JUST PLAY-1 フランク・アヴィタビレの『JUST PLAY』(以下『ジャスト・プレイ』)とは国府弘子の『PIANO TAPESTRY』〜『PIANO ANNIVERSARY』〜『PIANO VOICES』の続編となるピアノ・ソロ・アルバムである。

 騙されたと思ってこの順番で『ジャスト・プレイ』を聴いてみてほしい。絶対にそう思えるから!? ← 多分,リリース時期が近いせいでそう思ってしまったのかもしれません。

 そう。管理人にとってフランク・アヴィタビレとは「ミシェル・ペトルチアーニな人」ではなく「国府弘子な人」である。
 国府弘子がPOP寄りから本格ジャズを越えてきたように,フランク・アヴィタビレにもジャズ以外の要素の方が耳に残る。

 これがおフランスのせいなのかは定かではないがクラシックに近い感覚があってアメリカン・ジャズではない。しかし不思議とアルバムを1枚聴き終えた後には「これぞジャズ・ピアノ以外の何物でもない」と思ってしまうのだから素晴らしい。
 ジャズ評論の世界ではこれを「ミシェル・ペトルチアーニ直系」と定義するのだろうか?

 それにしても定番のピアノ・トリオではイマイチなのにソロ・ピアノになると表情が一変するピアニストに共通するのは,ジャズを弾こうとしていないことであろう。
 本人はジャズを弾くではなく,ピアノを弾くでもなく,ただ自分の好きなように音楽を奏でている。イマジネーション豊かな鍵盤音楽の世界にドップリである。

 『ジャスト・プレイ』はジャズの方法論で演奏されている。新しさというよりもオーソドックスな伝統を感じる。フランク・アヴィタビレはゼロからのクリエイターなどではない。
 そう考えると『イン・トラディション〜フランク・アヴィタビレ・デビュー』がハービー・ハンコックっぽく仕上がったことにも合点がいくし『ジャスト・プレイ』での国府弘子にも合点がいく。

JUST PLAY-2 ズバリ,フランク・アヴィタビレの魅力とは「美しいものパッケージング」なジャズ・ピアニスト
 『ジャスト・プレイ』にはフランク・アヴィタビレが体験してきた「美」が全部詰まっている。「美」のピアニズムが持つカタルシスを感じてやまない。

 ところで『ボディ・アンド・ソウル批評の中で,長尺が苦手なフランク・アヴィタビレへの不満をちょっとだけ書いてしまったが,その理由も『ジャスト・プレイ』で回収できたことも記しておく。

 フランク・アヴィタビレが長尺が苦手でないことは11分12秒の【AUGUST IN PARIS】が証明してくれた。1曲の演奏時間が総じて短時間なのは,その曲の美しい部分だけにフォーカスした結果なのだと思っている。

  01. RESONANCE
  02. LITTRE A LOISE
  03. MY ROMANCE
  04. AUGUST IN PARIS
  05. MEMORIES
  06. MAGIC MIRROR
  07. SMILE
  08. MOODY PIANO
  09. MORNING STAR
  10. DREAMLAND
  11. ISOPOD
  12. REAL ADDICT
  13. CORPS & AMES
  14. NATURE BOY
  15. POINCIANA
  16. MEDLEY; MISS LAURENCE〜FACIN'UP〜REVERIE〜LOVERS

(ドレフュス・ジャズ/DREYFUS JAZZ 2005年発売/VACR-2072)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/アルノード・メルリン)

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