マングローブの調査中には色んな漁師さんに出会う。
今回出会ったマングローブガニの漁師。

マングローブの森で発見した珍しい動物では無い。
彼はプロの漁師。カニ漁中。

首まで浸かる難易度マックスの調査地を男性にお任せして待っていると、バイクに乗って現れた。
向こうからすれば『森でたたずむ怪しいやつ』という私。
怪しさを払拭するため、あえて話しかける。

私「カニとってるの?」
仕掛を見て、まずは無難に質問。
漁師「そうだよ。そっちは何してるの?」
やはりな…。怪しいものではありません。
私「植林地の写真撮りに来たの。前にこの向こうでマングローブを植えたんだよ」
漁師「これじゃ行けないよ」(潮が高いから)
私「いいの。他の人が行ったから。
カニ沢山取れる?」


漁師「だいたい9キロくらいかな」
おお!良く見ると、バイクの後ろの仕掛けにはすでにカニたちが挟まっている。
潰されてないか?

私「割と小さいね」
漁師「小さいかな。こんなもんだけどね。これはソフトシェルクラブ用なんだよ。まだ食べない。いけすに離す」
なるほど〜。
ソフトシェルクラブとは、脱皮したてのまだ甲羅の柔らかいカニのこと。甲羅ごと食べられるので、とても高く売れる高級食材。

そして漁師は発泡スチロールの板に乗って、満潮の川を移動しつつ、カニの仕掛を回収する。

なおも大声で呼びかける。
私「このカニ、この辺でとれたの?」
この辺のマングローブはほとんどがオイスカで植えて育ててきた。
もしそうならまさに植林の成果だ!
漁師「そうだよ。全部この辺に仕掛けておいたよ」
やったー!
このカニたち、ここのマングローブの森の子どもたちだよ!
もっと色々聞きたくなったけど、漁師はゆるゆると水上を滑っていく。

あんまり邪魔しちゃダメかな。

漁師「あんた中国人?」
ちがーう!植林してるのは日本人!中国人はあなたのそのカニみたいな高級食材を買い漁る方。
私「違うよ。日本人だよー!」
全力で否定する。

漁師「そうか!」
納得した様子で、カニ回収を続けていた。

漁師のおじさんがカニをとっていたのは「住友化学」さんの支援する植林地一帯でした。
おじさん、カニ沢山とれて良かったね!
マングローブの森、住友化学さん、ありがとう!