熊本県の海に続く海床路を14ヶ所発見(机上) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<熊本のウユニ塩湖が長部田以外にも?>

熊本県にも先日触れた山上の浸食洞門が数ヶ所あるが、海岸部の景勝の一つ、海床路に於いては最低14ヶ所(長部田海床路を除く)、机上で確認している。

 

九州以外の方には「海床路」は馴染みがないかも知れないが、その名の通り、海底に続く道のこと。「千と千尋の神隠し」の海原電車の線路になぞらえて、「海に続く道」という者もいる。

熊本県西部の有明海や島原湾は、干満の差が全国一の最大6m程にもなるのだが、この特性を利用し、各湾に面している県では’70年代頃から海底に道路を造成し、貝や海苔の養殖・採集に利用してきたのである。

 

大規模なものでは二車線道路を造成しているものもあり、干潮時には軽トラ等が行き来する。

しかしそんな規模のものや舗装道路のものはごく一部で、大半の海床路は簡易ローラーで海底を均した程度のもの。

そんな各地の海床路の内、最も有名なのが、九州人なら全員周知の2008年、大分麦焼酎 二階堂「消えた足跡編」のテレビCMに登場した全長1kmの長部田海床路(宇土市)。

 

あまり記憶が確かではないが、CMでは満潮寄りの夕景若しくは夜景が映され、海床路は全て海没し、灯りの付いた道沿いの電柱群だけが海上に出ていたのではないかと思う。関東在住者なら千葉県木更津市の江川海岸を想起するであろう。

しかし海床路の風景が最も美しいのは、やや干潮寄りの時間帯。あまり干潮時刻に近過ぎては駄目である。舗装の長部田海床路の場合は潮位が2m前後の時間帯が一番いい。

 

この時間帯は海床路の海側の何割かが海没しているのだが、その光景が恰も「千と千尋の神隠し」の海原電車の線路のようで、本土から離れるに連れて段々路面が海没していく。

 

その上に立つと、ウユニ塩湖の如く、海面を歩いているように見える。まさしく「熊本のウユニ塩湖」である。

シルバーウィークに訪れる予定の地は宇土市ではないが、時間の都合上、14ヶ所の海床路の内、3分の1くらいしか探訪できないであろう。

 

また、地域によって探訪に最適な時間帯も異なるため、丁度の時間帯に行けるか否かも分からない。

今回、熊本を訪れる一番の目的は前述のように、山上の浸食洞門の探索であり、また、それ以外にも訪れたい巨仏や巨木もある。

このシルバーウィーク、洞門や海床路の「収穫」は如何に。

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