田園酔狂曲

なんでも、“　する前　”　が一番楽しい。
例えば、遠足。　或いは、ゴルフや魚釣りの前夜ですネ。
小学生の頃のヒゲ　・・・　遠足となると、勉強しなくてイイと思う。
それだけでも充分嬉しいのに、更なる嬉しさを想像する。
ちょっと歩くと、ごっそう（ご馳走）にありつける！！

大人になったヒゲ　・・・　明日はゴルフ。
クラブを一本ずつ磨きあげながら、妄想する。
一番ティでは、スプーンを使ってフェアウェイをキープ。
気分良くパーでスタートして　・・・　　（笑）
明日は魚釣り。
早朝の魚釣りの時は、小道具の用意をしっかりしながら考えます。
釣れ過ぎた釣果を、ご近所の誰とダレにおすそ分けしようか？
皮算用ばかり膨らむ。　（笑）

ヒゲがクルーズに合意して数日後、船旅の案内パンフレットが届いた。
早速、目を通すヒゲ。
どうせなら、１００％楽しもう！！
先ずは、クルーズ船の構造・設備です。
ふーん、にっぽん丸には、こんなに沢山の娯楽室があるのか。
６Fに、寿司と日本酒バー。
　　　　　　　　　　　　　　　
４Fにカジノが在り、其所にカクテルを配達してくれるショットバー。
　　　　

酔いどれヒゲには、天国みたいなシチュエーションです。
カァちゃんにも、コンサートホールやエステサロンが揃っている。
　　　　　　　　　　　　
更に見ると、なんと温水プールも在る。　昔の河童ヒゲをくすぐる。
何とか、水に入りたい。　ちょっと怖いけど。

それにしても、これだけの設備を、二泊三日の旅程で、全部回れるのか？
四国行きだからってぇ、まるで巡礼お遍路行脚しなくてもよいのだが！？
次に、スケジュール表を、毎日熟読し始める。
すると、かすみが掛かっていた頭の中が、少しずつクリーンに。
ああ行って、こう行って、次々に行程表が浮かび上がります。
まるで、三吉みたいに。　(笑)
　　　🎶　 あの～手　♬　この手の～　思案をむねに　・・・　🎶

そして当日、まるで遠足に行く小学生のように、異常な（！？）早起きをしたヒゲ。
カァちゃんを、叩き起こします。
留守番のニャンコ達に、　「優しいおばちゃんが来てくれるからね。」　と声をかけ、
重いスーツケースを引きずって、迎えのタクシーに乗って出発。
ヒゲには初めての、熊本港を目指します。

見慣れぬ道を通り、港に着くと、案内人が旗を振って誘導してくれます。
ありがたい！
タクシーのドライバーは、通行許可書を見せながら指示を仰いでいるのです。
ところが、何だか、ヒゲ達の思惑とは違う方に誘導されてるような？
実は、ヒゲの様に歩行が困難な者は、乗船口まで車で行ける特別な許可書が出ていたのです。
しかし、一般乗客の許可書との区別が明確ではなく、案内人に徹底されていなかった。
口頭で説明して、やっとこさ、指定の場所にたどり着きました。
やれやれ。
その後は、至れり尽くせりの対応で迎えられます。
タクシーから車椅子（船内用に用意されたものです）に移り、乗船口のタラップへ。
結構高さがある階段に、ためらっているヒゲを、バトラー四人で車椅子ごと乗船させてくれた。
こうして、一日目が始まったので御座います。

　　　　　　　　　　　
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