あがりきると、そこにはクローバーのみずみずしい緑のじゅうたんがふわふわと広がっています。
ピピはたぶん、道草をしているのでしょう、遅れて姿が見えません。
わたしは、緑のじゅうたんから福祉センターの裏の道へ出たところで、振り向きました。
やがて、ピピがじゅうたんの向こうから
ぴょんっ
と躍り出てきます。
そのピピの顔を見おろしながら、わたしは楽しそうにうなずきながら、ちょっと子馬みたいなふんいきで、おどけて走り出しました。
すると、ピピもわたしを見上げながら、まったく同じリズムで楽しそうに頭を上下に動かし
ぐんぐんぐんぐん ぐんぐんぐんぐん
と走りはじめたのです。
ピピの、この笑顔。
わたしたちは、今、おんなじ気持ち。
おんなじ幸せの中。
この瞬間、わたしは、このピピの顔を、この姿を、このうごきを、ずっとおぼえておこう。
そう、強烈に思いました。