政治は選挙で動く。
どうやら消費増税に伴う薬価改定は10月になりそうだ。
色々な団体が圧力をかけているような気配である。
参議院選挙が7月に行われる。
そうなると社会保障費の削減の切り札も4月実施は難しい。
”臭いものにはふたをする“って感じじゃないだろうか。
さすがに政府も社会保障費の増額を、5,000億円未満に抑え込むのが困難とあきらめている気配も感じられる。
国家予算が始めて100兆円を超えそうだ。
そのツケが選挙後の2020年にやって来る。
2020年の報酬改定にはかなりの要注意が必要になる。
先日も書いたが2019年度の社会保障費の増額は、8月に出された概算要求が6,000億円である。
それを「骨太の方針」では「高齢者の伸びの見込みを踏まえた増加分」としている。
高齢者の伸びはほぼ2018年と同じで3%弱である。
当然のこととして2019年は5,000億円未満が財務省からの要望である。
6,000億円を5,000億円未満にするには1,000億円以上の削減が必要になる。
そのもっとも有力な候補が薬価引き下げである。
10月から薬価を引き下げると400億円の削減が可能となる。
残りは介護保険の保険料徴収の仕組みを「総報酬割」として、所得の多い人から多くの保険料をもらう仕組みで350億円、生活保護費の削減が50億円となっている。
生活保護費は薬剤師による後発医薬品への使用促進に期待がかかっている。
是が非でもやらないと国から怒られることになる。
もちろん2020年9月までには使用率が80%も必達となっている。
しかし、上記を合わせても800億円にしかならない。
さて、どうするのか。
薬価の引き下げ分の400億円は国費としてである。
これが医療費ベースになると約4倍の1,500~1,600億円に相当する。
今年9月に行われた薬価調査では薬価との乖離幅が7.2%前後だったらしい。
これに調整率の2%を考慮すると5%近く薬価が下がる。
調剤医療費の約7割が薬価で占めているとすると、5%の薬価引き下げは処方箋単価を3.5%引き下げる。
ただ5%はあくまでも平均で、調剤で使用される生活習慣病などは10%近く引き下げになっている。
思い出して欲しいが外来数が伸び悩む中で、薬価の引き下げ分は売り上げのダウンにつながる。
私の顧問先でも技術料はわずかにアップしているが、薬価の引き下げで前年同期比を割っている薬局が多々見られる。
ところで、薬価の400億円はどの様に計算されたのだろうか。
医薬品卸からの販売価格が厚生労働省に持ち込まれ、それを集計して、薬価と実勢価格との乖離率を出す。
それに調整幅の2%を上乗せて新薬価が決まるはずである。
今回は10月からの薬価改定で400億円の削減と言われているが、それをどこが実証しているのだろうか。
どうも厚生労働省にデータが持ち込まれたら最後、どうにでも調整可能なように思えてしょうがない。
これを貧乏人の“下衆な勘繰り”ってやつだろうか。
どう考えても5,000億円未満には200億円以上の削減が足りない。
こっそりちゃっかり上乗せって言うのはないと思うが…げす。
今回の10月改定は選挙前の見せかけサービスのような気がしてならない。
政治家も官僚からも出て来る言葉は信用できない。
“モリもカケ”もいつの間にか”風と共に去りぬ”のようだ。
せめてゴォ~ンと打てば響いて欲しい。