産業革命によって「人間」が誕生した<人間経済科学と賢人たちの教え> | 大原浩の金融・経済地動説

産業革命によって「人間」が誕生した<人間経済科学と賢人たちの教え>

産業新潮

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6月号連載記事

 

<人間経済科学と賢人たちの教え>

3) 産業革命によって「人間」が誕生した

 

産業革命が初めて「人間」を誕生させた

 もちろん、人類(女系)の直接の祖先が、10万年前から20年前にアフリカに住んでいた「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれる「女性」であることは遺伝学的にほぼ間違いない。人類の歴史は少なくとも10万年以上はあるというわけだ。また、古代エジプト以前に存在した古代文明は1万年以上遡るのではないかということが、発掘された遺跡の年代測定などから主張されている。

 

 しかしながら、ここでは「人類」と「人間」とを分けて考えたいと思う。我々が「人間」と呼ぶ時には、生物学的に分類された人類という以外に、他の動物には存在しないと考えられる、自らの明確な意志で考え行動するという「人間性」という意味合いが多少なりとも含まれる。

 

 確かに古代ギリシャ、ローマの文化は素晴らしいものである。しかしながら彼らが「市民」と呼んでいたのは現代の感覚で言えば「特権階級のエリート」であり、一般庶民は「人間」とはみなされていなかった。

 

 また、中世ヨーロッパにおいてもその事実は変わらず、王侯貴族や聖職者などの特権階級たちは「人間」としての文化的生活を謳歌していたが、農奴をはじめとする一般の人々は家畜と一緒に暮らし、家畜と同じ労働をする人間未満の生活をしていた。実際、農奴たちの労働力は、経済的に牛や馬の労働力と直接比較され評価されていたのだ。

 

 よく、産業革命によって働きに出た人々の長時間労働、劣悪な環境、児童労働を批判する論調を見かける。確かにそのような厳しい環境であったことは事実だ。しかし、それでも農村での農奴としての生活から比べれば素敵な環境であったのである。そうでなければ、農村部から都市へ「自らの意志で」大量の農民(農奴)が働きに出るはずが無い。例えば、農村の農奴の子供が農作業を手伝うのは当たり前だが、1円の賃金も支払われない。また、土地に縛り付けられた農奴には職業選択(雇い主を選ぶ)の自由は無いが、都市労働者は、賃金水準自体が低くても、その中で「自分の意志で」職業を選べる。彼ら都市労働者は、現代の感覚で言えばみじめであったかもしれないが、彼ら自身は農奴の暮らしから比べれば「天国」だと感じていたに違いない。

 

現代人は平安貴族以上の生活を送っている

 平安時代、夏の暑さに耐えかねた帝や貴族が「かき氷を食べたい」と思ったとする。まず、大勢の従者に引かせた牛車を富士山の頂上部まで送り込む。そこで、雪渓から山ほどの残雪を詰め込み京に向かうのだ。そして都につく頃には小さな器に数杯程度となった氷をかき集めて、かき氷を楽しんだのである。

 

 現代であれば、数百円も出せば、どこでもかき氷を食べることができる。それどころか、同じような値段で平安貴族にはとても想像ができないような「美味」のアイスクリームや・ソフトクリームを手に入れることさえできる。また、日本家屋は夏過ごしやすいように設計されてきたが、今やエアコンがあればそのようなことは気にする必要が無い。

 

 さらに、飛行機、自動車、新幹線、エレベーター、冷蔵庫。また、平安時代には書きうつすしか無かった本(現代で言えば数千万円の価値はあったと思われる)が、1000円ほどで買えるし、電子書籍なら思い立ったその時にダウンロードして読むことができる。

 

 このように現代人を文化的な「人間」たらしめているテクノロジーのほとんどが産業革命以後に生まれたということは、注目すべき事実だ。

(続く)

 

続きは「産業新潮」

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6月号をご参照ください。

 

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