東京藝術大学大学美術館で開催されている、『円山応挙から近代京都画壇へ』(前期展示)を鑑賞してきました。

 

 

江戸中期に、京都で丸山派を確立するなど大きな功績を残した円山応挙。本展では、応挙の弟子や呉春ら薫陶を得たのちの画家たちの活躍や、円山・四条派の流れを受けた後世の京都画壇の画家たちの作品を並べ、その影響力を紹介するというものです。

 

応挙の作品はもちろん、その高弟として知られる長沢芦雪、さらには岸駒や岸竹堂、幸野楳嶺、森徹山、さらには竹内栖鳳や山元春挙、今尾景年、上村松園など、展示された作品の画家はそうそうたる顔ぶれ。応挙の偉大さを感じさせてくれます。まさしく近世以降の日本美術史に欠かせない人たちばかりで、ぜいたくな展覧会でした。

 

最も印象に残ったのは、呉春の『四季耕作図』です。出てくる人物がどことなく漫画チックで、楽し気な感じです。逆に『山中採薬図』は劇画的で、こちらもインパクトを感じました。また芦雪の『大原女図』も、江戸期の作品という感じはしませんでした。比較的近大の美人画という感じで、斬新です。

 

藝大美術館としては、3階と地下2階の展示室を目いっぱい使用した、かなり大掛かりな展示でした。それだけ、力を入れているということでしょう。

 

8月下旬、今にも雨が降りそうな天候でしたが、お客さんの姿も多く、江戸美術愛好家を中心に熱心に作品に見入る姿が広がっていました。藝大らしく、なかなか興味深い展覧会でした。

 


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