拉致被害者事件とメディア | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

昨日はメディアが大村知事リコール運動について、あまり大きく報じないことについて書きました。

こんな新聞できちんと報道されていますよ、というコメントを頂きましたが、

全国区のテレビ放送などでは特に大きく取り上げられてはおらず、知らない方が多いのが現状と思います。

 

森友学園問題や、検察庁法の話題のときのように、

メディアが連日取り上げて話題にしようとしていたのを考えると、対照的です。

 

私は現政権のファンではありませんし、このブログでも医療やコロナ対策ではかなり厳しいことを書いてきたつもりですが、

昨今の大手メディア、特にテレビ局は政権批判に繋がるものは大々的に報道し、

そうでないものは申し訳程度にしか報道しないという傾向があまりに顕著と最近は思います。

 

先日、それを強く感じた件が別にありました。

拉致被害者の横田滋さんが逝去されたことで行われた横田家の会見内容の報道がそれにあたります。

 

テレビ局の報道番組の姿勢が明らかになったのは、横田卓也さんの発言に対する報道です。

 

私が見たニュースの多くでは、会見内に横田家の方々が、

 

「私たち横田家、両親をですね、本当にずっと長い間そばにいて、支援してくださった安倍(晋三)総理、本当に無念だとおっしゃっていただいてます。私たちはこれからも安倍総理とともに、この問題解決を図っていきたいと思っております」

 

と発言した内容を紹介しつつ、

 

「拉致被害者家族は高齢者がいるのが事実ですし、(家族会の)飯塚(繁雄)代表もかなりのお年で健康も芳しくないわけでありますが、本当にこれ以上ですね、同じようなことが起こらないうちに、国会、政権におきましては、具体的な成果を出していただきたいと思っておりますし、本当に、この国内に敵も味方もないはずです」

 

と結んでいる報道が非常に多かったように思います。

これは、NHKを含めた各局のテレビニュースが恣意的な切り貼りをした一例です。

 

この報道を見た人は、

拉致家族の方は総理を頼っている、しかし具体的な成果が出ていないことに苦言も呈している、という印象を持つでしょう。

場合によっては、横田家の方々が政府に対して批判的な意見を持っていると感じた方もいるのではないでしょうか。

 

問題は、

この2つの発言の間にあった横田卓也さんの発言が割愛されて報道されたことです。

 

横田卓也さんは会見の中段から後段で以下の内容を話しています。

 

「また、一番悪いのは北朝鮮であることは間違いないわけですが、この拉致問題が解決しないことに対して、あるやはりジャーナリストやメディアの方々が、安倍総理は何をやっているんだというようなことをおっしゃる方もいます。

 北朝鮮問題が一丁目一番地で考えていたのに、何も動いていないじゃないかというような発言を、ここ2~3日のメディアを私も見て耳にしておりますけれども、安倍政権が問題なんではなくて、40年以上も何もしてこなかった政治家や、「北朝鮮なんて拉致なんかしてるはずないでしょ」と言ってきたメディアがあったから、ここまで安倍総理、安倍政権が苦しんでいるんです。

 安倍総理、安倍政権は動いてやってくださっています。なので、何もやってない方が、政権批判するのは卑怯(ひきょう)だと思います。拉致問題に協力して、さまざまな角度で協力して動いてきた方がおっしゃるならまだわかりますが、ちょっと的を射ていない発言をするのは、これからやめてほしいと思っております」

 これらの発言内容はインターネット上では会見内容の動画と共に拡散され、下記のネット上の記事などでも取り上げられました。

J-cast ニュース 主要紙が取り上げなかった発言

 

 

 この横田卓也さんの発言は非常に重いと私は思いました。

 過去、この拉致問題に対して、大手メディアやそのコメンテーターは小泉訪朝で金正日が拉致を認めるその時まで、

「拉致などない」と報道したり、北朝鮮を擁護する姿勢を示してきたからです。

 

 これまでの経緯や、横田滋さんの死すらも政権批判に用いようとする報道やコメンテーターに対し、

横田卓也さんのこのコメントは強烈な一撃と言えるでしょう。

 

 しかし、大手テレビ局の報道番組はこの部分は報道しませんでした。

またしても、事実を切り貼りして、自分たちの意図に合う内容を報道するということを繰り返しているのです。

 

テレビのニュースはこういった傾向が強すぎます。

インターネットで情報が入ってくる現代、私たちはテレビの情報番組がいかに印象操作を行おうとしているかに気付いてしまいました。

 

こうなってくると、テレビニュースに報道としての価値はないように思います。

twitterなどのSNSでデマが拡散する、ということも事実ですが、一方で真実も拡散されます。

読む人の見識が問われます。

 

一方、テレビなど大手メディアのニュースでは、常に恣意的な情報の切り貼りが行われています。

ある種の政治的な見方に沿った角度付けが為されています。

 

テレビニュースを見る人は、その局が中立であると疑わないのではなく、

いずれかの政治的な視点に偏っていることを意識したほうがよいと思います。

 

アメリカではCNNは左派、FOXは右派など、

テレビ局の姿勢自体が広く知れ渡っています。

 

しかし日本ではそうではありません。

テレビ局は中立で、偏向なく事実を報道していると信じている人がいまだに多いように思います。

 

番組にもよりますが、テレビニュースを見ていて思うのは、

テレビ朝日、TBS、NHKは左派的報道に偏っている印象が強いです。

 

フジや日テレも右派ではないため、テレビのニュースを見ていると全体的に左派的意見やそういった意見を持ったコメンテーターが重用され、主流となっています。

 

唯一、右派的な意見も盛り込まれているのが、テレビではありませんが、産経新聞と夕刊フジです。

 

全体として左寄りのメディアから、北朝鮮や中国などの共産主義国家に対して擁護的な報道が繰り返されてきたことは事実です。

 

反政権、反米である一方、

北朝鮮、中国、あるいは韓国に対し全般的に擁護的なのが現在のテレビニュースと思います。