流通改善になるのだろうか。
昨年の薬価改定で薬局を含めた医療機関が苦戦を強いられたのが価格交渉だった。
医薬品卸は珍しく「流通改善ガイドライン」を掲げて、なかなか価格交渉に応じなかった。
応じないと言うより、どう対処していいか他の様子を見ていたといった方がいいのかもしれない。
高い価格を出すと取引がなくなるかもしれない。
安い価格を出すと他の医薬品卸から非難を浴びる。
このお互いの牽制が功を成したせいか価格提示は未妥結減算の期限ぎりぎりとなる。
この時期に価格が出ても再交渉する余裕などない。
中小薬局には単品単価交渉が出来るデータがない。
レセコンからのデータは使用量くらいは出るかもしれないが、それ以上ではない。
単品単価交渉などしている時間などない。
経営者は現場に立っている。
空いた時間は薬歴への記載が待っている。
そもそも薬価には既に消費税が含まれている。
薬価から本体薬価を計算している暇はない。
要は価格交渉が成り立たない。
今回の医薬品卸の対応は大きな間違いがあったように思う。
それは自らが使用している会社へのボリュームディスカウントは仕方がないが、寄せ集めの価格交渉への配慮は無用だったのではないだろうか。
中小薬局が少しでも安く仕入れたいために「共同交渉」になだれ込む可能性が高い。
既に、今までは年間200軒くらいの加盟が2018年度は1,000軒を超える勢いだそうだ。
この流れは止まらない。
そして、一度足を踏み入れたら元には戻れないと思う。
今年は2度の価格交渉が必要になる。
もう忘れたかもしれないが4月から9月までの価格交渉が、4月からの「調剤基本料」の未妥結減算に係わってくる。
10月には消費増税による薬価改定の価格交渉が必要になる。
中小薬局には医薬品卸と交渉できる術がない。
これがまたはずみになる。
医薬品卸はどう立ち向かうのか。
何が流通改善になるのか。
共同交渉の医薬品卸へのメリットを以下に掲げている。
1つは支払いサイトが通常3ヶ月だが2ヶ月に短縮できる。
2つ目は9割以上がオンライン発注になり業務効率化につながる
3つ目は通常の配送回数(ダイヤグラム配送)を超える急配の禁止。
この3つ目を加盟薬局に強いるのは難しい。
価格交渉も他人任せなのに在庫管理がきちんとできるとは思えない。
ここは至急配送に対する配送料の設定が必要なだけだ。
さらに問題なのは倒産に対するリスク管理がない。
医薬品卸はどう立ち向かうのか。
頑張れば頑張るほどなだれていく。
これだけの規模になったことで、当局も問題視し始めたと聞いておりますし、各メーカーも動き始めていますので、業界然として容認できない状況になると思います。恐らくそれほど長く続かないでしょう。交渉を一度他に任せると、いざ止めたときに交渉のノウハウがなくなってしまいます。結局、最終的にはM&Aで子会社にされてしまいます。おいしい話には何かあると思ったほうが良いと思います。
メーカーは薬価が下がることを懸念しだしています。
私が危惧するところは「調剤基本料」に影響しないかどうかです。
厚生労働省がどう見るのかで大きく変わります。
「共同交渉」を40万回の適用に入れちゃうとアウトです。
国は医療費抑制なら何でもやります。
共同購入グループに入ることで、一次的に薬価差を手に入れて安穏とされている経営者も多くいます。
そんなに甘い話が続くはずがないのに、これで当分安泰と思ってしまっており、その間にゆでガエル状態になっています。
この先永遠とこのような仕組みが持続するはずがなく、突然値段も上がり、基本料も下がるという事態が発生する可能性が高く、その時に急に慌ててもすでに経営の大事なところを依存しているため、どうにもなりません。
結局、M&Aで傘下に入らざるを得なくなるというシナリオが見えます。
まさに、それを狙った仕組みであるわけですが。
さて、共同購入の件は”どうにも止まらない”です。
そして”やめられない、とまらない”かもしれませんね。
医薬品卸がどう立ち回るかだと思います。
もちろん厚生労働省がどう考えるかも大きいですね。
もし「調剤基本料」に影響するとなると、かなり大変なことになります。