Akatsuki庵

日々と向き合って

蓮羊羹とともに、涼を愉しむ

2018年08月15日 04時27分33秒 | 美術館・博物館etc.
★畠山記念館 サイト
 『涼を愉しむ―畠山即翁の朝茶の会 併設:狩野派の絵画と江戸の工芸』 ※9月17日(月・祝)まで

 夏は茶道具展が少ない。

 だから畠山記念館の展覧会は唯一、夏の茶道具を紹介してくれるありがたーい存在。

 で、今回は5年ぶりにアレがやってきた!

 蓮羊羹ですね~。→5年前のblog


 コンセプトが同じ~

 8月4日(初日)の朝、湿し灰教室に向かう前、「あ!」と思って、ふくろうさんに連絡。
 8月12日に一緒に行きましょう~と誘った。
 (なんせ、私が都合つけられるのがこの日一日だけだったので)

 で、現地集合ということで。

 確実に茶券をGetしたいからと30分前に到着~
 
 「休」付の門扉もなかなかいい。

 ほどなく、ふくろうさんがやってきて、開館して、お茶券も無事購入。

 5年前と比べて、入館料ともども値上がりしていて少しビックリした。

 少し休んでから鑑賞。

 狩野常信の瀧図、仁清の錠花入、いずれも5年前の記憶がうすぼんやり蘇る。
(今回、5年前の鑑賞記を読み返す余裕がなかった)

 天命猿猴(えんこう)文の筒釜に鉄鍋形風炉がいい感じ。上部の獅子の摘まみがとってもよい

 「初見かなぁ」

 お茶道具、懐石道具と続いてみていく。

 懐石のお椀、渡辺喜三郎じゃないんだねぇ。仁清の向付は蓋向付の蓋を利用しているんだよねぇ。

 などと、1人じゃないのと、館内がまだ混み始める前だったので、ちょっとエラソーに(?)ふくろうさんに解説。

 あれ? ん? 解説を読まないのに、なぜそんな話ができてる? ワタシ?

 たまらなくなって、おもむろにスマホで自分のblogを立ち上げ、5年前の鑑賞記を表示させた。

 見てる~ 筒釜も鉄鍋風炉も、懐石道具も~ →当時のblog

 なんて、こんなに細かく書けてるの~。と、我ながら呆れつつ読み返した。

 過去の自分の鑑賞記に助けられて、鑑賞を味わっていた。

 そして、同じ趣向の展覧会を見て、出てくる感想も同じなのが、なんか悲しい~

 なので、繰り返しになるけれど、今回の展覧会の趣向を復習してみよう。

 今回は即翁さんが昭和13年(1938年)6月13日の朝6:30席入りで催した朝茶事の再現を試みている。
 場所は上野忍池にて。


 (5年前はなかったパネル。これは撮影OKだった)

 参加者は以下の方々~


 5年前も思ったけれど、戦争の足音が聞こえそうな、でも一般市民には実感がわかない中での朝茶事。
 うらやましいような、空恐ろしいような。

 お目当ての蓮羊羹のお呈茶までけっこう間があって、
 その待ち時間はひたすら当日の茶会記を見ていた。

 展示してあった小川松民の黒掻合せ椀は予定されていたけど、ドタキャンされたのか破線が引いてあった。
 そして、汁椀は黒のお椀なのに、飯椀は秀衡椀だった~。フツー、飯椀と汁椀って揃えるもんじゃないかい?

 煮物椀も秀衡椀だから、そういうところで合わせたかなぁ。

 で、後座は薄茶席だということに気がついた。
 (だから干菓子も出ているし、そもそも茶入が蜻蛉蒔絵棗)

 「主菓子が出ているのに、なぜお濃茶じゃないの?」

 と、ふくろうさんの疑問の声に考える。

 えっと、主菓子は懐石の一番後に出る。つまり、前席だから、中立をして後入りして薄茶でも不自然はない。
(濃茶の場合、お菓子と一緒に供されることはない)

 自分で口にして、改めて「なるほど、こういう手もあったかぁ」などと思ってしまった。

 茶会記をよくよく見ると、確かにこの朝茶事って、マニュアル通りじゃない

 朝茶事には焼き物を避けるのに、鮎の塩焼きが出てるし。
 でも、備前の火襷に盛られた鮎は美味しそう~ ←再現の写真パネル見た感想

 正式には後座は濃茶に続き薄でしょ。
 なんせ、一服の濃茶を味わうための茶事であり、懐石料理なんだから!

 なんて、つい無粋なことを考えてしまい、反省。

 考えてみれば、茶事なんて己が好きなようにアレンジしてよいのだ。

 マニュアルとかルールとかセオリーとか、そんなの糞くらえ

 マニュアルがなんぼのもんじゃい。

 あんなの、所詮は後付けな、物事の本質を理解していない素人や未熟な人がみるシロモノでしかない。

 ある程度理解したら、あとは臨機応変にやればいいのさっ!

 と、昭和生まれの昭和育ちの私は考える。

 だけど、最近は昭和生まれの平成育ちや平成生まれの平成育ちの何かにつけて「マニュアルが~」にうんざりしてしまって

 だんだん、それが正しいような気がしてしまって。
 マニュアルに頼らない自分が悪いような気がしてしまって。
 
 だから、そのギャップが苦しくなってしまうんだよなぁ。

 と、最近の日々を振り返ってみたり。

 ↑これは感想をまとめていて、だんだん見えてきたんだけどね。



 で、正午を過ぎて、お待ちかねの蓮羊羹タイム。

 一番乗りしたのに、お呈茶の第1陣(=第1席)の波には乗り遅れ、第2陣(=第2席)でお茶室エリアに座る。

 私たち2人のほか、相席は若い男衆2人連れ。

 4人でシャキシャキした食感を楽しんだ。

 ちなみに「蓮羊羹も薄茶も撮影はご遠慮下さい」と先に釘をさされてしまった。

 5年前になまじ、ネットに写真が拡散して(←私のblogじゃないよ!)懲りたようだ。

 同席した男衆2人も展覧会よりも蓮羊羹目的で来たらしい。
 どこぞのホームページで読んだそうで、←繰り返して言うが、私のblogではない。ちなみに、5年前は私もそれ読んだ。
 毎夏ごとに食べられると思って来たら、「なかった~」とのこと。(←去年以前のことなのでしょうか)

 だから、展覧会の出し物との関係性を考えようよ

 ちなみに、お取り寄せしている金沢のYという和菓子屋さんでも予約制でしか作ってないそうで、
 注文は30個単位とのこと。

 お茶碗を下げにきた係の方に「多めに注文することもあるのですか?」と聞いたら、
 「はい。でも、必ずしも受けてもらえるわけじゃないのです。蓮の穫れ具合にのよるそうで」

 え? もしかして、蓮羊羹用のスペシャルな蓮なの?

 と、一同驚いたのであった。

 「蓮羊羹の会を結成して、人を集めて共同購入したら、どうでしょうかねぇ」なんて冗談で話していた。

 (まぁ、手って取り早いのは金沢へ行って、武家屋敷の近くにある菓遊庵に行くこと!と私は思う)


 本当に、蓮羊羹との邂逅は一期一会だなーと思った。

 ※真面目な感想になっていなくて、スミマセン。真面目なバージョンが読みたい方は5年前のをお読み下さい。


★畠山記念館バックナンバーリスト
2018年6月→『没後200年 大名茶人 松平不昧と天下の名物 ――「雲州蔵帳」の世界』(後期)
2018年4月→『没後200年 大名茶人 松平不昧と天下の名物 ――「雲州蔵帳」の世界』(前期)
2018年2月→『茶懐石のうつわ』
2017年11月→『新収蔵記念 近代数寄者の交遊録―益田鈍翁・横井夜雨・畠山即翁』
2017年5月→『茶の湯の名品 破格の美・即翁の眼』
2016年8月→『茶の湯ことはじめ』
2015年12月→『桃山茶陶と「織部好み」』
2015年4月→『畠山即翁の大師会茶会-井戸茶碗 信長の取り合わせ』
2015年2月→『開館50周年記念 The琳派 -極めつきの畠山コレクション』
2014年11月→『大名茶人 松平不昧の数寄―「雲州蔵帳」の名茶器―』
2014年5月→『開館50周年記念 茶道美術の玉手箱―畠山記念館名品展―』
2014年1月→『千少庵没後400年記念 利休とその系譜』
2013年8月→『涼をもとめて―畠山即翁の朝茶事』
2013年5月→『麗しの漆―蒔絵と螺鈿』
2013年1月→『春を祝う -仁清・乾山・光琳-』 
2012年11月→『利休と織部 -茶人たちの好みと見立て-』(後期)
2012年10月→『利休と織部 -茶人たちの好みと見立て-』(前期)
2012年8月→『ふしぎ発見! 茶道具と銘をめぐる物語』
2012年6月→『唐物と室町時代の美術』
2012年4月→『唐物と室町時代の美術』(前期)
2012年1月→『畠山即翁の茶会―光悦雪峯茶碗を中心に―』
2011年11月→『茶人 畠山即翁の美の世界』
2011年9月→『明代陶磁の魅力』
2011年6月→ 『国宝 離洛帖と蝶螺鈿蒔絵手箱』
2011年2月→ 『生誕250年 酒井抱一-琳派の華』
2010年11月→『織部が愛した茶碗 高麗・割高台』その2 
2010年10月→『織部が愛した茶碗 高麗・割高台』その1
2010年8月→『涼を愉しむ-書画・茶器・懐石道具-』
2010年5月→『茶の湯の美-数寄のかたちと意匠-』
2010年2月→『懐石のうつわ -向付と鉢を中心に-』
2009年10月→『戦国武将と茶の湯 -信長・秀吉ゆかりの品々-』
2009年4月→『畠山記念館名品展 季節の書画と茶道具』
2009年2月→『冬季展 日本の春-華やぎと侘び』
2008年10月→『益田鈍翁 -心づくしの茶人-』
2008年8月→『夏季展 夏のやきもの -金襴手・万暦赤絵・古赤絵・南京赤絵』
2008年4月→『細川井戸と名物茶道具』
2008年3月→『花によせる日本の心 -梅・桜・椿を中心に』
2007年12月→『茶の湯の美 -利休から宗旦へ-』後期
2007年11月→『茶の湯の美 利休から宗旦へ』前期

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4 コメント

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畠山記念館 (ふくろう)
2018-08-18 16:59:25
本日、蓮羊羮リピート😀
解説を聞きましたら、やはり濃茶は時間を省く為、薄茶だけだったと話していました。
蓮羊羮の運搬は冷蔵庫も無い時代にどのように、金沢から運搬したかは記録が無いので不明😅と話していました。
Re:畠山記念館 (akatsukian)
2018-08-18 19:01:55
ふくろうさん
2回目の蓮羊羮も無事にいただけたようですね。

戦前のことですし、現地の菓子職人からレシピをもらって、畠山家の料理番が手作りしたのでは~

と、私の推測。

そういうことを思いながら、鑑賞するのが楽しいです。
蓮羊羮 (ふくろう)
2018-08-18 20:08:13
今日は羊羮の撮影禁止と言われなかったです😀
でも既にお茶券が買えなかった方々が3~4名様同じ席でお干菓子を頂いてたので、撮影どころか微妙な気分で食べてました😅
でもお呈茶に使われているお抹茶「松の嶺」の詰と取り寄せと阪急の小林さんのお好みだと皆様に説明申し上げたら喜ばれました😁蓮羊羮が食べれなかった方にせめてもの…🤗
Re:蓮羊羮 (akatsukian)
2018-08-21 20:28:54
ふくろうさん
コメント返し、遅くなってスミマセン。

この前の撮影NGはなんだったのでしょう?

濃茶を省略した事を確認されるとは流石です。

確かに、朝茶事は暑くなるのは避けたいし、濃茶はいくら茶事のメインといっても、熱いし暑くなりますよね。

かつて、朝茶事に参加した時も「濃茶はパスしたいなぁ」と思ったことを思い出しました。

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