新型コロナウイルス感染症に関する調査結果(PCR検査)-1 | こどもクリニック四方山話

新型コロナウイルス感染症に関する調査結果(PCR検査)-1

 


 設問:新型コロナウイルス感染症の確定診断はPCR検査ということを知っていますか


 回答:知っていた81.6%、知らなかった18.4%


 設問の意味:新型コロナウイルス感染症とPCR検査というのは、いつも一緒に出てきます。この設問はPCRという言葉と意味を理解しているのかを判断するためのものです。


 さて、PCR検査とは、一体どんな検査なのでしょうか。少し解説してみたいと思います。PCR検査はポリメラーゼ連鎖反応と呼ばれ、特定の遺伝子領域を複製する技術で様々な感染症の診断に応用されています。


 当院では以前から東北大学微生物教室と連携してPCR検査行ってもらってきました。例えば高熱と咳が続く患者さんがいてインフルエンザ等の検査が陰性の場合には、鼻腔や咽頭を綿棒で擦って検体を採取し大学に送ります。大学ではバイオハザード対策用キャビネット(安全キャビネット)でウイルスを破壊し、遺伝子抽出装置を使って核酸(DNA*またはRNA**)を抽出します。RNAウイルスでは抽出されたRNAを逆転写してDNAに変換。DNAの量はとても少ないので、DNA配列をサーマルサイクラーで増幅します。増幅したところで、目的となるウイルスと同じ配列があるかをカウントします。あるカウント数を超えた場合には陽性と判断することになります。このため前処理、抽出、増幅のため、5〜6時間かかるのです。

 

  


 現時点ではPCR検査は行政検査なので、「帰国者・接触者相談センター」(保健所)を通して、感染症指定医療機関でなければ原則実施できません。


 さて話を戻しますが、新型コロナウイルス感染症の確定診断はPCR検査による間違いがありません。しかしながら検査には特異度と感度があります。この両者が100%であれば問題はないのですが、特異度が低ければ偽陰性(感染しているのに陰性)が増え、感度が低ければ偽陽性(感染していないのに陽性)が増えることになるのです。また生きているウイルスを検査するものではなく、核酸を測定するものなので、ウイルスが死んでいても結果として陽性となることもあります。


 PCRはもちろん現時点での確定診断には欠かせないものであることには異論はありませんが、今後の解説を理解するためにも限界があることも理解してください。

 

(日付時間はF.B.ページに掲載した時点)