映画【天才作家の妻 40年目の真実】 | so what(だから何なんだ)

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一日に数本書いていますので、遡って読んで下さいね。

・・・・・・・っということで、参ったなァ~この映画。


原題は【The Wife】。

出演はグレン・クローズとジョナサン・プライスという演技派の二人。

ノーベル文学賞を受賞した文豪、実は彼の作品は妻がゴーストライターだったというショッキングではあるけれど、シンプルなストーリー。

でも、内容はドロドロですよ。(^_^;)

夫は凡才なのに妻は天才。

夫は浮気性なのに妻は貞淑。

妻の不満は溜まるばかり。

そして、こともあろうか、ノーベル賞授賞式で妻の怒りが頂点に達するのです。

彼女の怒りの正体は何でしょう?

女性蔑視社会への怒り?

支えてきた自分ではなく、夫に光が当たることへの怒り?

もちろん、才能もないのにいい年をして浮気をする夫への怒りが最大でしょう。

しかし、小説を扱っている映画ですから、そんな浅い解釈では失礼でしょう。

たぶん彼女は自分自身に怒っているのです。

彼女は略奪婚の形で夫と夫婦になります。

40年間夫婦生活を続けるのですが、夫は数多くの女性と浮気するものの、離婚するとは言わない。

それは彼女を愛しているからだと言う。

しかし、その愛の本質は彼女の持つ才能に対してであって、彼女なしには名声を得られないからだと彼女は見抜いているのです。

授賞式で、夫は妻をべた褒めする。

彼女はそれを偽善だと捉えるからこそ、怒りが爆発したのです。

自分は子供の養育を投げ打ってまで小説に打ち込んできた。

だが、皮肉なことに彼女が小説の着想を得るのは、夫への怒りをエネルギー源としてきたのも事実です。

彼女が小説を書けたのは、実はボンクラ亭主との夫婦生活抜きには不可能だったのです。

何たる不条理。

それを知っているからこそ、彼女は自分自身に怒っているのです。

全体的に、女性目線で描かれていますが、男性から見ると、夫も相当辛いだろうなぁと同情してしまいます。(^^ゞ

特殊な夫婦を描いているように見えますが、一般の夫婦に共通する問題であることはもちろんです。

静かに進行する映画ですが、見ごたえありますよ。

☆☆☆☆☆