5月の下旬に、東京藝術大学大学美術館で開催されている『藝大コレクション展2019』に足を運んできました。

 

 

“美校”(東京美術学校)時代以来、積極的に古美術や近代美術作品を蒐集してきたという藝大。幾多の学生が優品、名品を間近に活用してきたことでしょう。

 

そんな同大学のコレクションは、古美術、絵画、彫刻、工芸、デザイン、建築、考古、写真、音楽資料まで多彩なジャンルにまたがり、実に約3万件を数えるそうです。今回のコレクション展でも、日本の近代美術史の一端を占める作品が展示されていました。

参考:藝大コレクション展2018

特集展示は『イギリスに学んだ画家たち』『起立工商会社工芸図案』『東京美術学校日本画家の風景画』。『イギリスに学んだ~』では、日本から留学した若き画家たちによる、当地で学んだ成果としての作品が展示されていました。

 

『起立工商会社~』では、日本の工芸美術作品を海外へ輸出するために設立された起立工商会社による、“図案”に焦点を絞った展示です。著名な工芸家のうち、多くは会社の解散後も美校で教官となるなど、縁が深かったようですね。

『東京美術学校~』は、学生の卒業制作による作品が多数展示されていました。上野の地をモチーフに選んだ作品も多く、各々の学びの成果と表現の追求により、バラエティに富んだ展示となっていましたね。

 

個人的には、遠藤教三の『斜陽』における、村落の陰影の表現が印象的でしたね。模倣する学生が相次いだそうです。

 

西洋画や日本画の名品もあわせて展示されていましたが、その中では下村観山の『風』が素晴らしかったです。木々の濃淡、舞う木の葉、と一瞬の突風を日本画で見事に表現しています。

 

さすがに美術教育の総本山だけあって、コレクション展も非常に充実していますね。

 


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