太田記念美術館で開催されている『没後160年記念 歌川広重』の後期展示を鑑賞してきました。
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後期展示も基本的な流れは前期と変わりません。風景画だけでなく、美人画や花鳥画など、広重の個性が活かされた佳作が多数展示されていました。
面白かったのは『東都名所 高輪廿六夜待遊興之図』です。二十六夜待ちの賑わいを描いたものですが、思い思いに仮装をした人たちが描かれています。非常に楽しげです。
『六十余州名所図会 信濃 更科田毎月鏡台山』、それぞれの田んぼに映る月が実に鮮やかです。同じモチーフの『本朝名所 信州更科田毎之月』は月に彩られた山並みが幻想的でいいです。
著名な作品ではありますが、『東海道五拾三次之内 庄野 白雨』、改めてみると雨にけぶる木々の揺れ方が巧みで、絵師、彫師、摺師の三者の技術が合わさった、素晴らしい作品です。
広重の作品ではありませんが、最後に展示されていた『蓮台高名大一座』も印象的。安政のコレラで亡くなった多くの著名人を表したもので、広重も入っています。相当な規模の流行だったようですね。
前後期を合わせて、広重の偉大なる画業をたっぷりと堪能させていただきました。