Akatsuki庵

日々と向き合って

茶人に愛された数々の名碗

2019年08月20日 06時23分55秒 | 美術館・博物館etc.

★サンリツ服部美術館 サイト
特別企画展『茶人に愛された数々の名碗』 ☆初公開の光悦茶碗あり
 ※9月29日(日)まで

諏訪にはしばらくご無沙汰していて、1年と8ヶ月ぶり。

初公開の光悦茶碗見たさに片道4時間半かけて、前期展示の最終日に訪れた。

光悦茶碗2碗を中心にグルッと唐物、国焼、高麗と各種の茶碗の名品が並ぶ。

鼈甲のような模様が美しい南宋・吉州窯の玳皮盞天目(たいひさんてんもく)。
唐物の真塗(でも、時代で飴っぽい色に)と螺鈿の天目台もすばらしい。

粉吹の名碗「広沢」、平たくて大ぶりな礼さん三島茶碗、斗々屋茶碗。

道安好の黒楽茶碗に長次郎の黒楽「雁取」。

「雁取」は何度か拝見しているけれど、利休の書状と別れ別れになっていた時期が長かったということに
今回やっと気がついた。
井上馨(世外)が再び一緒に所持し、喜びの余り?それまで6重だった箱に更に1つ、薬師寺の古材を用いた箱を付けて、7重にしたのがスゴイ。
ロシアのマトリョーシカ人形のように大きさが異なる箱が7つ並んでいる様は圧巻。
しかも、そのうちの3つか4つには箱裏に文章がびっしりしたためられていて、如何に大事にされた茶碗かがわかった。

黄瀬戸の胴紐茶碗、志野亀甲文茶碗、織部黒と黒織部(←この違いがやっとわかった)

雲と楼閣を描いた染付雲堂手茶碗と祥瑞唐子文茶碗といった景徳鎮もすてき。

絵高麗茶碗はペルシャっぽい柄が変わっていて見応えがあった。

伊羅保茶碗「枯木再生花」は色合いも灰色っぽく、開きかけた花のような形が珍しい。

筒じゃない雲鶴茶碗も新鮮に見えた。

五代大樋長左衛門の黒釉茶碗も形が天目っぽくて、いい感じ。

スマホで展示解説が聴きながら、じっくり鑑賞。

ところどころ番号が飛んでいて、飛んでいる番号のを再生したら、それは後期展示の分だった。
展示ケースから目を離し、天井を見上げながら聴く。
説明を聴いているうちに、目の前に茶碗が浮かんだ。それは単なる想像ではなく、過去に見た茶碗の記憶が再生される感じ。

で、最後に国宝茶碗・不二山と赤楽茶碗「障子」。

白釉薬をかけて窯に入れたら、焼成の加減で下半分が黒くなっちゃったなんて、
偶然の産物は本当にすごい。

今回は不二山を包んだとされる振り袖の帛紗も展示。
刺繍とか裂地が江戸時代初期なんだなぁって、しみじみ感動。

そして、初公開。最近、新収蔵となった光悦作の赤楽茶碗「障子」。

ちょっと意外。

継ぎ目があっても、そんなに古く見えないというか、光悦らしいけど光悦っぽくないような。

後ろ側の裂け目というか継ぎ目に入れた白釉薬が障子のように透けてみえるから「障子」と銘名されたとか。

益田鈍翁も所持したらしい。

由緒正しく、個人の所有物として秘蔵されていた茶碗がやっと公開されたということなのだろうから、
素直に由来と来歴を受け入れて、鑑賞したい思いもあるのだけど。

心のどこかには疑心暗鬼な気持ちもあるわけで。
ちょっと複雑な思いで茶碗を鑑賞した。

帰る時、売店で「新しい図録出ているかなぁ」とチェックしたら、「あれ?」
以前の図録が装丁を少し変えて再版されていた。

中身に変更はないという。
2冊とも購入済みしたので、もう買うことはないと思いつつ、見本をパラパラと捲って気がついた。

展示物がどれも懐かしい気がしたのは、過去にじっくり鑑賞したからだった。
「帰ったら、お茶碗の図録を見直そう」と思った。
改めて見直して、すごく理解できた。

2009年暮れに見た『名碗のかたち』から、もう10年経ったのか。

後期展示の都合で今回見損ねたものも含め、図録にはほとんど網羅してあった。

10年前のblogは大したことは書いてなくて、そこが残念だったけど、ネ。(^^;

★サンリツ服部美術館バックナンバーリスト
2018年12月 『大名茶人の系譜 古田織部・小堀遠州・片桐石州』→こちら
2017年1月 『やきもの色事典』→こちら
2016年8月 『服部一郎没後30年 特別企画展 禅宗と茶の湯の美』(後期)→こちら
2016年7月 『服部一郎没後30年 特別企画展 禅宗と茶の湯の美』(前期)→こちら
2014年12月 『茶入  もう一つの美術史』→こちら
2013年12月 『名物裂を探る 織り込まれた歴史と美』→こちら
2013年7月 『渡来の茶道具 唐物・高麗物・南蛮物』→こちら
2012年3月『桃山・江戸時代の茶陶-和物と海外陶磁の競演』→こちら
2011年9月『江戸時代の絵画と茶~ゆかりの人々からたどる江戸の「現代アート」』→こちら
2010年10月『茶の湯の名品』→こちら
2010年1月『茶道具取り合わせ 茶の湯の春』→こちら
2009年12月『名碗のかたち』→こちら
2008年8月『茶入の美 -小壺が「茶入」になるとき』→こちら
2008年1月『「床(とこ)」に咲く美 花入と掛物 荘厳から侘びへ』→こちら
2007年8月『茶の湯とやきもの -器が「茶道具」になるとき-』→こちら


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4 コメント

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Unknown (ふくろう)
2019-08-20 09:03:16
雁取の次第が面白かったです🙆
不二山が包まれている袱紗も、後ろも直に観て見たかった😅
障子を観て透明釉薬がこんな風に使われているのが面白かったです。
諏訪湖の花火大会は有名だけど、夏場は15分だけだけど毎日花火🎆が上がってると知りました。
下諏訪の秋宮から小さかったけど見えましたよ🎆
Unknown (sugi)
2019-08-20 10:39:37
ご無沙汰しています、金沢のsugiです。
私も18日、サンリツ訪問してたんですよ!
車で約4時間、昼食後、美術館を訪問しました。
もしかしたら会場内ですれ違っていたかも?

金沢ゆかりの雁取の茶碗と文がそろって拝見できたこと、小さな茶碗が7重の箱に入るとあんなに大きなものになることに驚き、感動しました。
Unknown (akatsukian)
2019-08-22 23:39:27
ふくろうさん
諏訪にお泊まり、いいなぁ。
上諏訪に宿泊したことはないですが、ホテルが並ぶ中を行き来しながら、品定めをしています。
自分が泊まる時は、あそこかなぁ❤️とかね。
Unknown (akatsukian)
2019-08-22 23:43:16
sugiさま
お久しぶりです。
金沢から4時間❗️お疲れ様でした。
私は午前中に訪れました。
ニアミスでしたね。
やはり、「前田」は加賀の前田様だったのですね。

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