今日もキレイだよ
なんて甘い言葉をかけてもシャンクは止まらない
約10年くらい前からの付き合いで、毎年花粉症のように現れては2~3ヶ月で去ってゆく。
年に一度の風物詩のような、彦星と織姫のようなそんな関係だった。
時が経ち暫く現れなくなり、そんな関係も終わったのだろうとすっかりその存在さえ忘れかけていた。
関係を断った私はみるみる調子を上げ、捻転ができ、ヘッドが遅れてきても付いてきてくれると信じられるようになり、驚くほどに飛距離が伸び、分厚い当たりが増えるようになっていた。
そんなノリにノッている絶頂の矢先、彼女が突然現れたのだ。
またいつものようにちょっと風邪をこじらせたかな?
程度に考えていた。
関係を断ち切ってもたまに顔を出すくらいはよくあることで気にもしていなかった。
ところが今回はちょっとした風邪でもなく、また昔よく会いに来ていた彼女とも様子が違っていたのだ。
火を噴くようなナイスショットとシャンクが交互に来たかと思えば、一度出始めると止まらなくなり、それでもまたメチャクチャ分厚い当たりに戻ったり・・・。
そして時折よいスコアが出たり、まるで日替わりで、いや1ラウンドの中でも、さらには1球毎に機嫌が変わる彼女は、まるで不安と安堵を繰り返す私を嘲笑っているかのような、まさにツンデレの女王と化していたのである。
背筋が凍りつくような恐怖とそこから解放される悦びの狭間で、私は来る日も来る日も彼女に弄ばれるのである。
それは絶頂の果てのリミッターを越えた瞬間に訪れるどん底、最高と最低の境界線、悦びと恐怖の狭間、満足感のあとに訪れる虚無感みたいなものである。
手を変え品を変え(打ち方を変えクラブを替え)私は今日も立ち向かう。
またどこかへ行ってしまうそれまでの間、私は彼女に調教される。
この苦しみが官能に変わるまで。