わたしはそっと段を降りると、寝箱のまえにしゃがみこみ、ささやきました。
「ちょんぷ、ちー」
いつものように、おかしな、へんな呼び方です。
でも、ピピは、それがじぶんのことだと、少なくともじぶんに話しかけられていることだと、知っています。
ピピの呼吸は、少し甘えるように変化して、そのまま、安心して眠りつづけています。
(・・ほう・・・)
わたしの中に、やすらぎが広がりました。
もし・・・、
もしピピがまた病気になっても、わたしはこんなふうにささやいて、ピピを安心させられる。
ピピはそれでおちついて、病気とたたかって、きっとよくなっていくだろう。
そんな、厚く包みこむような安心の、あたたかい海の中に、わたしはじんわりと座っていました。