ルイガノ旅日記

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ロシア 美術館めぐり⑪ ~ モスクワの街並み

2019年04月20日 | 海外旅行
ロシア美術館めぐりの旅もいよいよ終盤。今回はモスクワの街並みを紹介したいと思います。と言っても、歩いたのは赤の広場とクレムリンだけなので、モスクワと言ってもごくごく限定的な風景です (^-^)ゞ


道路の向こうに見えるのは、ロシアを代表するバレエ・オペラ劇場であるボリショイ劇場。1776年が劇場の起源とされていますが、何度か焼失し現在の建物は1856年に再建されたものです。劇場正面の上部に置かれている青銅の像は、四頭立ての馬車に乗った太陽神アポロン。


1812年祖国戦争博物館。ナポレオンのロシア侵攻を阻止した1812年祖国戦争の戦勝200年を記念して、2012年に開館しました。この建物の向こう側(写真では左側)に赤の広場があります。


よくわかりませんでしたが、何かのお祭りが行われていたようです。ちなみに、「赤の広場(クラースナヤ・プローシャチ)」の「クラースナヤ」は、現代ロシア語では「赤い」ですが、古代スラヴ語では「美しい」と言う意味。社会主義を連想させる「赤の広場」ですが、もともとは「美しい広場」を表していた言葉で、社会主義・共産主義の「赤」とは関係ないのだそうです。


赤の広場入口のヴァスクレセンスキー門の手前には、モスクワ・ゼロポイントがあります。東京の日本橋ゼロポイントやパリのポワン・ゼロ(今回火事に見舞われたノートルダム大聖堂前の広場にあります)と同じく距離測定の起点となる場所で、日本語では「道路元標」と言います。


ヴァスクレセンスキー門をくぐると赤の広場に出ます。門を抜けてすぐ左手にあるメルヘンチックな教会は、1612年に建てられたカザンの聖母聖堂。ロシア革命後、宗教を反革命の温床と考えていたスターリンによって破壊されましたが、ソ連崩壊後すぐに再建されました。


1872年、アレクサンドル2世によって設立された国立歴史博物館。こちらの建物は、ヴァスクレセンスキー門を抜けて右側、カザンの聖母聖堂の向かいにあります。


赤の広場のほぼ中央、クレムリン側にあるのは、ロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニンの遺体が安置されているレーニン廟。遺体は、死亡後ただちに特殊な防腐処理(エンバーミング)され、没後95年経った今も一般公開されています。レンガの城壁の向こう側がクレムリンです。


赤の広場、南東の端に建つポクロフスキー聖堂。「ワシリー寺院」と言ったほうが馴染みやすいですね。塔の先端に付けられた玉ねぎ型のドーム(全部で9個)と派手な色使いが印象的なこの寺院は、モンゴルへの戦勝を記念して、1560年にイワン雷帝によって建てられました。完成したワシリー寺院の美しさに感動した雷帝は、二度とこのような建物ができないようにするために、設計者二人の目をくり抜いたと伝えられています。そんな時代に生きていなくて、ほんとによかったです (^-^)ゞ


ワシリー寺院向かいのクレムリンの城壁と、高さ74メートルあるスパスカヤ塔。クレムリンには大小20の尖塔がありますが、スパスカヤ塔を含む5つの塔の先端には、1937年、革命20年を記念して直径3メートルのルビーでできた赤い星が取り付けられました。「スパスカヤ」とは救世主と言う意味で、塔の下は赤の広場とクレムリンを結ぶ「スパスキエ門」となっていることから、クレムリンの塔の中で最も格式の高い塔とされています。


赤の広場の中央、クレムリンの反対側に建つ石造りの重厚な建物はグム百貨店。1893年にショッピング・アーケードとして建てられ、スターリン時代に国に接収されて国営デパートになりました。国民が深刻なモノ不足に喘いでいたソ連時代、「豊かなソ連」を国内外に喧伝する広告塔の役割を担っていたグム百貨店。広場の外ではありえないことですが、夢の百貨店にはありとあらゆる商品が揃っていたため、モノを求めるモスクワ市民が、赤の広場に入りきらないほど列をなしたそうです。


フリータイムは、私たちもグム百貨店でお土産もの探しを・・・・・・。UGGの直営店を見つけてブーツを購入しました。福岡でもロシア出発直前に取扱店を覗いてみたのですが、品数もサイズも少なくて買えなかったんです (^-^)ゞ


グム百貨店の中を見て回っているうちにすっかり暗くなった赤の広場では、ライトアップされたワシリー寺院が、宵闇に美しく浮かびあがっていました。


日が変わって翌日。こちらは赤の広場やクレムリンより少し南側で、プーシキン美術館に近い場所にある救世主キリスト聖堂。1812年祖国戦争の勝利を神に感謝するために建てられたものですが、ロシア革命後の宗教弾圧に際して、他の多くの教会同様スターリンによって破壊されました。ソ連崩壊の2000年にようやく再建を果たし、高さ103メートルという威容がほぼそのまま再現されています。


私たちは、クタフィヤ塔経由でメイン出入り口であるトロイツカヤ塔からクレムリンに入りました。写真は、クタフィヤ塔からトロイツカヤ塔への渡り廊下から南東方向を撮ったもので、城壁の外に見えるのはインフォメーション&チケットセンター、クレムリン内は左から国立クレムリン宮殿(1961年に建てられた比較的新しい建物で、現在はバレエ・オペラ劇場として利用されています)、ポテシュニ・ドヴォレツ(グーグルマップでは博物館と表示されますが詳細は不明)。
クレムリンの中心部は大聖堂広場と呼ばれ、ロシア正教の著名な教会が集中しています。教会内部は撮影禁止なので外観だけになりますが、見た範囲で紹介していきたいと思います。


15世紀後半に建立されたウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)。「生神女」とは正教会で聖母マリアの称号で、「就寝」は「永眠」と言う意味だそうです。したがって、生神女就寝大聖堂とは、聖母マリアの永遠なる安らかな眠りを祈念する教会ということになります。(大聖堂の後ろ、写真右端に写っているのはパトリアーシェ宮殿)


帝政時代は、歴代皇帝の戴冠式やモスクワ総主教の葬儀が営まれたロシア国教の大聖堂で、現代でも、大統領就任式の儀式の一部が行われています。内部の壁や天井、柱などは、すべて美しいフレスコ画とイコンで覆い尽くされていました(撮影禁止のため大聖堂のパンフレットです)。


大聖堂を出るとすぐ裏手にあるリザパラジェーニヤ教会。その奥に見える金色のドームがたくさん突き出しているのは、テレムノイ宮殿です。


ブラゴヴェシチェンスキー聖堂(生神女福音聖堂)も、建立時期は15世紀後半。ウスペンスキー大聖堂からおよそ10年後、イワン大帝(イワン3世)の命により建設されました。金色に輝くドームや三角屋根がきれいな教会で、皇帝、皇后の私的な礼拝に使用されたそうです。


こちらは、大天使アルハンゲル・ミハイルを祀るアルハンゲルスキー大聖堂。イワン大帝の遺命により、16世紀初頭に建てられた教会です。きらびやかな金箔に包まれたクレムリンの大聖堂の中にあって、シックで瀟洒な印象を受けました。


16世紀に建てられたイワン大帝の鐘楼(右側の塔)。1950年代にスターリン様式の高層ビルが建てられるようになるまでの400年間、モスクワで最も高い建物だったそうです。


大クレムリン宮殿。現在は、迎賓館として使われています。


続いて、武器庫とダイヤモンド庫のある建物に向かいました。建築当時は「武器庫」として使われていましたが、ロシアの工芸美術品、戴冠式などで使われた衣装や王冠、玉座、馬車、金・銀器、外国の王室などから贈られた金器・銀器、陶磁器、インペリアル・イースターエッグなど、(主として)ロマノフ王朝の豪華な装飾品の博物館になっています。


ダイヤモンド庫は武器庫の一角で、ダイヤをはじめとする様々な宝石類が展示されています。特に、オルロフ伯爵がエカテリーナ2世に贈った199.6カラットのダイヤモンド「オルロフ」は、世界最大のダイヤとして知られています(武器庫・ダイヤモンド庫とも内部は撮影禁止)。


16世紀に鋳造されたブロンズ製の「大砲の皇帝」。口径890mm、重量は40トンあり、製作当時は世界最大の口径を誇っていました。大砲の前に置かれた丸い玉は、この大砲の砲弾(レプリカ)で重さ1トンもあります。どうやって砲身に詰めたのか興味深いです。
正面の建物は元老院で、現在はロシア連邦大統領府として使われています。大統領がクレムリンにいるときには、丸屋根の上に大統領旗(白青赤のロシア国旗に双頭の鷲の紋章)が掲げられるのだそうです。この日、プーチン大統領はここで執務中だったようです (^-^)ゞ


こちらは18世紀半ばに造られた重量200トンの巨大な鐘で、「鐘の皇帝」と呼ばれています。鋳造中に壊れてしまったので、一度も鳴らされたことはありません。欠けた部分だけでも11トンあるそうです。


初めてのロシアは、いくつもの美術館やロマノフ王朝の宮殿など、見応えのある観光スポットばかり。帰国してから記憶の断片を整理しながら、いろいろ調べなおしてブログアップしていたので、ついつい長くなってしまいました。絵画や観光地については、ロシア旅行記もほぼ終了です。残りは、旅行中や行き帰りの食事などを振り返ってみたいと思っています。

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