めじの音楽日記

めじの音楽日記

クラシック音楽のコンサートの感想などを綴っています。

筆者はクラシック愛好歴40年、年間数十回はコンサートを聴いています。

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31日(土)14時からLa Lyre@茗荷谷で聴いた、
Piano QuintetによるAfternoon Concert の模様です。


【曲目】
サン=サーンス 「動物の謝肉祭」より抜粋(ピアノ五重奏版)
シューベルト  ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.114 「鱒」

【出演】
ピアノ     西室 満美
ヴァイオリン 松本 由梨
ヴィオラ   佐藤 麻衣
チェロ    平井 麻奈美
コントラバス 土屋 知子

ナレーション ダンドイ 舞莉花

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの3人は、もうひとりのメンバー(中村響子さん、ヴィオラ)と共に、昨年「ルピナス・カルテット」という弦楽四重奏団を結成されています。

今日のヴィオラを担当された佐藤さんは、そちらのカルテットでは第2ヴァイオリンを担当されているのですが、この日は持ち替えでの参加でした。

ピアノが入る五重奏というと、ブラームスやドヴォルザークのように弦楽四重奏+ピアノという編成のものもありますが、このシューベルトの曲は、第2ヴァイオリンがなくて、代わりにコントラバスが入る編成です。

コントラバスの演奏を身近で聴く機会というと、私の場合はタンゴやジャズでもあるのですが、クラシックの演奏会では、この「鱒」と、あとはベートーヴェンの七重奏、シューベルトの八重奏という感じでしょうか。

実はなかなか好きなのです!


そして、今日はせっかく「鱒」の編成が集まったということで、前半の動物の謝肉祭も、その編成に編曲したものでの演奏でした。コントラバスの「象」を間近で聴けるたのも楽しかったです。


動物の謝肉祭ではニューヨーク出身で俳優・モデルの ダンドイ 舞莉花さんが素敵なナレーションをして下さいました。

オリジナル書き下ろしのナレーションだったそうですが、俳優さんによるナレーションを間近で楽しむのもいいですね。

このメンバーさん達は、敷居が高いと思ってしまう方も多いクラシック音楽を、もっともっと多くの人に聞いてもらう、という目的を明確にしながら、あくまで「本物志向」である点が素晴らしいと思います。

では。
30日(金)19時から銀座ヤマハホール聴いた、
むかしむかしの素敵なピアノ展。記念コンサートの模様です。

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【出演】

小倉 貴久子(フォルテピアノ)
桐山 建志(ヴァイオリン)
花崎 薫(チェロ)
三宮 正満(オーボエ)
坂本 徹(クラリネット)
塚田 聡(ホルン)
岡本 正之(ファゴット)


【演奏】

A.ヴィヴァルディ/室内協奏曲より
【使用ピアノ】クリストーフォリ(1720年製モデルの復元楽器

L.M. ジュスティーニ/ソナタ 第4番 ホ短調《チェンバロ・ディ・ピアノ・エ・フォルテすなわち、いわゆる小さなハンマー付きチェンバロのためのソナタ集 作品1より》
【使用ピアノ】クリストーフォリ(1720年製モデルの復元楽器

J. ハイドン/イギリス・ソナタ ハ長調
【使用ピアノ】ブロードウッド(1802年頃製)

  **休憩**

W.A. モーツァルト/クラヴィーアとオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットのための五重奏曲変ホ長調 K.452
【使用ピアノ】ワルター(1795年製モデルの復元楽器)

F. メンデルスゾーン/クラヴィーアとヴァイオリン、チェロのための三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49
【使用ピアノ】(伝)グラーフ(1820年頃製)



浜松市楽器博物館の全面的な協力で6台もの特別なフォルテピアノを東京銀座に一か月間設置して催されてきた、素晴らしいイベントのフィナーレを飾るコンサートでした。

ほぼ一か月間にわたって6台のピアノ達は銀座ヤマハの地下2階に設置され、毎日3回づつものミニコンサート(延べ87回も!!)が行なわれてきました。

このミニコンサートは、イベント全体を演奏家側から取りまとめられた小倉貴久子さんご自身をはじめ、羽賀美歩さん(つい先日、世界最高峰のフォルテピアノコンクールであるブルージュコンで3位入賞、ちなみに小倉貴久子さんは同コンクールのアンサンブル部門とフォルテピアノ部門で1位)、川口 成彦さんなどのお弟子さんが出演されました。

私もそのミニコンサートに4回も足を運ばせて頂き、身近にこれらのピアノの美しい音色と素晴らしい演奏、そしてためになり、とても分かりやすい解説に耳を傾けました。

ピアノの発明者、クリストーフォリ(ただしこれはレプリカ)から始まって、6台ものフォルテピアノを世界的なレベルの演奏者の方々で間近で聞かれるチャンスなど、世界的にもみても大変貴重な機会だったと思いますし、日を追うごとに聞きに来ている方々の数も増え、皆さんに新鮮な感動を与えていた様子を共有できたことは、私にとってもとても幸せな一か月間でした。

この晩の演奏会は、そんな特別なイベントのフィナーレを飾るに相応しい、素晴らしいプログラム、素晴らしい演奏家さんたちが勢ぞろいで、終演は21時半近くになるほどの長いプログラムでしたが、聴衆一同、聴き惚れたひと時だったと思います。


イギリス製のブロードウッドで弾かれたハイドンの上品で引き締まった表情、ウィーン製のワルターによる輝かしいモーツァルト、そして重厚さを備えるまでに発展しながらも透明感とのバランスのよいグラーフによるメンデルスゾーン・・・

どれもそれぞれの曲が作られた時代の楽器なのですが、作曲者が本来想定していたサウンドがこんなにも素晴らしいものであったのか、と再認識させられる演奏でした。

フォルテピアノは、20年ほど前までは、時代考証的な目的で使われるもの・・という感じの演奏家、プロデューサーが多く、気難しい音楽愛好家が渋い顔つきで聴くもの?というような時代があったのも事実だと思います。

しかし、こちらの小倉さんを初めとした最近のフォルテピアノ演奏家さん達は、この楽器を愉悦感と美しさに満ちた、とても楽しい音楽である事を再認識させてくれ、これらの楽器が「時代劇を見る」ような楽しさではなく、一つの重要な音楽ジャンルとしてもっともっと楽しまれるべきものであることを、広く知らしめてくれるものでした。

87回のミニイベント、そして今日の素晴らしい〆のコンサート、等々の大成功は、時代に残るイベントだったのではないでしょうか。

古楽愛好家のひとりとして、これ程の喜びはありませんし、微力ながら今後ともこの取り組を応援させて頂きたいです!

会場には、ぶらあぼだけでなく、素晴らしさと美しさのあまり、思わず多くの聴衆さんがため息を漏らしていたのが、強く印象に残りました。

ヨーロッパでコンサートを聞いていて、時々目にする光景ですが、日本では結構珍しいです。

末筆になりますが、素晴らしい管楽器の皆さん、弦楽器の皆さんにも、本当に感激しました。


では。
26日(月)19時から東京文化会館小ホールで聴いた、
クライネス・コンツェルトハウス op.31 の模様です。

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【曲目】
モーツァルト: 行進曲 ニ長調 KV408/2
ハイドン:交響曲 第88番 ト長調「V字」Hob.Ⅰ-88
西澤健一:交響曲第1番(委嘱作品・初演)
 **休憩**
モーツァルト:3つのドイツ舞曲 KV605 より第1番/第2番
同:交響曲第38番 ニ長調 KV504「プラハ」
 **アンコール**
モーツァルト:3つのドイツ舞曲 KV605 より第3番
J.シュトラウス:美しく青きドナウ


【出演】
クライネス・コンツェルトハウス:
三戸素子(Vn)、浜野孝史(Vn)、水村浩司(Vn)、印田千裕(Vn)、塗矢真弥(Vn)、
徳井えま(Vn)、真野謡子(Vn)、磯晃男(Vn)
長谷川弥生(Va)、宇佐美久恵(Va)、柳澤崇史(Va)
小澤洋介(Vc)、宮澤等(Vc)、根津要(Vc)
那須野直裕(Cb)、吉田水子(Cb)
高野成之(Fl)、葛西賀子(Fl)、久壽米木和子(Ob)、関水萌子(Ob)、
早川志保(Fg)、岩本淳子(Fg)、萩原顕彰(Hr)、皆川理恵(Hr)、
班目加奈(Tp)、松原一郎(Tp)、坂本雄希(Timp)



この催しは第31回目を数えるそうで、これまで室内管弦楽団によるプログラムのほか、様々な規模でのアンサンブルの演奏会を行なっています。

主宰の小澤洋介さん(チェロ)とコンサートミストレスの三戸素子さんは、お二人ともザルツブルク・モーツァルテウム音大を出られた方々で、ご夫妻だそうです。

小澤さんは、指揮台の上に斜めに(第2ヴァイオリンの方向に向けて)チェロを置いての弾き振りでした。

ピアニストの弾き振りやヴァイオリニストの弾き振りというのは、時々見ますが、チェリストの弾き振りというのは、初体験でした。

この室内オケ、主宰のお二人が指揮台からのチェロとコンサートミストレスとしてのヴァイオリンを駆使して体を大きく揺すって牽引し、各楽器の方々も自由闊達に演奏するスタイルでした。

古典派の曲たちをそんな感じで演奏するのは、演奏に参加されている皆さんも本当に楽しそうです。

モーツァルトのプラハ交響曲は、繰り返しもしっかり行なって40分近いちからの入った演奏。

一方で、アンコールには同じモーツァルトのドイツ舞曲「そり滑り」をお洒落に演奏するという立体的な趣向もありました。

(ドイツ舞曲ではお休みのヴィオラの皆さんと今日のオリジナル曲を作曲された西澤健一さんが、鈴の演奏で加わったのが面白かったです)

委嘱作品の西澤健一さん作曲の交響曲は、メロディックでどこか懐かしい雰囲気(私見ですが)が漂う聞き易いものでした。

この室内管の主宰のお二人に合わせてチェロやヴァイオリンのソロが散りばめられていました。オーダーメード曲というのも、よく考えればモーツァルトやハイドンの時代によくあった音楽のプレゼンテーションですね!

では。
25日(日)18時半から秩父ミューズパーク音楽堂で聴いた、
ちちぶ国際音楽祭、指導者による室内楽コンサートの模様です。

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【演目と出演者】

モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493
(出演)
アリサ・フジタ(Vn)、ミシェル・ミカラコス(Va),ドンウー・リー(Vc)、多喜 靖美(Pf)

マルティヌー:VnとVcのための二重奏曲 第1番
(出演)
マーカス・プラッチ(Vn)、アンドリュー・マーク(Vc)

**休憩**

シュトルツ:あなただけに歌いましょう(羽山 晃生、テノール)

プッチーニ:「ラ・ボエーム」より「私が街を歩くと」(薗田 真木子、ソプラノ)

ヴェルディ:「ナブッコ」より「ユダヤの神よ」(細岡 雅哉、バリトン)

(以上の共演)
山下 萌(フルート)、アリサ・フジタ(Vn)、ドンウー・リー(Vc)、ベルンハルト・パルツ(Pf)

シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956
(出演)
マーカス・プラッチ(Vn)、ベンジャミン・シュート(Vn),
ペステ・ティクナツ(Va)、谷口 賢記(Vc)、アンドリュー・マーク(Vc)



秩父は池袋から西武線のレッドアロー号で1時間20分しかも片道1,230円という安さ。

ちなみに、ちょっとこんな比較を。。。

・・軽井沢(東京駅から新幹線1時間、5,750円!)

・・山中湖(新宿駅から高速バス2時間半、2,000円)

・・水戸(上野駅からJR特急で1時間15分、2,210円)

東京の人が、ちょっと気分を変えて音楽を楽しもう!と考えた時に、穴場的な場所だと思います。

お蕎麦屋さんも美味しくてお値段控えめだし、スイーツ屋巡りなんてパンフレットもできています。

そして何より、音楽都市として有名なんです。


この音楽祭は昨年から始まった新しいもので、4つの分野から成る大掛かりなもの。


1.ユース&ミューズ<青少年のための教育プログラム>
2.合唱コンクールの開催
3.街中コンサート<ちちぶの街中で開催されるコンサート>
4.オペラ上演


この街は、そこここにスイーツ屋さんや居酒屋さんがあるのが特徴です。

そして小さい街なのに、ピアノを置いてある場所の多さにもビックリさせられます。

街の人達が音楽を愛し、そして音楽をきっかけにネットワークを作るという「習慣」ができているんですね。

そんな現れの一つがこの音楽祭の実現だと思いました。


演奏は、ボストン音楽院の教授陣によるマルティヌーのDuoがなんと言っても素晴らしかったですし、最後の大曲、シューベルトの五重奏も室内楽の講習を基本にしたこの音楽祭の講師さんたちの面目躍如という感じでした。

教材研究やら様々なスタッフワーク等で、講師さん達は毎晩半徹夜のような毎日を送られているそうですが、そんな中での講師演奏会、本当にプロ精神を感じたひと時でした。

では。
24日(土)19時から神楽坂TheGleeで聴いた、
~リラの花の追憶~ セルゲイ・ラフマニノフ生誕140年記念演奏会 の模様です。

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【出演】
秋場 敬浩、手嶋 沙織、加瀬 茉理枝

【オール・ラフマニノフ・プログラム】
前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2(秋場)
リラの花 Op.21-5(作曲者自身によるピアノ編)(加瀬)
ソナタ第1番 ニ短調 Op.28(改訂稿)(加瀬)
**休憩**
コレッリの主題による変奏曲 Op.42(秋場)
ソナタ第2番 変ロ短調 Op.36(改訂稿)(手嶋)


このライブはモスクワ音楽院に留学された経験を持つ3人のピアニストさんの競演によるオール・ラフマニノフ・プログラムでした。

3人とも、ラフマニノフの音楽への強い思い入れが伝わってくる素晴らしい演奏でした。

秋場さんは身長194センチ!!12度のリーチを誇る、まさにラフマニノフの為の恵まれた体をお持ちで、前奏曲嬰ハ短調とコレッリの主題による変奏曲を担当されましたが、鋼鉄のような音で圧倒的な迫力でした。間合いの素晴らしさが、印象に残ります。

手嶋さん加瀬さんはそれぞれ大曲のソナタを担当、こちらの女性お二人も、さすがモスクワ仕込みですね・・・ロシアの大地と極寒の冬の厳しさを体験した方でないと出ないような、そんな音楽だったと思いました。

手嶋さんが、「ロシアの冬を体験するとラフマニノフの気持ちが理解できるようになる」とおっしゃっていましたが、留学先というのは、音楽作りに大きな影響があるのは間違いなさそうです。

その手嶋さんは現在もモスクワ居住、年に何回か日本でも演奏活動をされています。


コンサートの詳しい情報は、こちら。

http://theglee.jp/artist/2013-8-24


では。
23日(金)19時から杉並公会堂(小)で聴いた、
タリア弦楽四重奏団演奏会の模様です。

【出演】
タリア弦楽四重奏団
久保 静(vn.)
青山 英里香(vn.)
池辺 真帆(va)
西牧 佳奈子(vc)


【曲目】
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 Op.12
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 Op.96 「アメリカ」


桐朋出身の女性4人のカルテット、この3月にもお聞きしたチームです。

どの曲もとても丁寧に仕上げてあって、弦楽四重奏の楽しさに満ちていました。

メンデルスゾーンの作品12は、第1ヴァイオリンの久保さんのお好きな曲だそうですが、私も高校生の時にある団体で聴いて以来、大好きな曲で、とてもよかったです。

とても聞き映えのする曲だし、創り込みのし甲斐もあったことでしょう。

聴き手として楽しいだけでなく、演奏者さん自身が、とても楽しんでおられる感じが伝わってきました!

休憩後には、「弦楽四重奏について」ということでトークがあったのですが、これがとてもユニークで、聴衆さんを楽しませていました。

アイネクライネの冒頭を使って、まず各楽器がひとりずつ演奏を、第2ヴァイオリンやヴィオラってこんなことやってたんですね~という感じで、会場からは「ふーん」とか「へぇ」とかいう声が。。。

そして次には、3人ずつの演奏を聞いてみてください。そうすると、各楽器の役割をもっと理解できると思います。。。ということで、

まずチェロなしヴァージョン、そしてヴィオラなし、第2ヴァイオリンなし、最後は第1ヴァイオリンなしヴァージョンという試奏が披露されました。

ヴィオラが如何に大切か、ということを、多くの聴衆さんは実感されたと思います。


コンサートの聴衆層にもよりますが、この演奏会では、比較的一般の方々が多かったこともあって、こういう趣向は大賛成!!

最後のドヴォルザークは、そのヴィオラさんが大活躍する曲でしたが、実に素晴らしかったです!


では。









16日(金)18時半から東京芸術劇場@池袋で聴いた、
読響サマーフェスティバル「三大協奏曲」の様子です。


【出演】
広上 淳一(Cond) 
小林 美樹(Vn) 
ドミトリー・フェイギン(Vc) 
田村 響(Pf) 
読売日本交響楽団


【曲目】
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲 
 **休憩**
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番


コンチェルトが3曲ということで、18時半が開演時間でした。

実は電話購入で置きチケにしていたのですが、手帳には見事に19時!!と書いていたのです。

昨日、出演者さんのFacebook記事で「19時じゃないですよ!気を付けて!」とあって気がつきました。

そんな人いるんじゃないか?って思ったそうですが、まさに図星!!
平日夜のコンサートといえば、普通19時ですからねぇ。

あやうく小林美樹さんのメンコンを聴き逃してしまっていたところでした。。。

しかし・・

単に遅刻したのか、それとも勘違いしたのか、2曲目から入場されるお客さんって多かったです。。。。w


さて、そんな若手のホープ小林美樹さんのメンコン。

いろんな表情が自然に繰り出され、柔らかい出だしの表情から、彫りの深いカデンツァ、そして2楽章は透明感に満ちた美しい歌、3楽章はゴリゴリとした音色も交えたVn協の魅力を存分に楽しませてくれる演奏でした。

彼女は、若いのにまったくナチュラルに器の大きい音楽を作っていて、さすがです。


続いてのチェロのフェイギン氏は東京音大教授で日本語もお得意な中堅奏者さんです。


ドボコンは、やや繊細側に寄った感じの演奏でしたが、弾き慣れた感じでグイグイと進みました。弾いていて気持ち良さそう!という感じでしょうか?

後半のチャイコのP協1番は、再び若手登場。

1986年生まれでザルツブルグ・モーツァルテウム卒の田村響さんです。

プログラムに「巨匠の風格すら漂う若手正統派」とありましたが、アゴーギクを効かせたコンチェルトの演奏は、そんな形容詞を裏付けるものでした。

人によっては、やや粗っぽいと思った人もいたと思いますが、若さゆえのチャレンジなのでしょう。個人的には好感を持って聞きました。


3曲を通して、今日の読響は、とても丁寧な音楽作りになっていたと思います。

広上さんの指揮ぶりを見ていると、響きやフレージングを丁寧に仕上げた感じがとてもよく伝わってきました。特に小林美樹さんとのメンコンでのオケの磨き上げられた美しさがよかったです。


明日(土曜日)14時~横浜みなとみらいで同じ演目のコンサートがあります。

お時間の許す方はお薦めです!


では。
11日(日)19時からサルビアホール@鶴見で聴いた、
廣橋英枝・佐々木洋平デュオコンサート vol. 5の様子です。


【出演】
廣橋 英枝(ソプラノ)
佐々木 洋平(テノール)
齋藤 誠二(ピアノ)
迫間 野百合(ゲスト・ヴァイオリン)

【演目】
第1部 J.S.バッハ
・カンタータ第147番≪心と口と行ないと生活が≫より「イエスは変わらざる我が喜び」
・カンタータ第197番≪神はわれらの避け所≫より「満足と喜び」
・ヨハネ受難曲より「ああ、我が思いよ」
・無伴奏ソナタ第3番BWV1005より「ラルゴ」(ヴァイオリン・ソロ)
・カンタータ第66番≪喜べ、心よ。退け、痛みよ」より「私は暗黒の墓を恐れ」

第2部 お楽しみステージ
・シネマ・パラダイス(ヴァイオリン・助奏つき)
・ひこうき雲

第3部 ヴェルディ≪椿姫≫より抜粋



廣橋さん、佐々木さん、齋藤さんという3人の演奏会は前回から聞かせて頂いていますが、今回は古楽ヴァイオリンと現代ヴァイオリンを駆使される名手、迫間 野百合さんを迎えての豪華Versionでした。

とても音楽的で芸術性が高い演奏家さん達ですが、さらにとても楽しいコンサートであるのが、この企画の特徴です。

バッハから始まったと思えば、いま旬の風立ちぬで使われた「ひこうき雲」が歌われたり、そして後半は解説付きで椿姫の抜粋を演奏会形式で聴けてしまう・・何とも贅沢で、まるで3つの異なるコンサートを一回で聴けてしまったような「お得感」もありました。(終演は21時15分)

音楽のそれぞれに求められる様式感などが混在してしまう面が出て来るけれど、どんな企画をしてもプラスとマイナスがあるのはある意味不可避な訳ですから、勇気を持ってプラス面を前面に出す企画と言うのは、個人的には好感を持っています。


歌の二人の素晴らしい表現力、そして引き出しの多さには、いつもながら脱帽です。

ちなみに廣橋 英枝さんの「ひこうき雲」はYouTubeで聴かれますので、ここに貼っておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=H1wpoJDm_Jk

ちなみに、このコンサートはUStreamで生中継するという試みも行なわれました。


何回もお聞きしている迫間 野百合さんが、こういう柔らか系の楽しい企画でお聞きできるのは、グッド・サプライズでした。

ピアノとの合わせだったので、バッハを現代楽器で演奏されていましたが、彼女の音楽作り、呼吸感、ヴィブラートの掛け方などや古楽のスタイルを混ぜていました。ソロで無伴奏からの楽章を演奏された時には、弓だけ古楽用のものを使われていて、さすがに工夫されているな、という感じです。

継続的に応援させてもらいたい皆さんです!

では。
9日(金)19時から近江楽堂@初台オペラシティーで聴いた、
「流麗と精緻 オブリガート付きカンタータを集めて」と題した演奏会の様子です。

【出演】
カウンターテノール:青木 洋也
フラウト・トラヴェルソ:加納 百合子
ヴァイオリン:迫間 野百合
ヴィオラ・ダ・ガンバ:武澤 秀平
チェンバロ・オルガン:山懸 万里

【演目】
J.ph.Krieger: O Jesu, du mein Leben (Obligat-Violin & Gamba)
G.F.Handel: Mi palpita il cor HWV132 (Obligat-Querflote)
 **休憩**
G.ph.Telemann: Ihr Völker, hört (Obligat-Querflote)
G.ph.Telemann: Erquicktes Herz sei voller Freuden (Obligat-Violine)
D.Buxtehude: Jubilate Domino (Obligat-Gamba)

バッハコレギウムジャパンのカウンターテナーのリーダーとして、また他の各所でも活躍されている青木 洋也さんのソロを素敵な奏者さんたちがオブリガート(助奏)で支えるというナイスなプログラムでした。

近江楽堂という間近で音楽を聞かれる場所の利点をフルに活かした趣向だったと思います。

歌の息づかいに、バロックヴァイオリン、トラヴェルソ、そしてガンバの息づかいが見事に呼応し、それをこれまた絶妙の息づかいのチェンバロ・オルガンで支えるという素晴らしい演奏でした。


今日は出演の皆さんは「若手のホープ」というに相応しい、これからの古楽界を背負って立つ皆さん。

何度もお聞きしている迫間 野百合さん、初めてお聞きしたトラヴェルソの加納 百合子さん、そして普段はチェリストであるガンバ担当の武澤 秀平さん、皆さん素晴らしかったです。

いまや「世界の青木さん」と言って良いのでしょう、カウンターテナーの名手さんの透明で素晴らしい表現力に刺激されて、益々その光を増していたと思います。

では。
2日(金)19時からGALLERY ONDEN@神宮前で聴いた、
会田莉凡ヴァイオリン演奏会の様子です。

【出演】
会田 莉凡(ヴァイオリン)
田中 麻紀(ピアノ)

【演目】
ヘンデル/ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ニ長調
サラサーテ/序奏とタランテラ
ラヴェル/ヴァイオリン・ソナタ ト長調
 **休憩**
ラヴェル/ツィガーヌ
シューマン/ロマンス(1番)
ヴィエニアウスキ/華麗なるポロネーズ 第1番 ニ長調
ショーソン/詩曲
サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ
 **アンコール**
マスネ:タイスの瞑想曲
モンティ:チャルダッシュ


日本音楽コンクール1位、ルーマニア国際音楽コンクール1位などの輝かしい受賞歴を持つ彼女、ソロリサイタルは、意外なことに初めてだったそうです。

彼女、7月はミュージック・マスターズ・コース・ジャパン(略称MMCJ、アラン・ギルバート、大友直人ほかがマスター)と、小澤国際室内楽アカデミーと二つのアカデミーに参加していて、自宅には3日しかいなかったとか。。。

そんなヘヴィなスケジュールが開けた直後に、人生初のソロリサイタルを入れてしまう・・そこのパワーにまず脱帽です。

プログラムは、これまで日本ルーマニア音楽協会のイベントなどでお聞きしてきた彼女のレパートリーのほか、人前で披露するのは初めてという曲もあって、なかなか興味津々・・・

特にラヴェルのソナタに彼女がどのようなアプローチで臨むのか楽しみでした。

この曲、いろんなアプローチが可能で、どれが正解ってことがないように思うのですが、これまで、どんな名手の演奏で聞いても、なんだか曲が勝ってしまっている感じがして、どうもしっくりこなかったのです。会田莉凡さんの演奏は、そんなこれまでの欲求不満を一気に解消してくれました。

特に繊細な表現が要求されながらも、聴衆に音楽を飛ばしてゆかなければならない2楽章、彼女の「骨太風繊細さ」(笑)とも言える演奏は、とても共感しました。

彼女の定番曲も、何だか一つまた階段を昇った感じがあって、アカデミーのハシゴ明けとは思えない体力・気力で全力で駆け抜けるようなリサイタル、本当に素晴らしかったです。

この日の場所は、ギャラリー・オンデンという原宿の裏道にある場所、30人ほどでお聞きするという何とも贅沢な時間でした。

会田莉凡さんとは同門で親友でもいらっしゃる小林美樹さんも聴きに駆けつけておられました。


では。