■なぜ、韓国人は食堂のオバサンを「イモ(母の姉妹)」と呼ぶのか? | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

中学で卓球部だという姪っ子の息子(手前)と卓球をする我が息子。今回の思い出の一場面です。

 

 

すでに妻の姪っ子と子供たちは我が家を去り、母親である妻のお姉さん夫婦の家に行ってしまいました。我が家の子供たちは2人とも家にいるのに、突然、家の中が静かになって、寂しくてしょうがなくなってしまいましたね。家族皆で寂しがっています。でも、今は義姉の家が楽しい天国のようになっているのだろうなあと思えば、長く引き止めていたことが申し訳なくもあり、何よりもこのように親戚づきあいが深い韓国の文化に感謝するばかりのひとときですね。ヾ(≧∇≦)〃♪

 

●「コモはイモにはなれない」という韓国文化

 

私たちの日本では、親戚の呼び方は皆、「○○オジサン」と「○○オバサン」ですみますが、韓国は数かぎりない関係上の呼称があります。たとえば、日本語の「オジサン」に該当する言葉は、思いつくだけでも、큰아버지, 작은아버지, 삼촌, 외삼촌, 처삼촌, 외숙, 백부, 숙부, 처백부, 처숙부, 외백부, 외숙부, 고모부, 이모부, 당숙, 재당숙, 외당숙, 처당숙, 종숙, 재종숙, 외종숙, 처종숙, 아저씨…となってかぎりがありません。

 

それは、親戚同士が近くて出会う機会が多いというだけではなくて、実際にその関係性によって情も違うため、それを区別する言葉が必要なわけです。つまり、年の上下で情の違いをほぼ感じない英語では、兄も弟も「ブラザー」ですますけれど、日本では「お兄ちゃん」と「弟」の区別が必須であるのと同じような理由です。そのように区別して呼ぶ理由は、実際にそこに表現されるべき情の世界があるからなわけです。韓国の家庭ドラマでも、邦訳される前の原語はそのような多様な呼称で呼んでいるのですが、間違いなく、原語が持つその世界ゆえに表現される情の世界が存在しているわけです。

 

たとえば、私たちは母の姉妹と父の姉妹は、同じ「オバサン」ですむし、区別するにも「○○オバサン」と名前をつければすむとだけ思いますが、韓国では前者は「イモ」であり、後者は「コモ」です。韓国では、「イモ」は母の姉妹なので、母に類する愛情をくれる存在である上に、母とは違って教育的なことをいわないために、むしろ母以上に甘い存在なわけです。いっぽうの「コモ」のほうは父の姉妹なので父に類し、父方としての家門の厳しさが感じられて無条件的ではない、むしろ厳しさの混じる存在になります。

 

それで韓国では食堂のオバサンを呼ぶ時には、他人として「アジュンマ」とはいわずに、あえて「イモ」と呼ぶわけです。オバサンも「イモ」と呼ばれれば、「イモ」の情が生まれるので、おかずを一品多くくれざるを得ない、そういうことを期待してのことなわけですね。この違いは私たちが感じている以上に明確であって、たとえば、韓国人が「コモ」に寂しさを感じた時にいう、「コモはイモにはなれない」という言葉があるくらいです。

 

●「イモ」と「イモブ」だから感じられる世界!

 

ということで、何がいいたいのかというと、今回の姪っ子が私たちの家に泊まったのも、またぜんぜん遠慮せずにずっと長くいてくれたのも、あるいは私たち家族がそれをぜんぜん迷惑だと感じないのも、その背景には、我が妻が彼女の「イモ」であり、私がその夫の「イモブ」であるからだという韓国の情の世界があるからなわけです。私たちも「イモ」、「イモブ」と呼ばれると、自然に何でも無条件にしてあげたくなるし、実際にある面で母親以上に甘えられるがゆえに、姪っ子はうちにこんなに長くいてくれたわけです。

 

さらにいうと、正確な呼称では、姪の子らにとって我が妻は「ウェウェジョニモ(외외존이모)」(ちなみに私は「ウェウェジョニモブ」、我が息子は「イジョンダンスク」が正式)です。姪っ子が子供に呼ばせている「イモ・ハルモニ」は、正確には父親の「イモ」だけをいう言葉なのですが、このくらいの関係になると正確さよりも情のほうが優先で、姪っ子は自分の「イモ」なのだということを強調して、あえて「イモ・ハルモニ」と呼ばせているわけですよね。それは「イモ」の持つ無条件の情が私たちを結んでいるからなわけです。
 

以上、何のこっちゃという、なかなか分かりにくい話になっているかもしれませんが、実際、私が韓国文化の最も重要な核心と感じているのがこのような世界なのでした。すなわち、このようにして、夏休みにもただ単に子供たちの「ウェハラボジ(母方の祖父)」、「ウェハルモニ(母方の祖母)」の家に遊びに来るだけじゃなくて、「イモ」と「イモブ」のほうまでも、それに準ずる、あるいはそれ以上の豊かな情を感じさせてくれ、一緒に「親孝行」してくれるという姪っ子の家族と、それを可能にしている韓国の文化にかぎりない感謝を捧げるという話ですね!ありがとう姪っ子の家族!♪ヽ(´▽`)/

 

 

今回の思い出の一場面。皆で妻の作った日本式カレーライスを食べています。カレーは日本です!

 

 

もちろん韓国料理も食べました。子供たちに人気だった「マンドゥグク」です。

 

 

牛スープによる水餃子ですよね。

 

 

日本の家ではあまりキムチを食べないそうですが、うちではしっかり食べていました。ヾ(≧∇≦)〃♪

 

 

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