詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(59)

2019-07-17 09:41:47 | 嵯峨信之/動詞
同行者

* (ある空白について)

鯉とも亀ともつかぬものが心のなかで重く動いていることがある
そのあとにおこる空白の遠さよ--

 「鯉」も「亀」も水中を泳ぐ。「心のなか」は、このとき「水中」だ。そして、鯉の動きも亀の動きも重い。嵯峨のこころは、重いもので満たされている。
 「空白」を「おこる」(起こる)という動詞でとらえているのがおもしろい。「そのあと」の「あと」を手がかりにすると、「空白」は最初から存在するのものではなく、何かが動いたあとで、「おこる」。
 「空白」だから何も書かれていない。何でも書ける。そういう「空白」を「同行者」とするのか。あるいは「空白」を埋めることばを「同行者」とするのか。
 いずれにしろ「同行者」との距離は「遠い」。









*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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