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衆院解散、今秋にも 消費減税強く否定―自民・甘利氏(時事)

(略) 消費税減税について、甘利氏は「財政に与えるマグニチュードは巨大だ。税率を(再び)上げるのに何十年もかかる」と述べ、財政運営の観点から反対論を展開。同時に「税率が5%になっても次の年にはそれが(国民にとり)当たり前になる。(消費行動に)何の効果があるのか」と述べ、経済対策としての有効性に疑問を呈した。「現金給付した方がインパクトはある」とも指摘した。
 インタビューは18日、衆院議員会館で行った。

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つまり、経済を何も理解していない人が「経済再生担当相」とやらに就いていたわけで、うまく行くはずも無かったのです。もちろん甘利さんに限った話ではないのですが。
まず、「税率を戻すのに時間がかかるから消費減税はダメ」という考え方には、消費税は財政再建に必須だという前提があります。恐らく、この考え方は死ぬまでどうにもなりません。すなわち、現実を直視したり、考えを改めたりする可能性はほぼ無いということです。
この方は一般人の何百万倍という権力を実際に持っているわけですから、つまり実質的に国民を殺し続けたのであり、そして、いま現在も殺し続けています。

以前にも書きましたが、消費税は5%以降の増税分の約半分がクニノシャキーンの返済・PB赤字の圧縮に使われます。社会保障の財源にするのだから我慢せよ、という政治家・マスコミの宣伝は嘘です。
また、政府赤字削減に供された消費税は、文字通りこの世から消滅します。一般家庭の節約には「節約した分を脇に置いておいて後で使う」という意味がありますが、政府は節約せずともノーペナルティでカネを使えるのだから、節約に意味はありません。政府のカネを節約して後で使うとか、税収の範囲内で需要を賄うとかいうのは、人間の勝手な、自縄自縛のルール設定です。
だから言いましたよね、これはゲームの世界でよくある縛りプレイに過ぎないと。自分の趣味でHARDモードにして「うわあこれムズい!!」とか言ってるだけです。ゲームならそれで良いのですが、現実に人が死ぬ経済でHARDモードにするとは愚かにもほどがあります。
そしてもちろん、ここで言う、

>経済に悪影響がある

のは特にデフレの場合(まさに今)です。景気が過熱し、インフレでどうしようもない時期ならば、政府の節約は良い影響を与えるかもしれませんが、今は絶対にそうではない。
それから、

>政府は節約せずともすぐにカネを使える

とは、カネを使う分野に余力がある場合に限ります。例えば運送業界がパンク寸前ならば、さらに何億件の運送を短期間でやれとは言えません。病院が疲弊の極みにあるのならば、新型ウイルスの患者をあと1万人よろしくねーと言うことはできません。いつも言う「いくらカネを出そうと無いものは無い」状態ですね。
このように、カネを出しても政府が破綻しないとの主張は、すなわち無限にカネを出しても問題ないことを示すわけではない。様々な制約はあるのです。当たり前だろ。そう何度も何度も言ってるだろ。打ち出の小づちユーザーには理解できないのでしょうが、この世に魔法は無いのですよ。
「MMTが広まって、ひたすらカネを出しさえすれば全て解決だと主張する単純脳が増えた」という単純な批判がよくありますが、どこから説明したものか、無理解と無能の大海原を前にして途方に暮れるというか、

ハナシニナラネエ

以外の表現が、なかなかできません。まずもって「ひたすら無制限にカネを出せ」などと言ったことは一度も無い。その点は西村博之さんの絶望的な主張への反論を始め、様々な角度で書いてきました。
ともかく甘利さんは、

>数字的に政府の負債を減らす

ことこそが重要なのだ、と考えているわけです。繰り返しますが「こんなの」がかつて経済再生担当相をやっていたのだから、安倍政権の下で経済再生などできるはずも無かったのです。
さらに、

>税率が5%になっても次の年にはそれが(国民にとり)当たり前になる。(消費行動に)何の効果があるのか

というのも凄まじい主張です。
つまりは、


もし増税し乙も・・・

国民どもわ・・・ す<゛慣れゐカ丶ら・・・

ダイジョブだょ・・・!! ☆彡


というお話ですが、感覚的に慣れることと、実際に財布が緩くなることは別です。言うまでもなく、国民一人一人が支出の基準として使うのは「気分」ではなく、オノレの財布の中身、すなわち銀行預金と借金の残高です。
確かに感覚としては慣れるでしょうね。すでに食品以外は10%になっていますが、それなりに心理的な面での負担は減ったという人もいるかもしれません。しかし、それで消費が元に戻っているのならともかく、戻っていないのならば、やはり「慣れれば問題ない」ということにはならんでしょう。

以下は民間最終消費支出(季調後)を並べたものです。ほぼ安倍政権発足以降です。恐ろしいことに、いまに至るも2013年より低い数字なわけで、どう考えても最大の原因の一つが消費税です。コロナのせいとか言わないように。2019年10-12月期にコロナは全く来ていないのでね。そして、駆け込みは除くとしても、2013年の前半にすら遠く及びません。
消費税が5から8%になった後、増税前の水準にようやく戻ったかどうか…という程度に回復したのは3年半も後だったし、もちろんその後も伸びていない。V字回復とかいう恐るべき妄想もありましたが、全く実現していません。
さらに、8から10%になる際は、直前の駆け込み期ですら安倍政権発足年にケがはえた程度の水準でしかありません。悲惨と言って構わないでしょう。
そもそもこれって「現状維持」じゃダメなんですよ。例えばGDPが0.2%成長して「わーいプラス確保だ」とか言ってるから、日本は坂道を転げ落ちているのです。

2013
1Q 289,471.10
2Q 291,783.60
3Q 292,983.60
4Q 292,735.10

2014
1Q 298,944.70
2Q 284,426.70  消費税5→8%
3Q 286,770.60
4Q 287,449.30

2015
1Q 288,645.10
2Q 288,327.90
3Q 289,198.00
4Q 287,115.20

2016
1Q 287,438.90
2Q 285,852.90
3Q 287,381.20
4Q 287,440.50

2017
1Q 289,910.50
2Q 292,002.90
3Q 290,075.00
4Q 291,587.10

2018
1Q 290,508.10
2Q 291,268.20
3Q 290,672.90
4Q 291,884.70

2019
1Q 291,884.00
2Q 293,277.80
3Q 294,475.20
4Q 285,573.80 消費税8→10%(コロナの影響はゼロ)

2020
1Q 283,177.50

繰り返しますが、こうやって必死に払った消費税の多くは「PB赤字の圧縮」に投入され、この世から消滅し、社会保障には使われません。甘利さんが言う、

>「現金給付した方がインパクトはある」

とは、つまり一発限りで終わらせれば「ケチれる」ということです。インパクトなんてのは所詮後付けでしょう。そもそも「ケチれる」が先にあって、その理由として「インパクト」を持ってきただけです。
消費税は未来永劫に渡って愚民からの集金装置として働き続けます。消費税と給付金はそもそも時間軸が異なる。甘利さんは、給付金は消費税を5%下げたのと同じ効果があると言いますが全く違います。実際は「消費税を5%下げて"1年で"元に戻したのと同じ」です。そんな卑怯な比べ方なら、インパクトという点では給付金の方が上でしょう。私もそれは認める。
しかし、消費税を上げるときは経済対策を組みますよね。それは、消費増税に負のインパクトがあることを認めているからこそです。ただし基本的には一回限りです。「今後ずっと集金装置として動くのなら、まあ一発くらいいいか」という、それだけの汚い話。

完全に適切な例ではありませんが、つまりは朝三暮四です。甘利さんが国民をどう見ているのかがよく分かります。所詮は猿ってことです。「先に多めに与えときゃ満足するだろ」という。一発限りなら与えてやってもいい。その代わりとして、永遠に収奪し続ければいいのだから。どうやら「猿はすぐ慣れるから問題ない」とお考えのようですからね。

>税率が5%になっても次の年にはそれが(国民にとり)当たり前になる。

と考えるのなら、

>税率を15%にしても、次の年にはそれが(国民にとり)当たり前になる。

とも考えているのでしょう。その際は、また適当に単発の財政出動でゴマかして増税すればいいと。
こんなものが許されるのは、国民が事実として猿だからです。国民が猿なのであれば、飼い主は平気で朝三暮四をやるでしょう。



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