医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

パットナークナル制度

2019-04-20 05:12:06 | 薬局

ひとつの事象から何が起こるかを考える。

 

4月2日の出された課長通知にはかなりのインパクトを感じている。

薬剤師以外の者が行う調剤業務に関して、既に「パートナー制度」に群がる会社も多いと聞いている。

何をしていいのか分からない時に人は“藁にもすがる”という。

でも、それって「調剤料」に引き下げを助長しそうな気もする。

薬剤師以外の者が行える調剤業務は、現状の「調剤料」の是非につながることを認識しているのだろうか。

調剤技術料全体に含まれる「調剤料」の割合は3割から4割強もある。

これが3分の2になったらどうなる。

「調剤料」は薬局経営にとっての”諸刃の剣“である。

 

ドラッグストアが大歓迎と喜んでいる。

あるドラッグストアの経営者は、薬剤師以外の人が調剤をやることで人件費の15%低下が可能で、その分を在宅業務にシフトできるとしている。

薬のお届け時に物販の販売も可能になる。

“一石二鳥“と微笑んでいる。

また、処方箋を扱っていなかったドラッグストアが、東京都内に実験店を6月から開始する。

決算報告で「時期が来たら参入する」と語っていた。

となると「時期が来た」ってことになる。

この時期とは中小薬局が廃業して、処方箋が面に流れることを示していたのではないかと思われる。

では、なぜ中小薬局が危機に見舞われるのか。

それが「調剤料」の引き下げではないのか。

 

ドラッグストアだけじゃない。

大手調剤チェーンにとっても薬剤師の人件費が削減できることは大歓迎だ。

コストで最も大きいのは薬剤師の人件費だからである。

削減ってことは少なくて済むってことになる。

要は、薬剤師の過剰とは言わないが余る可能性がある。

今までは、薬剤師は居れば良かった存在から使える薬剤師が選ばれる時代を迎える。

使えるとは調剤業務を薬剤師以外の者に上手に振り分けて管理ができる。

患者とのコミュニケーションが上手で「かかりつけ薬剤師指導料」の算定が出来る。

医師との関係性に長けていて処方提案がスムーズに出来る。

在宅業務に積極的でケアマネジャーとも連携が出来る。

などなどが評価ポイントになるかもしれない。

 

薬剤師以外の者の調剤業務は薬剤師の過剰時代を招く可能性を秘めている。

にもかかわらず、薬学系の大学は増えている。

院内と院外の価格差の原因となっている「調剤料」の引き下げが始まるきっかけを与えてしまった。

棚から錠剤を取ってきて報酬がもらえることに疑問が生じる。

ドラッグストアが処方箋調剤に安さを追求する可能性がある。

物販が調剤の利益を補填する。

処方箋の扱いが物販の値引につながり売り上げに貢献する。

 

風が吹けば桶屋が儲かる。

 

昨日のHSEセミナーのまとめ作業中である。

自分が講師をしたのでまとめがまとまらない。

悩む!

 

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-04-20 06:51:15
やはり調剤料の引き下げはやばい。調剤料、半分になったら試算してみても処方箋1回受付の価値が、いまの3分の2くらいになってしまう。

そしたら薬剤師の人件費確保は難しくなる。規模の小さな中小薬局からギブだ。激変はないとのことだが、徐々に追い詰められる。調剤料以外の点数を算定しないといけないが、これが難しい。

対人業務に時間が割けるなんてきれいごとだ。現状でも事務さんの調剤補助はあっただろうから、対人業務の時間はあまり変わらないはず。患者とコミュニケーションをとっても点数(利益)に結びつくかも難しい。

大変な時代だ。痛みを伴う改革が待っている。一般企業は何人もの就職希望者から、企業が必要とする人材を一部しか採用しない。これが将来的に薬剤師にもおこるとは。

給料も期待できないか。残念だ。でも食ってくために頑張るしかない。このブログを読むと危機感がつのる。足が震えたこともある。でもいいところをついている。
Unknown (次回改正も心配な薬剤師)
2019-04-20 07:40:14
駒形先生、おはようございます。
私の周りでも危機感は見られません。
学生の方が就職先を良く考えていますね。
(話しを聞くと奨学金の返済だけで選んではいません)
Unknown (ぱんや)
2019-04-20 12:02:26
生活習慣病の28日分で保険薬局は院内の27倍、調剤料。
世間では「失われた20年」と言われていた間に分業
制度普及の大義名分の元で報酬を保障してもらった。
その事実を感謝すべきではないでしょうか?
当事者からしたら、甘くない現実の連続だった。
給与以上に働いていた。と言うのもわかりますけど。
他の医療者、患者さんから、敬意を払われる
そんな方ばかりなら。評価が下がるはずはない
のでは?

納得感あり (駒形和哉)
2019-04-22 06:45:24
ぱんやさんのご指摘の通りかもしれません。
今に慣れ過ぎて、厳しい現実を受け入れられなくなっていると思います。

何事も外からの方が良く見えることが多いです。
今の学生はすでに立派な大人です。
ストレートで卒業しても24歳ですから。
現状が見えるのかもしれません。

財源に限界が生じて、使う人は着実に増えている。
制度疲労が見えています。
全員からもらえる報酬が減ると、それを補う対人業務にも限界があります。
経営に知恵が必要ですね。

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