同業者さんからのご依頼で入庫した463です。
お客様からお伺いしているのは、
「時々エンジンが掛からない事がある」という内容だけど、
お預かりしてから数週間経つが、
毎日快調にエンジンが掛かるそうです。
※キーはONになるがスターターは回らない症状です。
ディーラーさんに持って行ったそうですが、
「並行輸入車」という事で、入庫をお断りされたそうです。
原因も分からないし、症状も出ない。
そうこうしている内に、何故かキーレスが効かなくなったので、
それも診て欲しいとの事です。
長く不変のデザインですが、システムは旧式の為、
診断機接続はOBD2ではありません。
エンジンルーム内にある38ピンにて診断をします。
ところが、基本ショートテストは出来ますが、
更に一歩踏み込めるのはメータークラスターのみでした・・・
エンジンやミッションに付いてはフォルトチェックが出来るだけ。
32ビットパソコンは現在お客様にお貸ししている為、
64ビットではここまでが限界の様です。
仕方ないので、読めたフォルトを軸に調べて行きますが、
診断を進めるにあたっても、
最低限の配線図しか無く、装着位置も分かりません。
配線の色が分かる位の資料ですが、
可能性のある個所を重点的に調べて行きます。
コントロールユニットから出ているリレーやヒューズを当たって行きますが・・・、こりゃ、最終的にはユニットかな。
コントロールユニットとCAN通信が出来なかった事がある様なフォルトもあったので。
まずはヒューズボックスを片っ端から。
リレーも同時に点検して行きます。
目視は老眼によりいよいよあてになりませんので、ひとつひとつテスターを当てて行きます。
ちなみに、まだSAMは無い時代の車種です。
メーター裏もチェック。
最後はコントロールユニットに。
各コントロールユニットは、エンジンルーム内の金属のボックス内に収納されています。
ギュウギュウ詰めです(^^;
この場所に収められているユニットはこれだけあります。
エンジン、ATを含め、各コントロールユニットやリレーが詰め込まれています。
フリークでお預かり後も全く症状が出ないので確定は出来ていませんが、一番怪しいし、過去にも同じ様なトラブルを引き起こしたことがあるのが、オレンジ色の大きなヒューズが装着されているコントロールユニットです。
ただ、AT系もこのBOX内に入っていますので、
全て引っ張り出して点検します。
おやおや・・・
これは、
悪評高い「毛細管現象」によるATF侵入ですね。
逆さまにするとボタボタ垂れて来ます。
※ATのユニットは、このシルバーのユニットの裏側です。
手前に見えているシルバーのユニットは関係ありません。
固定プレートから外してしまいましょう。
ATのコントロールユニット内部からATFが・・・
固定しているプレートもATFでベトベトです。
今では「毛細管現象」は有名ですが、
私がこの現象に初めて当たったのは、
ワゴンRが市場投入されて、今風に言うと「バズった」時。
平成1桁台の頃のCT系ワゴンRで、
メーターの裏からATFがポタポタと垂れて来るという症状がありました。
そんな所からオイルが、
しかもATFが垂れて来るなんて絶対に有り得ない!!!
と思っていましたが、
この症状は、スピードメーターとATミッションを繋いでいるスピードメーターケーブルをATFが伝って来て、結果メーター裏から滴り落ちるというものでした。
当時はインターネットなんて無く、
この毛細管現象について図書館で調べた事があります。
今は本当に便利になりました(^^)
毛細管現象を止めます。
ATに刺さっているEGSカプラー。
ここからATFが漏れ出して、ハーネスを伝って来ています。
ソケットは抜いただけでこの状態です。
EGSカプラーを取り外します。
ATFが溢れて来ますので廃油受けは事前に準備。
ソケットも交換します。
レイアウトはこの通り。
ハーネスも掃除出来る範囲はしっかりと綺麗にしておきます。
このカプラーは、刺さった状態では漏れている事が分かり難いのですが、表面がほんの少し湿って来るので判断できます。
つまり、少しでも湿っている場合はこの症状を引き起こしますので、
早め早めの交換が必要です。
非常によく漏れる箇所ですので、部品もすぐ手に入ります。
取り回し&固定もしっかりと。
少し多めにタイラップを使います。
続いてATF油量調整。
このATは、油量調整はオーバーフローでは無く、
レベルゲージでの計測です。
しかし、レベルゲージは装着されておりません。
まずはこのキャップを取り外します。
ロックピンが割れていましたので、少し取り外すのに苦労。
専用のレベルゲージにて計測。
現時点ではLOWレベルより下です。
適合ATFを充填。
油温がしっかり上がった所で計測・調整を行います。
ピッタリMAXに合わせます。
ATコントロールユニットは3日間程逆さまにして放置。
中に溜まったATFを綺麗に排出します。
ちなみに、このATのコントロールユニットは、
もし交換する場合は本国オーダーとなり、
車台番号を組み込んだ状態での納品になります。
ディーラーさんを含む工場サイドで出来る事は「作動開始」指示だけ。
そして価格は約17万円します!
今回、このATコントロールユニットを交換しなかった理由は金額だけでなく、他にもあります。
※以下、ディーラーさん談です。
・同じ様な状態になったATコントロールユニットは数多く診て来たが、ATFが原因で故障に至った例が殆ど無い事。
・過去にあった同様のトラブルでATコントロールユニットに対する対応は、今回フリークで行ったのと同じく、内部ATFを排出する事のみであり、それら経過についても全て良好である事。
・ATコントロールユニットを交換した場合、最悪AT本体とのマッチングがずれる事があり、バックギアに入れても10秒以上シフトが変わらない等の症状は発生する事が多い。
・もしそうなった場合AT本体の交換が必要となりますが、この車両は並行輸入車の為、ディーラーでの発注依頼がかけられない為仕入れ自体が非常に難しい事。
などです。
時々起こるエンジン始動不良は、もしかするとパーキング検知が出来ておらず、クランキングするに至らなかった可能性がありはしますが、その可能性も非常に低い為、今回は可能性の高い部品を追加でもう1点交換します。
それがこちら。
このリレーユニットがエンジン始動不良を引き起こす事が多いんです。
価格は37,000円程と比較的良心的なお値段。
交換に踏み切りやすいです。
現在装着のリレーユニットを取り外し、
バラバラに抜き出していた全てを綺麗に戻してエンジン始動と各所チェック。
ショートテストは出来るので確認。
全てのフォルトが綺麗に消えて再び記録される事が無い事を確認して、全ての作業を終了します。
あ、忘れていました。
使えなくなったキーレスですが、こちらは再度同期設定をすれば使える様になりました。
設定方法は簡単で、
1)ルームミラーに付いているキーレス受信部に向けて、トランスミッターの送信スイッチを2回短く続けて押します。
2)キーを差し込んでONの位置まで回して数秒放置
これで完了!
メインキーとカードキーを付けて貰っていましたが、
メインキーの方はバッテリーも切れていたので交換しておきました。
サービスインターバルも期限切れで、エンジンをかける度に真っ赤な警告文字が出ていましたので、そちらもリセットします。
キーをONに回した瞬間にステリモの上下ボタンで点検警告を表示させます(一瞬しか出ませんが)。
出た瞬間にステリモのRボタンを長押し。
少しすると「リセットしますか?」が出るので、Rボタンを離して再び押せば、インターバルリセットも完了です。
フリークはお盆休みを頂いておりまして、
お休み初日は整備振興会青年部のみんなとバーベキューに行ってきました。
息子は初めての海に大喜び!!!
ジェットを持っているリッチな同業者に感謝(^^)
でも、運転はさせてくれませんでした・・・(笑)
次の日は朝早くから、娘が住む奈良県に、24歳の息子と二人で行って来ました。
1年半ぶりに会った娘は大きく成長していました。
長女は20歳、次女は18歳だけど、
私に似て童顔なのか、とてもそんな年齢には見えません(^^;
それに、私の中ではまだまだ幼かった頃のままです。
一緒に生活して来たけど、少し離れると何故かイメージは幼かった頃に戻っています。
しゃぶしゃぶが食べたいというから、
娘の勤めるシュテルン奈良学園前の人が教えてくれたお店に。
さすが、いいお店をご存じで!
そしてお値段も非常によろしいお値段でした・・・(T_T)
二泊、娘の家に泊まりましたが、
何年振りか、子供達3人と川の字に並んで寝ました。
こんな日が再び訪れようとは・・・
何とも感慨深く、
そして色んな思いもあり、
それに連れてどんどん広がる財布の紐(笑)
遠く離れて住んでいるので普段してあげられる事は少ないから、
たくさん甘えさせてあげようと思ってはいましたが・・・
ちょっと予算オーバーの奈良旅行でした(T_T)
そして松山に帰って来て、
料理はお盆休みも時々やっています。
トマトベースの海鮮パスタ。
具が少ないのは嫌なので、具が大量のパスタです。
うちの奥さんはこの量の倍近いものをペロリと食べました。
授乳しているからカロリーは必要です!!!
お盆休みも残り2日。
ようやく自宅でゆっくり出来る時間が取れ、
午前中はブログを、午後からは2歳の息子が行きたがっているお菓子の量り売りショップに行って来ます(^^)/
まだお盆休みの方は、台風一過の残りの休日を、
有意義にお過ごし下さい!
既にお仕事されている方、お休みではなかった方、
本当にご苦労様です。
少しお休みしていたブログ、再び始動します(^^)/
今回のエンジン始動不良では、
上記内容も含め以下の作業を行っております。
・AT-EGSカプラー交換
・AT-EGSソケット交換
・ATF補充
・EGSユニット(ATユニット)脱着/ATF排出
・リレーユニット交換
・キーレストランスミッターバッテリー交換
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
■作業メカニック - 野間雄司
■写真撮影 - 野間雄司
■文 - 野間雄司
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
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★愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました