正月だったものの、谷沿いには紅葉の落ち葉が枯れて積もっていた記憶がある。

 

滝と紅葉のショットは素晴らしいことだろう。尚、最大の滝は「伊勢物語」や「平治物語」にも出て来た雄滝(落差43m)。そんな滝だけに、確か、車道の通っていない遊歩道に風流な茶屋があったように思う。田舎では考えられない、流石大都会・神戸。

(4)  飛鳥・多武峰(610m)奈良県

この項の執筆者も編集部。「多武峰」は山名ではなく山域名だが、一般には談山神社のことを指す場合が多い。記載の標高数値は御破裂山最高所の藤原鎌足陵墓の地。この項は一般的な登山と言うより、史跡巡りウォーキングの色合いが濃い。

 

談山神社周辺には約3,000本の楓の紅葉があるが、神社の象徴でもある世界唯一の木造十三重塔や社殿の朱色と相まって、「紅」が際立つ。

記事のコースは談山神社から御破裂山を往復した後、飛鳥(明日香村)の中心部に向かっているが、当方は岡寺に回った後、中心部に向かった。→ヤマケイオンライン記事

飛鳥は西日本屈指の古代史跡巡りのメッカ故、説明不要とは思うが、誌面でも解説は割愛されている。各天皇や豪族の古墳、独特の表情の仏像を擁す寺院、物の怪のような奇妙な風貌の石像群等、次々と史跡が現れて飽きることはない。

 

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