しえすた
この暑さ、猛暑と酷暑、どちらの言葉がピンとくるのだろう?
猛暑日とは言うが酷暑日とは言わないよな。
そんな事はどうでもよい。
もう9月になろうかというのに、兎に角、暑い。
こよなく夏を愛した僕だが、流石にこの湿気を含んだ暑さには閉口する。
遅まきながら、僕は考えた。
そして、家内に「この日中の暑さは耐え難い。そこで、ちょっとした提案があるねん」と、囁いた。
家内は怪訝な顔をして「なに?」と。
「うちもシエスタを取り入れようと思うんだよね」
「何、それ?」
「スペインの習慣やがな。昼間、2時間程の休憩を取るねん。その間、店なら閉めてしまうらしい。
でね、僕の場合は昼寝。これが仕事の効率をあげると思うねんな」
「よくそんな都合の良いもの探しがしてくるよね」
「まあ、ええがな。店は閉めなくても、交代で昼寝をすると言うのでもええと思うわ。
お互い、ええ話やろ。これ正解やで」
家内は「ken(何故かいつも呼び捨てにされる)はいいよねえ」と、笑う。
「何が?」と聞くと
「気の向くまま、生きてるものね。それも何十年も」と。
「えっ、そうかな?」
「ストレスある?」
「人並みに」
「ウソばっかり」と、笑いながら
「ねえねえ、お店というからには、普通開店時間と閉店時間があって、営業中はせっせと仕事をしているものでしょ。
みな額に汗をにじませて営業努力をしてるでしょ。だからこそ、休憩も必要」と。
「あぁ〜、まあそやな」
「kenの場合、そんなもの何一つないものね」
僕は「そんな事もないでしょ」と、モゴモゴと言った。
家内は笑いながら「どうしてそんなでやってこれているのかな?つくづく不思議な人だと思う」と。
「その分、まわりの人たちが頑張っているんじゃない?」
家内は吹き出した。
僕はちょっと一般的な方々と生活リズムが違うんだよな。
店を閉めたあとも、結構な時間仕事をしている。
何度も努力はしたが、夜型人間から脱却出来ない。
兎に角、昼間は眠くて仕方ない。体もだるい。
日が暮れるに従い、目が冴えだし、体も動くようになる。
僕の場合、本当はこれに合わせて店を営業するというのが、現実的なんだけどな。
それなら、夜通しだって店を開けていられる。
夜しか営業していないレトロショップっていいじゃないか。そこそこ本もあるし。
深夜にこっそり開いている店で、本を買えるなんてワクワクすると思わないか。
美味しいコーヒーなぞも飲める。
何なら、寝袋持参で泊まって貰ってもいい。
書き出すとキリがないが、そんな店を目指してもいいよな。