My daughter | Volare! Oh, oh!!

Volare! Oh, oh!!

賑やかなタイトルとは裏腹に、まったり書いています。

 今週某日、タクシーに乗ったときのこと。

 午前中のアポに遅れそうになり、慌てて乗車。

 ようやくホッとした頃、運転手さんと世間話が始まりました。

 

 

 運転手さんは旅行好きな人。

 時間を上手に使って、色んなところへ行っているみたい。

 先月はタリンとマドリードへ。

 欧州内だと意外にサクっと行けてしまうのよね。

 

 「で、来月はマンチェスターに行くんだ」

 と運転手さん。

 それから続く話に感動してしまいました。

 

 「マンチェスターで初めて"プライド"に参加するんだ。娘と一緒に。ちょっと前まで"息子"だったんだけど、トランスセクシャルなんだよ。なので今は娘」

 

 運転手さん自身はバツ1。

 今は別の方と再婚。

 前の奥さんとは子供が生まれて数年で離婚し、養育権は奥さんに。

 

 けれど、自分の子がトランスだとわかってすぐ、母親は子に勘当を告げたんだそう。

 父である運転手さんは全て受け入れ、子と新たな関係を構築している、と。

 

 朝からホロリとさせられたわ。

 で、ちょっと自分の身の上話もしたの。

 

 自分がゲイだと親にカムアウトしたとき、相当の覚悟が必要だったこと。

 幸い、自分の親は比較的理解が早かったこと。

 けれど、親から他の親族へのカムアウトにはかなりの時間が必要だったこと。

 

 「なるほどね。そんな生き辛さも、息子が娘になるまで知らなかったよ」

 

 と運転手さん。数秒沈黙した後、こう続けました。

 

 「でも、母親にひどい仕打ちを受けても、絶望せずに僕の元に来てくれてよかったよ。息子であろうが娘だろうが、自分の子供であることには変わりない。子供が生きて、幸せでいてくれるだけで僕は幸せなんだよ」

 

 この国もずいぶんと変わったな、と実感しました。

 いつの世も心無いことを言う人はいるもの。

 でも、格段に生きやすい時代になったと思います。

 

 「変わった」と思えるのは、「変えよう」と動いた人たちのおかげ。

 どんなに微力でも自分ができることを...。

 よりよい時代を築く一端を自分も担えたら、と思います。