九月の夜想曲 ~ブルームーン<九十九の涙に彩られた刻の雫>~

行間に綴られた言葉を、共に知る方へのメッセージ

もうひとつの「うさぎとかめ」

2020年01月28日 | 日記
 人生には、
 知っておいた方がよいこと、
 知らなくてもよいこと、
 知らない方がよいこと
 がございます。

 「うさぎとかめ」のお話は、
 知っておいた方がよいことです。

 俊足のうさぎと、鈍足のかめがかけっこをします。

 油断したうさぎが昼寝をしている間に、
 かめが先にゴールします。

 能力が高くても、油断すると負けることがある・・・

 能力が低くても、地道に努力すれば、勝てることがある・・・

 そうしたお話だったように思います。


☆☆☆

もうひとつの「うさぎとかめ」


 俊足のうさぎと、鈍足のかめがかけっこをします。

 うさぎは、自分が勝てることを知っています。

 かめは、一生懸命走ります。

 うさぎは、一生懸命なかめに喜んでほしいと思っています。

 でも、わざとゆっくり走ったのでは、バレバレです。

 そこで、油断して昼寝をしているふりをします。

 その横をかめは、一生懸命走ります。

 先にゴールに着いたかめは、
 苦手なかけっこで俊足のうさぎに勝てたことを喜びます。

 一生懸命努力すれば、不可能と思えることも出来るのだと
 自信を持ちます。

 努力は無駄ではないと知ります。


 ある日、いつも「うさぎとかめ」に優しく接してくれる人が、
 病に倒れます。

 それを聞いた「うさぎとかめ」は、急いでその人の家に向かいます。

 俊足のうさぎと、鈍足のかめが急ぎます。


 ふたりで木陰からそっと見守ります。

 なぜ、同じタイミングで此処に?

 うさぎがかめのペースに合わせた?

 いいえ、うさぎはかめを抱えて全速力で走ってきたのです。

 かめは、うさぎがどれほど速く走れるのかを知りました。

 うさぎは、かめを抱えてきたので、
 “命の水”を持ってくることができませんでした。

 永い歳月をかけて出来上がった“命の水”を
 持ってくることができませんでした。

 木陰から見守るふたりの写真がセピア色になるころ、
 使われることなく木樽の中で眠りについた“命の水”は、
 琥珀へとかわりました。


                     Written by Z

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