★★閉館★★ | ★★片想い10年ロック★★

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ハッピー片想いは片想いをたしなむための作法です。

おこんばんは。

なほ☆"です。

 

 

フィクションです。

 

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両親が結婚披露宴を

したホテルが終わる。

 

両親が結婚して

姉が生まれて

私と弟も生まれて。

 

それから20年近く

毎年そのホテルに

家族で泊まりに行った。

 

夏はホテルのプールで

泳いだり遊んだり

 

庭で盆踊りに参加したり

ビアガーデンを知ったり。

 

弟が思春期になるまで

毎年の家族での

恒例行事だった。

 

そのホテルが

閉館する。

 

********

 

両親が結婚するよりも

ずっと前からあるのだから

建物も老朽化している。

 

閉館することを知って

何年ぶりかに母と姉と

そのホテルを訪れた。

 

外観は子どものころの

記憶のままで

 

ロビーに入ったときの

ホテル独特のにおいも

その当時のまま。

 

ただ変わってしまったのは

そこにいる「人」でした。

 

時代が変わって

ホテルの使いかたも

きっと変わったと思う。

 

気軽にお茶や食事に

誰でも寄ることのできる

雰囲気になっていて

 

外国人の人が

働いていたり

 

フロントには若い

女性ばかりだったり。

 

お客さんたちも

カジュアルな人が

ほとんどになっていた。

 

ビーチサンダルや

スニーカーで

 

デニムやハーフパンツで

ラウンジでケーキセットを

食べていたり。

 

喧騒のような

たくさんの話し声は

 

まるではやりのカフェに

ひとりで入ったときに

感じるそれに似ていた。

 

少し寂しくなった。

 

********

 

子どものころ

年に一度の

 

ものすごい贅沢だと

感じていたその場所は

 

今は誰でも気軽に

寄ることのできる場所に

すっかり変わっていた。

 

そしてその場所は

もうすぐなくなる。

 

子どものころ

毎年あそんでいた

プールのあった場所は

 

チャペルに変わって

新しくなっていた。

 

思い出の場所とは違う

チャペルのある場所へ

出て行ってみると

 

不思議と当時の

プールのにおいがした。

 

ものすごく懐かしくて

ノスタルジックな

気持ちになった。

 

チャペルになっても

同じにおいが

するってことは

 

あのにおいは

プールのにおいではなく

 

その場所の

においだったのかな。

 

土なのか植物なのか

わからないけれど。

 

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香りはいつも不思議と

記憶を越えてくる。

 

思い切って

行ってみてよかった。

 

思い出の場所は

なくなってしまうけど

 

そこにある思い出は

なくならないと思う。

 

行ってよかった。

 

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フィクションです。

 

実際には

うちはまぁまぁの

 

殺伐とした

家庭でした(笑)

 

思い出の、ハッピー片想い。

 

歴史のある場所にはきっと

それだけたくさんの思い出がある。

 

 

片想いの達人、なほ☆"でした。