帰ってきたヒトラー
備忘録:映画レビュー:観た映画
★帰ってきたヒトラー
オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ 、クリストフ・マリア・ヘルプスト 、
カッチャ・リーマン他
150点
ヒトラーが現代によみがえり、モノマネ芸人として大スターになるというドイツのベストセラー小説を映画化したものだが、ストーリーそのものの完成度、深さが半端では無い。
「ドイツ人の心を打った」理由が良くわかる。戦後70年間の彼らの思いが凝縮された物語だ。
コメディ仕立てにはなっているが、ドイツでは特に扱いが難しい「ヒトラー」、「難民・移民」、「ユダヤ人」というテーマを軽妙かつ深く掘り下げている。
テレビのコメディ番組を中心にストーリーが展開していく二重(コメディ)構造だ。もちろん、現代のプロパガンダ兵器の重要な部分を成すインターネットも重要な役割を果たす。
ヒトラーに対する観客の考えで、全く違った解釈が行われるであろうことも計算済みだ。
ユダヤ人が支配する米国ハリウッドの「反ナチプロパガンダ映画」の低レベルのワンパターンにはうんざりする。過去はともかく、「今現在」パレスチナの人々を苦しめているユダヤ人を礼賛する映画は胡散臭い。
この映画は、ドイツ人が70年間の歴史に向き合った真摯な作品である。
1979年の「ブリキの太鼓」以来の傑作と言っても過言ではないと思う。
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