Stay at Home で学んだ日本の繊細な心
コロナウィルス被害のためほとんどのコンサートが中止や延期になりました。
私の春からのヨーロッパ公演もすべて中止となり、東京の家にこもりきりの毎日です。
家にこもっていると体も頭も固まってしまいますね。
ドイツの文化大臣が“音楽は生命維持のための必需品”と声明を出しました。
そうです、こんな時こそお家で音楽を聴いていただきたいのです。
そこでStay at Home Concert をYouTubeでお届けしようと思い立ちました。
ご家庭で皆さんで楽しんでいただける音楽を次々とアップして行くつもりです。
どんな曲がいいのかと考えました。もちろん世界の名曲はどれもいい曲ばかり、しかしここ日本で長年日本人を和ませていた日本の曲にも心が揺さぶられました。
いくつかの曲を調べていたら日本独特の美しさ、繊細さ、温かさがたくさんの曲から見いだされました。
季節がら「早春賦」の楽譜をとりだして見たら何と柔らかい和声に導かれた美しいメロディー!
そして歌詞のすばらしさ!
うぐいすは鳴こうとは思うけれどまだ寒くて鳴けず、葦の芽が出始めても空は雪模様。こんな時はエネルギーを蓄えて少し待ちましょう、とこの曲から学びました。
この曲は安曇野の遅い春をイメージした大正初期の作品です。このころフランスではドビュッシーが前奏曲2巻を、ロシアではストラビンスキーが春の祭典を作曲しています。
皆いい曲ですが日本の繊細さ少しづつしか近寄ってくれない春へのもどかしさと期待の大きさ、そしてエネルギーの大きさ! 今の日本の状況のようですね。なかなか来ない春、しかし必ず前にもまして美しい春はやってきます。
短いわずかな語の中に多くのことを語る まさに日本の歌の手法です。
この時期自分とゆっくり向き合ういいチャンスかもしれませんね。