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10/27(土)【速報】第87回日本音楽コンクール本選会《ピアノ部門》優勝:小井土文哉、 2位:竹澤勇人、3位:尼子裕貴、 入選:望月 晶という結果に

2018年10月27日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
第87回 日本音楽コンクール 本選会《ピアノ部門》
THE 87th MUSIC COMPETITION OF JAPAN "PIANO
"

2018年10月27日(土)16:00~ 東京オペラシティコンサートホール S席 1階 4列(2列目)13番 3,150円(会員割引)
指 揮:梅田俊明
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 「第87回日本音楽コンクール本選会《ピアノ部門》」を聴く。今年はスケジュールの都合がついたのでピアノ部門も聴いてみることにした。今年のピアノ部門には229名の応募があり、棄権16名を除く213名が第1予選(9月10日〜14日/トッパンホール)に参加、内47名が通過した。第2予選(9月16日〜18日/トッパンホール)を通過したのは9名。第3予選(9月30日/トッパンホール)で本選に進む4名が選出された。最近ではコンクール世代のピアニストを聴く機会が少ないので、第1予選通過者の段階で知った名前は1人もいなかった。
 席は2列目のソリスト正面(鍵盤側)で、ピアノの音は大き過ぎてオーケストラとのバランスも良くはないが、何しろ演奏している姿が目の前に見えるので、指のタッチや息遣い、指揮者とのアイコンタクトなど、臨場感は抜群である。音質そのものも良くないが、表現しようとしているニュアンスなどはむしろリアルに感じ取ることができるし、残響音やオーケストラの音に飲み込まれる前のナマの音を聴くことができる。審査員席は2階のセンターなので、シューボックス形式の東京オペラシティコンサートホールではステージからかなり遠い。つまり審査員の方々と私とでは、聴いた音楽の「音」がまったく違うものだということなのである。
 それでは、演奏順に簡単にレビューしてみよう。

●竹澤勇人(たけざわゆうと/1997年生まれ/桐朋学園大学音楽学部3年在学中)
【曲目】ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」
 冒頭のカデンツァからとても丁寧に弾いているという感じで、とても端正な印象だ。音量はそれほど大きくはなく、2列目で聴いていても不快感はない。その分だけダイナミックレンジあまり広くないようだ。第1楽章の前半くらいまでは曲の流れに乗るのがややバタついている感じもあり、オーケストラとの掛け合いがスムーズに流れないところもあったような気がする。第2楽章の緩徐楽章はやや単調に流れた。第3楽章になるとやや前のめり気味のリズム感が緊張感を創り出し、躍動感と疾走感が生まれた。

●尼子裕貴(あまこゆうき/1999年生まれ/桐朋学園大学音楽学部1年在学中)
【曲目】チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
 冒頭の3拍子を刻む和音からしっかりとした造型を見せるで押し出しはあまり強くないようだ。音量もおまり大きくはないようだが、弱音部をうまくコントロールしているのでダイナミックレンジは広い。旋律を歌わせるようなテンポの揺らぎや、リズム感のノリの良さもある。また、装飾的なパッセージが煌びやかに際立たせるのも上手い。楽曲が派手なせいもあるが、第1楽章が終わったところで拍手してしまう人がいたくらい。第2楽章のロマンティックな表現も美しい。第3楽章のロンドはリズム感も良く躍動感もあるし、速めのテンポ感が若々しくで素敵だと思った。

●小井土文哉(こいどふみや/1995年生まれ/桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース1年在学中)
【曲目】ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
 後半2人は奇しくも同じ曲になってしまったので演奏の違いが明瞭になったように思う。小井土さんの演奏は、4名の中では年長ということもあり、音楽的なバラツキが少ない完成度の高さを見せた。曲相が多彩に変化する曲だけに、まとまりを欠くと混沌としてしまうが、うまくまとめていたと思う。ただ、目の前での演奏を聴いている限り、音質がやや濁る(あるいは色彩的に渋めというか)印象があり、ラヴェルの曲の持つ色彩感に対して若干の違和感を感じた。とくに第2楽章前半のビアノ・ソロの部分で透明感が欲しいと思った。技巧的にも豊かな表現力も全体的には完成度は高いと思うが、色彩感があまりラヴェルっぽく感じられなかったのである。

●望月 晶(もちづきあき/1999年生まれ/桐朋学園大学音楽学部1年在学中)
【曲目】ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
 一方、望月さんのラヴェルは、まだまだ未完成という雰囲気を残しつつも、色彩感が豊かで、曲全体を鮮やかに彩っていたように思う。いわゆる音の粒立ちが良いというタイプで、音に透明感があり、多様な和音を美しく響かせる。リズム感も全体的にとてもフレッシュな印象で、生命力が息づいている感じだ。第2楽章のソロは、澄んだ音色でロマンティックに歌わせる。単調なリズムと旋律の中、そこには情感が溢れていて、とても人間的だと感じた。聴く者の心に共鳴する優しさのある表現。彼女がラヴェルを選んだ理由が分かるような気がする。第3楽章は一転して多彩で華やか、弾むリズムと躍動。それも音が澄んでいるから非常に爽やかな仕上がりとなっていた。

 4名の演奏を聴いて、上記のような感想を持った。ただ、今回の本選会では、聴いた後でも順位がアタマに浮かんでこない。少なくとも、ずば抜けて優れていると思えるような演奏はなかったように思えた。予選会でのソロもまったく聴いていない状況だから尚更である。私はピアノに関してはそれほど詳しくはないが、協奏曲は好きなのでよく聴いている方だと思う。それでも今日の4名の演奏は、甲乙つけ難いものだった。客観性を少しないがしろにして個人的な好みを反映させて順位を付けてみたのだが、聴衆賞を含めて最終選考結果とはまったく違っていたので、敢えてここに書く必要はないだろう。
 最終結果は下記の通りとなった。

《第87回日本音楽コンクール ピアノ部門本選結果》
  1位 小井土文哉
  2位 竹澤勇人
  3位 尼子裕貴
  入選 望月 晶
  ※岩谷賞(聴衆賞) 尼子裕貴

 結果については、個人的にはやはり不満が残ることになるが、まあ、コチラの方が素人なので文句を言っても始まらない。・・・・うーん。でもなぁ・・・・。

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