トラブル修理-BMW 320i(E91)シフトが入らない・AT不良は本当にAT載せ替えが必要!? | フリークのブログ

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「それって幾らになるの??」にも、明確にお答えします(^^)

E90・E91・E92を含む、6HPミッション搭載のBMWに多い症状です。

全てがこの限りではありませんが、知っておいて損は無いと思います。

 

 

 

 

今回のBMWは同業者様からの入庫です。

 

 

 

 

業者オークションにてBMWを落札されたそうですが、

「AT不良」の文字を見落としてしまい、落札してしまったそうです。

 

落札したE91を運ぼうとした陸送会社さんが早速「症状」に直面。

 

「シフトが入りません!」と連絡が入ったそうです。

たまたまその時は何かの拍子でDレンジに入ったので積み込みが出来たそうですが、これは大変な車を落札してしまった!!という事で連絡を頂きました。

 

運ばれて来たBMWを動かしてみたら、これまたどうにかシフトは入ったので、完全不動車となる前にそのままフリークに!!

 

 

 

 

幾つかフリーズフレームデータが残っています。

 

・4F90 変速比モニター 回路2-1 異常

・4F81 変速比モニター クラッチA 異常

・4F8F 変速比モニター 回路3-2 異常

 

と出ていますが、中でも特に、

 

・4F81 変速比モニター クラッチA 異常

 

このコードなどはこのトラブルで見受けられる代表的なフォルトと言っていいでしょう。

AT内部(正確にはバルブボディ内部)での油圧低下が原因で、シフトチェンジが出来なくなるのが原因です。

 

この症状でディーラーさんに相談された方から聞いたお話ですが、ミッション載せ替えで70~80万円というのが殆どで、一部「バルブボディ載せ替え」で40万円程度というのも耳にしましたが、それで直らなければ結局ミッション載せ替えという風に釘を刺されたそうです。

 

※同じ様な症状という事で聞いた話です。実際のDTCを見聞きした訳ではありませんので、それら全てが直るとは言えません。

 

 

つい最近も、私の作っているグループの方から、

「知り合いの業者さんからの依頼でミッション載せ替えが入ったのだけど、この症状って本当に載せ替えが必要ですか?」と相談を受けました。

結局その方は、今回のこのブログで紹介する部品を交換する事で完治し、無事納車出来ました。

フリークのサイトからも、6HPオイルパンとAT周辺パーツをご購入頂きました。

いつもありがとうございます。


 

このブログで今までも色んな事を書いて来ましたが、

私のところに「手の内を明かすな!」と同業者さんからクレームが時々入ります。

輸入車整備は横の繋がりや情報が非常に重要だと考えていますので、そんなクレームにくじけず出し続けていますし、クレームに負けてこのブログを消したりしません(笑)

 

同業者の方でこの情報を出す事に怒りを感じるのでしたら、恐らくあなたはある程度深い所まで探求される情熱をお持ちの方だと思います。

それなら、私に怒るのではなく、逆に私と繋がりましょう!

今まで1馬力で暗中模索して来た事が、私と繋がる事で2馬力になります。それは私にとっても同じ事で、仲間が増えるだけでなく、故障探求・難解トラブルに直面した時も、お互いの技術と情報の量でカバー出来るかも知れません。

 

そして、正当な修理方法で、正当な費用を頂きましょう。

それがお客様の為にもなります。

 

 

それでは今回の患者さんを診て行きます。

 

 

 

 

あら・・・

エンジンオイル、結構漏れています。

 

 

 

 

 

漏れの原因は、エンジンオイルのオイルパンガスケットですね。

BMW、E系のウィークポイントのひとつです。

 

 

 

 

そして今回のトラブルであるAT。

写真はATのオイルパンです。

 

 

 

 

こちらも少し漏れている様です。

 

 

 

 

ATFクーラーホースの差し込み部分からも少し滲んでいる様です。

今回は圧送交換をする予定では無いのですが・・・

 

日頃お世話になっている同業者さんですので、ここも対処しておきましょう。

 

 

 

 

まずはATFを全て排出。

汚れを確認する為に、比較用の瓶に採取しておきます。

 

 

 

 

真っ黒に汚れています。

 

 

 

 

オイルパンを取り外し。

 

 

 

 

取り外したオイルパンと、排出したATFです。

 

 

 

 

磁石にもびっしりと鉄粉が付着。

 

 

 

 

オイルパンに内蔵のフィルターから流れ出て来たATFはこの汚れ具合。

 

 

 

 

コネクトスリーブのロックを解除して、

 

 

 

 

スリーブを取り外し。

 

 

 

 

バルブボディの固定を解除して行きます。

 

 

 

 

バルブボディを取り外し。

 

 

 

 

今回交換するのはこの部品たち。

全て、フリークのサイトで販売しています。

 

 

 

 

中でも今回重要なのがこのセット。

フリークサイト内で「AT周辺パーツ」として販売している部品です。

ちなみに、4種類のブーツは基本手に入りません。

どうしても交換したいのであれば、日本国内ではミッション載せ替えとなります。

 

 

 

問題のアダプター。

当たり面のガスケットが潰れてペッチャンコです。

 

 

 

 

こちらが新品。

ガスケットの膨らみが全く違います。

こいつが油圧低下を招いた犯人です。

 

 

 

新旧比較。

フリークで販売している部品はもちろんBMW純正のZF製です。

 

 

 

 

ブーツも交換します。

このブーツは日本国内では供給がありません。

これもバルブボディに直結していますので、油圧管理には重要な部品です。

 

 

 

 

4本とも交換。

種類があり、装着位置がそれぞれあります。

 

 

 

 

奥までしっかり差し込んだ状態でも少し頭が出て来ています。

この「出シロ」が、古いブーツでは全く無く、ここの金属面とツライチになっていました。

 

 

 

 

全てを組み付けて完成。

ここから折り返します。

 

 

 

 

取り外しているバルブボディ。

 

 

 

 

 

せっかく外しているのですから、内部に残留している汚れたATFを出来る限り排出し、最後にパーツクリーナーで掃除を行います。

 

 

 

 

バルブボディとブーツとの当たり面には、ブーツが接触していた痕跡が残っています。

この、それぞれの油路とミッション本体をブーツが繋いています。

 

 

 

 

綺麗になったバルブボディを元通り組み付けます。

 

 

 

 

よく漏れるコネクトスリーブは新品に交換です。

 

 

 

 

ZF製ATオイルパンです。BMW純正です。

元通り組み付けます。

 

 

 

 

ATFクーラーホースの接続部からATFの滲みがあります。

固定ブラケットを外すと、漏れている事がよく分かります。

 

 

 

 

クーラーホース先端から取り外したOリング。

 

 

 

 

弊社より「延長ホース」をお買い上げ頂いているプロショップさんへ。

この延長ホースの先端に装着されているSPカプラーを取り外し、

 

 

 

 

弊社販売の「BMW-No3」のCタイプにホース先端を差し込みます。

これで、E90系のATF圧送交換が可能となります。

ただし6HPに限ります。

入庫したE90系BMWのATが「GA6L45R」だった場合。

その場合でも安心して下さい!

弊社販売の「BMW-No4」が適合します。

 

※ 6HPとGA6L45Rの区別の仕方はお問い合わせ下さい。

※ BMW-No3のCタイプは、E系以外にもF系BMWにも適合します。

 

 

 

 

ATFクーラーホースを取り外して、

ATF圧送交換アタッチメント「BMW-No3」のCタイプを接続。

 

なんか、何度も繰り返し言ってると、商売臭いですが・・・

はい、これも商売ですので、お許し下さい。

 

 

 

 

最初に抜けた量を充填し、エンジンをスタート!!

 

 

 

 

そして圧送交換を開始します。

抜けて来るATF(一番右端)、真っ黒です!!

 

圧送交換を続けて行きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで綺麗になりました!!

 

 

 

 

数日間のお預かり車両でしたので、

翌朝、ATF油温がしっかりと下がっている状態から油温を上げて行き、ATFの油量調整を行います。

 

 

 

 

オーバーフローしてくるATFを比較用の瓶に採取。

 

 

 

 

油量調整適合温度になったら、オーバーフローして来るATFが糸状である事を確認し、新品のオーバーフロープラグにてロック。

 

 

 

 

ATFクーラーホースに使われていたOリングです。

調べてみるとこのOリングはHNBRでした。

静的箇所なので全く問題はありませんが、

 

 

 

フリークでは全く同形状同サイズのFKMを在庫しています。

FKMはHNBRよりも耐熱性が高く、耐薬品性に優れている為ATFとは非常に相性が良いです。

ただ・・・、ちょっとお高い。

 

でも、純正Oリングを取り寄せる事を考えるとかなりお安く提供出来ます。

だって、200個単位で購入していますので・・・

「こんなにあって、どうするの!?」と、よく奥さんに詰められます。

 

 

 

 

綺麗に掃除してから新しいOリングを装着。

 

試運転も行い、症状が出ない事、エラーが記録されない事、

そして、この部分のATF漏れもしっかり止まっている事を確認して、全ての作業が終了です。

 

 

 

 

 

最後にATFの比較。

左の真っ黒いのが最初に抜けて来たATFで、

右の赤透明なのが、オーバーフロー部分から抜けて来たATFです。

 



今回の修理ご請求額は、 ¥ ???- となっております。

 

 

ま、一応、業者様からの依頼でしたので金額は伏せますが、

弊社お客様の場合でしたら、

ATFの圧送交換まで行った場合、トータル12~14万円位になります。

(使用ATF量などで幅があります)

 

予防整備でもこの作業は行いますので、

「ATF圧送交換のついでにバルブボディの上も奴もやっといて!!」
と言って下さい。

 

作業は、朝預かれば夕方には出来上がります。

 ※ ATFの油温が非常に高くなる真夏は、仕上がりが夜になる事があります。

 


ご用命、ありがとうございました<(_ _)>

 
 <参考データ:車両走行距離  71,100km>



■作業メカニック - 野間雄司
■写真撮影 - 野間雄司
■文 - 野間雄司



※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。


 

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愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました