詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(58)

2019-07-16 10:41:20 | 嵯峨信之/動詞
* (秋になると)

海を渡つていつたということだが帰つてこなかつた

 この最終行だけを引用すると「誤解」を与えることになると思う。「秋」が「海を渡つていつた」と。全行を読むと「彼」が海を渡っていった。それきり帰って来ないので、彼に会っていないとわかるのだが。
 しかし、私はあえて「誤読」する。
 人との出会い、離別には、時と場所がある。決定的な別れの場合、その人がいなくなるというだけではなく、いっしょに過ごした「時間」そのものが失われた感じがする。
 もちろん季節はめぐってくるが、めぐってくるからこそ、「あの秋」はもう戻ってこないと強く感じる。








*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

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