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日銀短観 リーマン以来の低水準(TBS)

(略)日銀が発表した6月の短観は、「大企業・製造業」の景況感を示す指数が「マイナス34」となり、前回の調査から26ポイント悪化しました。6期連続の悪化で、リーマンショック後の2009年6月の調査以来、11年ぶりの低い水準です。新型コロナウイルスの感染拡大で企業の輸出や生産が停滞し、景気の見方が急速に悪化しました。

 さらに緊急事態宣言に伴う外出自粛により、宿泊や飲食といった「非製造業」の幅広い業種でも景況感が大きく落ち込んでいます。悪化の幅は、リーマンショック時を超えて過去最大です。

 3か月後の先行きについての指数も製造業、非製造業ともに低い水準となっていて、今後、さらに雇用環境が悪くなる懸念が高まっています。

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【ここんとこの業況判断(DI) と 先行き(DI)】
 製造業・大企 -34 -27
 製造業・中堅 -36 -41
 製造業・中小 -45 -47
 非製造・大企 -17 -14
 非製造・中堅 -27 -29
 非製造・中小 -26 -33

というわけで、分かってたこととはいえ凄まじい状態です。
大企業は数か月後の見通しが少しマシになると見込んでいますが、中堅以下はこの先もっと悪くなる方向で予想しているようです。

もう少しだけ細かく見てみます。

まず製造業は「大企業:食料品」(-8)、「大企業:窯業・土石製品」(-8)、「中堅:化学」(-4)などごく一部を除き、まあ幅は大きいものの軒並み大きなマイナスになっています。

一方で、上記の数字を見ただけでは「非製造業はマシじゃないか」と思われそうですが、全くそんなことはありません。軒並み↓だった製造業と異なり、業種ごとのばらつきが非常に大きいからです。
非製造業は中小ですらDIがプラスの業種がそこそこあり、大企業に限れば半数がプラスです。しかし「大企業:運輸・郵便」(-43)、「大企業:対個人サービス」(-70)、「大企業:宿泊・飲食サービス」(-91)などを筆頭に酷い状況もあります。
特にこの-91とは、ざっくり言えば「良い」が4.5%で「悪い」が95.5%という感じですから、ほとんど業界全体として壊滅ということです。もちろん中堅、中小になるとマイナスの業種は増えます。

難しいのが、例えば「大企業:小売」(+2)です。この状況でもプラスかよ!と思ってしまいますが、これも「小売」をさらに細かく分けると様々な濃淡があり、一部の小売はむしろ儲け、また一部は悲惨なことになっているのでしょう。

というわけで、総務省の4月の家計調査を見てみました。前年同月(=2019年4月)比で最も悪化した品目を寄与度で見ています。寄与度とは単に悪化した割合ではなく、全体の悪化にどれだけ「貢献」したかを示します。
例えば100円から50円になるとマイナス50%ですが、金額は50円差でしかないので寄与度は小さいでしょう。10000円から9000円の場合はマイナス10%ですが、額は1000円差なのでそれなりに寄与度は大きくなります。
※当然ながら、寄与度は元々大きな額を消費する品目が上位に固まりやすいので、そういう前提で見る必要はあります。


【寄与度プラス = 1年前より消費が減った品目】
23.0% 食料-外食-「一般外食」
11.8% 教養娯楽-教養娯楽サービス-「パック旅行費」
*9.0% その他の消費支出-交際費-「贈与金」
*8.3% その他の消費支出-交際費-「食料」
*6.6% 教養娯楽-教養娯楽サービス-「他の教養娯楽サービス」
*5.4% 教養娯楽-教養娯楽サービス-「宿泊料」
*4.4% 教養娯楽-教養娯楽サービス-「月謝類」
*4.2% 被覆及び履物-洋服-「婦人用洋服」
*3.8% その他の消費支出-諸雑費-「理美容サービス」
*3.3% その他の消費支出-交際費-「教養娯楽」

以下、「婦人用シャツ・セーター類」「身の回り用品」「自動車等維持」「男子用洋服」「男子用シャツ・セーター類」など

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【寄与度マイナス = 1年前より消費が増えた品目】
▲5.5% 交通・通信-自動車等関係費-「自動車等購入費」
▲3.9% 住居-設備修繕・維持-「設備材料」
▲3.8% 食料-肉類-「生鮮肉」
▲3.8% 食料-野菜・海藻-「生鮮野菜」
▲2.2% その他の消費支出-諸雑費-「他の諸雑費」
▲2.0% 食料-油脂・調味料-「調味料」
▲1.6% 食料-穀類-「麺類」
▲1.2% 食料-乳卵類-「乳製品」
▲0.7% 家具・家事用品-家庭用耐久財-「家事用耐久財」
▲0.7% 食料-穀類-「米」

以下「生鮮魚介」「加工肉」「大豆加工品」「生鮮果物」「他の野菜・海藻加工品」「卵」「他の穀類」「他の飲料」「牛乳」など

※多分合ってると思うけど、公表値ではなく私の手計算なので完全には信用しないでください。(寄与度って公表されてないよね?)

目を引くのは自動車の大幅プラスですが、家計調査は、調査自体の負担が非常に重い(=超面倒くさい)こともあって調査件数をあまり確保できません。2ケタしかない県もかなり多いと思います。
そうすると、たまたま調査対象の家計がバタバタと自動車を購入すると結果が大きく変化することがあります。普段使いするようなものでもその傾向はあり、例えばいくつかの調査家庭が、たまたま同じ月にお客を呼んで餃子パーティー(?)をやるだけで餃子の消費支出は大きく変わります。

それらを勘案した上ではありますが、消費「減」と消費「増」の各項目を眺めてください。
ざっくり言えば、減ったのは旅行と外食と服です。増えたのは圧倒的に食料です。これが非常事態宣言下にあった4月の消費の傾向です。

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話は日銀短観に戻りますが、

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka2006.pdf

この資料のp.10を見ても分かる通り、景況感悪化の全てをコロナのせいにはできません。すでに坂道を転がっていたところに、追撃でコロナが来たのです。追撃、と表現するにはあまりにもデカいのですが…。
そして、そもそもの景気悪化の大きな原因の一つが消費税増税であることは間違いないでしょう。さらにはこの恐慌下で、今日から再増税(キャッシュレス決済の還元終了)がなされました。

今後は、二次補正の予備費をキッチリ使い切ることと、三次補正を早期に組むよう要求することです。上記のとおり業種によって濃淡が強いので、一律給付でなくてもいいから「濃」の部分に集中投下すべきでしょう。



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