Case 1. 突然の頭痛で来院した中年男性 13 その後 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

今回の症例についてはこの記事が最後になります。

 

その後、この男性患者さんがどうなったのか、ということです。

クモ膜下出血後の脳血管攣縮期は無事に乗り切り、さらにその後、クモ膜下出血に併発しやすい水頭症も起こすことなく、

患者さんはリハビリに専念することとなりました。

 

麻痺は上肢のほうが重く、1月が経過するくらいから歩行は可能になりましたが、

手はうまく動かない、そういった状況でした。

 

前脈絡叢動脈自体はその後のMRIなどでも開通が確認している状態でしたが、

脳梗塞の痕はしっかり残っていました。

 

最終的に、リハビリは3か月ほど行われ、

歩行に関してはほぼ問題ないレベルにまで改善することができました。

 

しかし、上肢に関してはやはり思うようにはなかなか動かない状態が続きました。

今後も脳梗塞後半年くらいまでを目安に少しずつ回復は見込まれるものの、

完全に元の状態には戻らないだろうという見通しになりました。

 

幸い、復職は可能で、後遺症を残しはしたものの、社会復帰は可能となりました。

良い結果なのかというと、後遺症が残った以上、そうとも言えません。

治療を受けた本人にはきっと不満もあることでしょう。

発症前には何不自由なかったわけですから。

一方で、クモ膜下出血で社会復帰できたのだから、許してほしい、というのが脳外科医側の心情です。

 

急性期の際の抗血小板剤の使い方など、考えるところも多いケースだったと思います。

 

さて、次回からはまた別のケースについて書き始めたいと思います。

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