沖縄の自動車販売店さんからのご依頼で、
BMW X3の修理依頼です。
沖縄県内の整備工場さん数社に依頼し、
それぞれで診断及び修理をして修理代金を支払ったそうですが、
結局完治に至らず、遠く離れた愛媛まで車を運んで頂いての入庫です。
E83 X3です。
信号待ちなどでの停車から走り始めると、
2速辺りで車両下回りから「コン!コン!コン!コン!!」と、
結構大きめの異音と共に、車体もギクシャクします。
沖縄県内の整備工場さんにて、既に足回りブッシュやエンジンマウントなどは交換済みとの事ですが、異音だけならブッシュ類を疑いもしますが、この症状、車体のギクシャク感も伴っている上、症状の再現が、ある一定条件下(シフトポジションや速度など)にて再現される為、駆動系から発生している事が考えられます。
試運転とコンピュータ診断を繰り返します。
トランスファーの駆動を止めてみます。
当然エラーは立ちまくりですが、無視して試運転。
異音とギクシャクが無くなりました。
原因はトランスファーです。
トランスファーに繋がる前後プロペラシャフトやマウントブッシュにガタの原因となるものが無いか調べます。
ステッパーモーターのギア欠けや溝減りが無いかも点検。
上記が原因で起こる症状とは、今回のそれは異なってはいますが、
念の為チェックしておきます。
こちらはフリークで在庫しているステッパーモーターのギアです。
左の黒いギアが溝減りやギアかけを起こしますが、
今回のX3は問題ありませんでした。
トランスファーフルード量もチェック。
フルードが出て来ませんので、油量は少し減っている様です。
念の為フルード交換もしてみます。
残念ながら、異音とギクシャクは止まりません。
原因はトランスファー内部です。
トランスファーの交換が必要な事を先方にお伝えすると、
中古を手配して届けてくれるとの事。
中古のトランスファーが届きました。
一緒に届いたステッパーモーターも簡単に点検。
トランスファーを取り外しに掛かります。
マフラーを取り外し、
前後プロペラシャフトやその他色々と付いていますので、
どんどん取り外していきます。
取り外した不調のトランスファーです。
ATの背面はこの状態。
オイルは抜き取られているでしょうが、
念の為ひっくり返して徹底的に抜き取ります。
オイルは、オーバーフロー孔しか逃げ道が無いので、
この状態で先に充填しておきます。
ステッパーモーターにもセンサーが付いているので、それを移植。
マウンティングブッシュも交換です。
トランスファーを元通り取り付けて、最後にフルード調整。
少しだけ多めに入れているので抜き取ります。
オイル漏れの有無、各所締付などの最終確認を行って試運転。
嫌な異音とギクシャクは完全に止まりました!
X3のエンジンルーム、届いた時からこの状態です。
エンジンカバー、エアダクトなど、諸々装着されていません。
トランクの中に投げ込まれています(^^;
後ろ側のアンダーカバーは私が外しましたので元通り取り付けましたが、エンジン前側のアンダーカバーは車内の何処を探しても見つからず・・・
後部座席の足元に、何かのスプレーのキャップに入ったビスを発見。
ただし、このビスはアンダーカバーを取り付けるための物です。
こちら4ヶ所のボルトと、
このカバーの4ヶ所と、
このカバー4ヶ所に使われるはずのボルトやビスは、何処を探しても見つかりません。
前に作業をした整備工場さんにでも転がっているのかな???
エンジンルーム内の部品はあるけど、取付のボルトは存在せず、
アンダーカバーは無いけど、取付のビスは車内から発見。
出来れば全部綺麗に元通り組み付けて納車してあげたかったけど、
残念ながらこのままの状態での納車となってしまいました。
ホイールボルトのロックソケットはジュースホルダーに・・・(^^;
このまま走ると内装を傷付けてしまいませんか??
それより、ちゃんと締まっているのか心配になり、
全てのホイールボルトをチェック。
きちんと既定トルクで締まっていました。
ロックソケットは、本来の収納場所に。
最後にコンピュータ診断を再度行って、
エラーが無い事を確認して、全ての作業が完了です。
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
<参考データ:車両走行距離 86,700km>
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はご遠慮下さい。
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