話題の『日本国紀』を読んでみた | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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私の父は徴兵検査に甲種合格してから終戦までの12年間で、現役として2年、二度の予備役で3年半、合計5年半の勤めを果たした。その間、朝鮮、中国大陸にも渡っているが、特に日中戦争勃発直後だった中国ではかなり苦しい思いをしたようだ。

戦後の父は戦友と何度も会い、機嫌のいい時には軍歌を口ずさんだりしていた。
勲章もいくつか持っていて、私たち子供に見せる時もあった。
ただ、そのとき軍隊時代の話もしたかもしれないが、まったく覚えていない。

おばあちゃん子だった父が朝鮮で祖母の訃報をうけとって密かに泣いたことや、中国山西省で苦戦したことなどを知ったのは遺品の手帳を読んだからだった。生きている内にもっと聞いておけばよかったが、大人になってから戦争に関して話したことは一度もない。

南京大虐殺、百人斬りといったねつ造暴虐話を信じていたから、とても父に軍隊時代の話を聞く気持ちなど起きなかったのだ。先の大戦を父や母がなぜ太平洋戦争ではなく大東亜戦争と呼ぶのかなど考えもしなかったのである。

そして今回、百田尚樹さんの『日本国紀』を読み、戦後の日本人に刷り込まれた自虐思想がその理由だと改めて認識させられた。

日本国紀  2018/11/12百田 尚樹  (著)



「日本通史の決定版」とうたっているが、百田さんが最も書きたかったのは十一章から十三章(大東亜戦争、敗戦と占領、日本の復興)ではないか。
中でも特に力が入っていると感じるのはGHQの「WGIP」に関する記述だ。

「私たちの歴史はどこから始まるのか、これは簡単なようでなかなか難しいテーマである」で始まる第一章からここまで読んでくると、歴史の専門家でもない筆者がなぜ日本通史に取り組もうと考えたのかが分かる気がする。

「戦争についての罪悪感を、日本人の心に植え付けるための宣伝計画」による影響はいまも深刻な影響を残している。そして、その影響がハッキリしてきたのはGHQなどとっくの昔にいなくなっていた昭和40年代になってからだと筆者は指摘する。

私が子供のころは祝日に日の丸を掲げることは普通のことだった。しかし、それをいつのまにかしなくなったのは私が大人になってからだ。新年の仕事始めで歌われる君が代では声を出さず、社歌の時は大きな声で歌った。

筆者は戦中生まれと戦後すぐ生まれた団塊世代が「WGIP」の影響を受け、彼らが成人して社会に出るようになって自虐思想がゾンビのように復活したと指摘する。わが身を振り返えれば、その指摘は当たっていると思う。

時代を生きてきた親の世代は、急に日本だけが一方的に悪いと言われてもそう簡単には信じない。負けた戦争について語ることは少なくなっても、ごく自然に日の丸を掲げ、子どもの前で教育勅語を暗唱して見せた。

しかし、学校教育やマスコミを通して自虐史観を刷り込まれた世代は、学園闘争に関わる程でなくても日の丸や君が代を遠ざけるようになった。わずか数年の占領時代の影響はその後もいまに至るまで続いている。

このごく短い期間で失ったものの大きさは、この時代に起きたことだけを見ていても感じ取ることは難しい。私たちの祖先が営みのなかで築いてきたものを知らなければ、何を失ったのか分かるはずがないのである。

だから、最も読み応えのあるのは大東亜戦争以降なのだが、それまでの時代も読むのが苦痛でさえあった歴史教科書とは比べ物にならないほど興味深い。中には「おや?」と思う部分もあるが、それは歴史書なら避けて通れないことだ。

本の帯には次のように書かれている。


私たちは何者なのか―――。
神話とともに誕生し、万世一系の天皇を中心に、独自の
発展を遂げてきた、私たちの国・日本。本書は、2000年
以上にわたる国民の歴史と感動にみちた国家の変遷を
「一本の線」でつないだ、壮大なる叙事詩である!


当代一のストーリーテラーが、
平成最後の年に送り出す、
日本通史の決定版!



この本は百田尚樹という極めて優秀なストーリーテラーが、戦後の歪められた言論、報道環境がいまも続いていることに警鐘を鳴らすために、あえて日本通史に取り組んだものだ。
だから、通史とはいえ、人物に焦点を当てた時の面白さが特に際立つ。

これまでの歴史書ではあまり光が当たっていない何人もの人物が取り上げられている。通史だから深いりはしていないが、そのいきいきとした記述を読むと、このうち誰かはいずれ小説の主人公になるのではと思えてくる。

歴史には諸説があるが、氏は限られた紙数のなかで、できるだけ諸説を紹介しながらも、氏の考える「一本の線」でつながる通史を書き上げたのである。そういう意味で、この本は、まさに当代一のストーリーテラーによる壮大な叙事詩と言える。

私は読むのに結構時間がかかったが、それは考えさせられること、興味深いことが多かったからだ。面白さに引き込まれて一気に読むのもいいが、引っかかったことをさらに自分で調べながら読み進めるのもこの本の楽しみかたの一つだろう。

アンチはもちろん、保守層の中にも極めて低い評価を与える人がいる。
中には参考文献が示されていないなどと批判する向きもあるが、この本は学術書でも教科書でもない。叙事詩に出典の記載を求めるなど滑稽ですらある。

ネットではこの本を子供や親に読ませた、読ませたいという人をけっこう見かけるが、老人や子供にこそ読んでほしい本である。また、一部の酷評で読むことをためらっているのであれば、是非手に取ってみることをお勧めしたい。

(以上)
 

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