九月の夜想曲 ~ブルームーン<九十九の涙に彩られた刻の雫>~

行間に綴られた言葉を、共に知る方へのメッセージ

無限の角を目指す鉄。四角のスポンジが嘲笑する。

2019年11月30日 | 日記
 三角の鉄を、四角のスポンジが嘲笑する。

 「何をそんなに必死になって、身を削っているんだい?」


 鉄は無表情に答える。

 「傷つけないためだ。」


 鉄の角は、人肌を傷つける。

 どれほど静かに転がっても、固い鉄の角は、人肌を傷つける。


 丸くなれば、傷つけることもない。

 鉄よりも堅いやすりで削れば、それも可能だろう。

 しかし、鉄の意志よりも固いものは無い。


 角を増やせばどうか?

 三角よりも四角、四角よりも五角、五角よりも・・・

 角が多ければ多いほど、球に近づくことは出来る。

 ただし、無限角があるとしても、角があることには変わりない。

 隣り合う点を直線で繋ぐ行為は、永遠に球にはならない。


 固い鉄。

 直線で結ぶしかない点。

 傷つけまいとすれば、無限を超える角を持つ以外にはない。

 愚直に身を削り、角を増やす


 「僕は四角だけれど、人肌を傷つけないよ。柔らかいからね。」

 スポンジが嘲笑う。

 「身を削って角を増やすよりも、
  体を柔らかくすればいいんじゃないか?」

 ドヤ顔でスポンジがアドバイスをする。


 鉄は無表情に答える。

 「それで、この家を支えられるのであればな。」


 鉄の意志は人を守ることは出来ても、
 傷つけずに触れることが出来ない。

 軟弱な心は、人を傷つけないが、
 守ることは出来ない。


 愚直に身を削る行為が偉いのではない。

 それは、愚かな行為に他ならない。

 しかし、それが必要であれば、ためらう理由もない。


                     Written by Z

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