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そんなある日、マナブくんは公務員試験講座のスケジュール表を見ていて危機感を持っていた。こんなペースで勉強していてはとてもじゃないけど合格できないと思っていた。

 

どんな勉強が必要なのかについてはアルバイトを通じて分かっていたので、今のスケジュールからは区切りのいいところで離脱し、独自のスケジュールを組んで勉強することに決めた。

 

ユキコさんにはまさか一緒に離脱しようなんて言うことはできないので、ユキコさんには黙って1人で離脱することにした。ユキコさんからすれば突然想いを寄せているマナブくんが来なくなってしまったことに驚いて、ユキコさんは、シンジくんとコウイチくんの2人に、

 

「マナブくんが公務員試験の授業に突然来なくなったの。どうしたのかしら」

 

と相談を持ちかけた。シンジくんとコウイチくんの2人も驚いた。後日マナブくんをつかまえて事情を聞かれたので、マナブくんは通信講座やビデオレンタルなど知っているシステムを活用して自分でスケジュールを組むので離脱したことを話した。

 

 このようにして何度も絶好のチャンスがありながら煮え切らないマナブくんの態度と控えめなユキコさんの姿勢ですれ違いを重ねて2人の関係はほとんど進展しなかったが、会えなくなるごとにユキコさんのマナブくんへの想いは募る一方だった。

 

第3章 卒業までの奮闘

 

 10月の学生議会の改選に立候補し3期目の当選をしたマナブくんは下級生たちにも指導をしなければいけない立場になっていた。周囲の人と同じことをしていては何も変わらないことは自分で種をまいていたので説得力もあり、マナブくんの考え方に賛同する議員も増えるようになった。

 

 冬になった。公務員試験一本で行くことは決めていたマナブくんだが、どこを受けようかまではまだ決めていなかった。ただ、実家のある兵庫県庁の上級試験を第1志望にすることは決めていた。

 

そのあとはバイト先の専門学校で情報を探していると国家Ⅱ種と労働基準監督官を受けることに決めた。あとはひたすら勉強である。学校の試験もあれば学生議会議員の活動、アルバイトも頑張っていた。

 

公務員試験の勉強は自分のスケジュールになったので空き時間をうまく活用して行っていた。たまたまカセットテープを倍速で聞けるラジカセが部屋にあって、本来の半分の時間でスピード勉強するなど工夫していた。

 

公務員試験は6月に行われるので残された期間は半年ほどだった。もう毎日が必死でユキコさんのことはマナブくんの頭になかった。お互い電話することもなかった。

 

                                      (つづく)