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詩人・絵詞作家・内田麟太郎オフィシャルブログ

最上一平 「にんげんクラッシャー、さんじょう!」

2020年02月23日 16時25分07秒 | 日記

 

「にんげんクラッシャー、さんじょう!」 最上一平・作 有田奈央・絵 新日本出版社 1300円+税

 いがらしくんは、登校の途中でまっ赤な柿の落ち葉をひろいます。その葉っぱの軸を持ち、くるくる回しながら歩いて行くと……。
 りゅうせいくんが、ぼんやり立ってなにかを見ていました。その後ろに行くと、三階建ての家を大きなものがバリバリと壊していました。「すげえー……」。いがらしくんも目が離せなくなりました。りゅうせいくんがいいます。「あれ、クラッシャーって いうんだよ」。

 りゅうせいくんは、夏休みが終わったら、おかばやしりゅうせいから、いしだりゅうせいに、名前がかわっていました。お父さんとお母さんが離婚したのです。いしだはお母さんの姓でした。

 いがらしくんが「あの おじさんが 運転しているんだよね」というと、りゅうせいくんは「運転手じゃないよ、オペレーターって いうんだよ」。そして「うちの、おとうさん、オペレーターなんだよ」。
 りゅうせいくんはクラッシャーの姿に、大好きだったお父さんを見ていたのです。登校時間が迫ってきました。「ちこくだ。りゅうせいくん、行こう!」という、いがらしくんに、りゅうせいくんはいいます。「ぼく、きょう、学校、いかないことにする」。

 いがらしくんはいいます。「りゅうせいくんが 行かないんだったら、ぼくも 行かない」。そして文章はこう続きます。
 いがらしくんは、一歩、りゅうせいくんに ちかづいて、クラッシャーを みました。りゅうせいくんを ひとりだけのこして、自分だけ 学校に 行くことは できないかんじがしましと。

 少年の悲しみと、「一歩 ちかづいて」その少年のとなりに立つ、ふたりの物語です。

 

      くもよ

   しょうねんは
  さびしくなるとくもでねむった
  くもは
  やわらかくしょうねんをつつみ

  まちのうえを
  うみのうえを
  ゆっくりととんでくれた

  それからいつも
  そのおかにおろしてくれた
  おかにはおかあさんのおはかがあった

  しょうねんは
  くものないひでもくもとはなせる

 

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
雲と話す (木枯らしモンジャロウ)
2020-02-23 19:49:40
いがらしくん、て7いいなあ!!
ボクも、子どもの頃雲と話していました。あの頃は、ボクも詩人だったのかな??
クラッシャー (ひでちゃん)
2020-02-24 05:27:54
内田麟太郎さま
クラッシャーのいる工事現場の隙間から覗いたことがあります。埃がすごくて、オペレーターの大変さがわかりました。でも、壊す気持ちよさも・・・。
東京より遅れて春一番が吹きました。いやあ、雲の流れの早いこと早いこと。いろいろ飛んでました、ふふ。
いつでも詩人 (内田麟太郎)
2020-02-24 10:21:11
木枯らしモンジャロウさま
 いがらしくん。いいですよね。
 詩を書けば、いつでも詩人!  (^o^)

ひでちゃんさま
 あわいいランジェリーがいいなぁ。

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