数値は読み方によって微妙になる。
11日の中医協では2018年7月1日の施設基準の届出状況の報告があった。
それによると保険薬局としての届出は57,570軒のようだ。
その中で「調剤基本料1」の算定薬局は48,462軒もある。
全体の84.1%になる。
これが健保連から言わせると「門前以外を想定した薬局」となるようだ。
国が地域包括ケアに期待する薬局としての「地域支援体制加算」を算定している薬局数は15,382軒と、「調剤基本料1」の31.7%にしかならない。
はっきり言って「調剤基本料1」の算定薬局にとって「地域支援体制加算」の算定は難しくはない。
私が確認した限りでは、算定しない理由の多くは「今のままでいい」だった。
今のままでいいとは、今のままでも十分生活ができる事を意味している。
そのために在宅などやりたくないが理由の多くを占めた。
実はここに大きな問題がある。
昨年、厚生科学審議会で議論された内容に、在宅をしなくても利益が出る仕組みに問題があるとしていた。
その根源として「調剤基本料」「調剤料」などの処方箋の受付だけで算定可能な報酬があった。
因みに、この中に「薬剤服用歴管理指導料」も含まれている。
国がやって欲しいことと、現場がやりたくないことのギャップがここにある。
その結果が31.7%になる。
それを裏付けるように「在宅患者訪問薬剤管理指導料」の施設基準は50,319軒とほとんどの薬局が届け出ている。
ところが「在宅患者調剤加算」の届出は15,742軒しかない。
こちらも31.3%に満たない。
偶然にも「地域支援体制加算」に重なる。
「在宅患者調剤加算」の算定要件は「直近1年間の在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数が、合算して計10回以上であること」である。
10回以上ないと在宅をやっているとは言えない。
ということは、”やるやるお化け”みたいなもので、やる気はないが施設基準にあるので届け出だけは確保したってことじゃないだろうか。
また、「かかりつけ薬剤師指導料」に関しても30,981軒の届出がある。
にもかかわらず実際の算定回数は1.5%しかない。
これでは批判されても仕方がない。
数字的には少ないが大手調剤チェーンはかなり取り組んでいると思われる。
何と言っても、これらの取組が生き残りの鍵を握っていると分かっている。
ところが、ところである。
これでいいのか?