トラブル修理-ニュービートル(1YAZJ)暖まるとATが変速不良&走行中ガチャガチャ異音 | フリークのブログ

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「それって幾らになるの??」にも、明確にお答えします(^^)

駐車場に停めていたら、前周りをぶつけられたという事で入庫したニュービートル・カブリオレです。

 

フロントバンパーを修理するついでにスムージングし、

リロケートキットを使って、ナンバープレートの位置を下に下げて欲しいとのご希望です。

 

 

同時に、車検が近いので受けて欲しい事と、

他に数点診て欲しい所があるとの事。

 

 

 

 

 

フロントバンパーの、ちょうどナンバープレートの部分を擦っていて、

台座も外れていますし、深めの傷もついています。

 

修理のついでにスムージングをします。

リロケートキットは販売元に確認すると、

現在製造は終了しているので供給は出来ないという事でしたが、

それが無くても移設は出来ますので細工します。

 

 

それよりも・・・

 

走行中足回りからガチャガチャと異音がするというので乗ってみましたら、タイヤが外れて飛んで行きそうな位の凄い音!!(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

リフトに上げて足回りを確認。

こちらは右側。

 

 

 

 

 

 

こちらは左側。

 

 

 

 

 

 

 

 

車高も変に片方だけが下がっていました。

 

 

 

 

 

 

 

原因は恐らく車高調ですが、

そこから漏れたオイルが広範囲に散っていて、

もしかするとブッシュもダメにしているかも知れません。

 

念の為に、音の発生源を探れる道具を使って調べます。

 

 

 

 

 

 

 

原因はやはり、彼の単独犯でした。

 

 

 

 

 

 

お客様がヤフオクで落札して送って来られた車高調。

こちらに交換をして試運転。

気持ちの悪い異音は完全に消えてくれました。

 

 

 

 

 

続いては、ATの変速異常。

ATF油温が上がって来ると異常を来たします。

 

バルブボディが原因でしょうが、

ATFの交換をして直らないかを試して欲しいとのご希望がありますので、まずはそこから始めてみます。

 

 

 

 

 

 

TEXAを繋いで診断をしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このブログを書いている時点では当然結果が分かっていますので先に書いちゃいますが、以上のエラーが立っている場合、

ATFの交換ごときで変速異常は直りません。

 

 

 

ATFを交換するたびに多少の変化が生じるので(残念ながら、交換するたび、試運転するたび悪くなっていきましたが)、ATF交換+添加剤などで、お客様のお財布にやさしい修理がどうにか出来ないかと思い、2回目以降はフリーク負担で交換を繰り返し、結局50リットル以上のATFを使いましたが、症状は改善せず・・・

 

元々節約車検をご希望されていたのですが、

結果としてバルブボディのオーバーホール費用を捻出して貰う事となりました。

 

 

 

まずは、

 

結果として無駄に終わった、ATF交換の様子から(^^;

 

 

 

 

 

 

オイルパンのヒットが酷い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へこみを裏から叩いて修正します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ATFストレーナーも新しく、

オイルパンも綺麗にしてガスケットを交換し、

ATFを既定量充填、そして添加剤もプラス。

 

もう既に書いていますが、走る度に症状が悪化(^^;

 

 

 

こびり付いた汚れがどうにか油圧を保っていたのに、

ATFを交換する事で、その洗浄効果でクリアランスが保持できなくなったのか・・・

 

 

冷間時は何ら症状なく元気に走りますが、

油温が上がって来ると、3速固定になったり、1速固定になったり、

ニュートラルに入ったかと思えば、

突然「ドンッッッ!!!」と物凄い変速ショックを伴ってシフトが変わる・・・

 

 

アイシン製06系ATで多発しているトラブル&症状と全く同じです。

 

 

このバルブボディが装着されている車両が少なくはなって来ていますが、ネット上ではどの様な情報があるのだろう??とふと思い調べてみましたら、出て来る!出て来る!

 

しかも、

ATF交換したら直りました~!とか、

ATの学習をしたら直りました~とかもありますが、

おそらくこれら書かれた方は、後日すぐに再発した事でしょう。

 

 

ネット情報の恐い所は、

 

仮に一時的に直ったかも知れませんが、

恐らくすぐに再発したであろう内容であっても、

その情報が削除や訂正される事は無くそのまま存在し続け、

しかもその情報を信じた方が同じ様に行い、

情報元を引用した形で「直りました!」とネットに掲載し、

そいうった情報がネット上に蓄積して行く事で、

あたかそれで直ってくれると信じられてしまう事。

 

 

 

このニュービートルのお客様には、今後の修理プランを説明し、

当初、中古ミッションへの載せ替えなどのお話しも出ていましたが、

「バルブボディをオーバーホールしましょう!」と進言。

快諾頂けたお陰で、結果完治に至りましたが、

 

 

ネット情報を頑なに信用している方も多く、

「ネットに出ているから、同じ様にしてくれたら直りますから!」

とか、時々言われます。

 

 

逆に、私のこのブログもその一因を担ってしまっている事があり、

 

数年前ですが、

私が書いた、あるブログ記事をプリントアウトした方が県外の整備工場を訪れ、

「エンジンの調子が悪い。全く同じ症状がネットにあったから、この部品を直して欲しい」と言って来店された事がありました。

 

 

しかも、その方はその整備工場さんに、

「原因は同じでない可能性があるから、きちんと診断をしてからでないと作業は出来ません」と、至極当然の事を言われたにも関わらず、

その整備工場さんの対応に対する文句や、

自分の考えがいかに間違い無いかという事を、

今度は私に電話して来られました。

 

 

 

 

こういった事は自動車業界だけに留まらず、

医療業界でも非常に多いそうで、診察する前に、

「症状は〇〇だから、原因は〇○で間違いない。早く薬をくれ!」という患者さんが時々見えられますと、医療に従事されているお客様がお話しされていました。

 

 

ネットに溢れている情報は正しいものも多いですし、

症例と統計からある程度故障部位を絞れる事もありますので、

情報は非常に有効で重要ではありますが、

ネット情報だけを鵜呑みにする事は危険です。

 

私たちも日々勉強し、学び続けています。

故障部位の探求は、私たちにもお手伝いさせて下さい!

 

 

 

 

 

 

 

あと、ネット情報鵜呑みの弊害が他にもあります。

 

 

お客様から「〇〇な症状なので〇〇を変えて下さい!」と言われ、

調べもせず、言われたままを交換する整備士。

 

 

 

「変えてくれと言われたから変えた!」

 

「お客様が原因を分かっているなら、わざわざ時間をかけて診断する必要は無い。故障原因は本当は間違っているかも知れないけど、診断に掛かる費用などを説明したらしたで、診断費用としてぼったくろうとしているのか?等と疑われるし、診断結果がまさにその部品だったら、ほらみろっ!とか、だから言ったじゃないか!などと言われ、診断に要した費用も頂く事が出来ないから、何も調べず何も言わず、そして何も考えず、言われた通りの事をする。」

 

 

 

実はこのパターンも多くなって来ています。

 

 

ここで不足しているのは、お客様とのコミュニケーションです。

 

私はかなり前からインフォームドコンセント(十分な説明と合意)を重要視しています。

 

お客様のご意見もしっかり伺い、

そして私たちの考え方や取り組みもしっかりとお伝えして、

ご理解頂いた上で作業させて頂きましょう!

 

 

自動車整備という仕事、特にその中でも故障探求に於いては、

非常に時間もかかり、技術も知識も必要とされ、

とても大変な仕事だと思います。

 

しかも、分かり易い説明をお客様に行う必要もあり、

最近よく耳にする「語彙力」も重要です。

 

こんなハードルの高い素晴らしい仕事に携われる事を誇りに思い、

もっともっと自身のレベルを上げて行きましょう。

 

折角ステップアップするチャンスなのに、

それを諦めて楽な方に逃げないで下さい。

 

 

 

 

大手整備会社の多くは、効率・回転率・収益率に注力し、

車検整備のみ行う所が非常に多くなっています。

故障修理の様な、時間が掛かるだけでお金にもならない仕事は、

外注している所が殆どです。

 

工場ごとの技術格差は、今後更に大きくなっていくでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

バルブボディを取り外しに掛かります。

 

 

 

 

 

 

 

 

不調の原因となっているバルブボディです。

 

 

 

 

 

 

 

 

AT本体側も綺麗に掃除しておきます。

 

 

 

 

 

オーバーホール完了。

各ソレノイドは全て対策済みの新品に変わっています。

 

ちなみに、バルブボディの新品を供給する事も可能です。

 

 

 

 

 

 

組み付け完了。

 

 

 

 

 

エラーは全て消えました!

試運転を1時間以上続けても、症状もエラーも発生しません!!

 

 

 

 

 

 

 

最後に、フロントナンバープレートの取付です。

 

 

車両中央ラインを割り出し、

ちょうど真ん中にフロントナンバープレートを取り付けて、

全ての作業が完了です。

 

 

 

 

今日から日曜日まで、再び台湾に行ってきます。

今回は、1社とは契約、1社とは顔見せ&依頼事項の伝達の為。

 

ただ、かなり強行プランでして(^^;

時間的余裕が殆ど無く、

朝から夜まで台湾中を移動、

日曜日には早朝便で帰国します。

 

平日準備する余裕が殆ど無いので、

今日は早起きして準備、そしてこのブログを書いていますと、

 

 

 

 

 

テレビで、新しく開発されたタイヤの映像が流れていました。

ミシュランとGMが共同開発し、5年後に市販化予定とされる、

空気を必要としないタイヤで最近話題になっているものです。

 

ダンパー部分を見ると、自己推進力も備えていそうな形状ですね。

燃費に貢献もしてくれそうです。

 

 

 

 

今回の変速不良と異音の修理では、

上記内容も含め以下の作業を行っております。


 ・エンジンオイル交換

 ・オイルフィルターエレメント交換

 ・WAKO'S クーラントブースター添加

 ・ブレーキフルード(DOT4)交換

 ・フロント左側ショック(持ち込み)交換

 ・バッテリー(持ち込み)交換

 ・ATF交換

 ・ATFストレーナー(持ち込み)交換

 ・ATオイルパンガスケット(持ち込み)交換

 ・ATバルブボディ リビルト

 ・SOD-1プラス添加

 ・タイヤ(持ち込み)交換

 ・タイヤエアバルブ交換

 ・フロント廻り板金修理

 ・フロントバンパースムージング

 ・フロントナンバープレート


 


ご用命、ありがとうございました<(_ _)>


 
 <参考データ:車両走行距離  146,500km>

 

※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。

 

 

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