新型コロナウイルス感染症に関する調査結果(PCR検査)-2 | こどもクリニック四方山話

新型コロナウイルス感染症に関する調査結果(PCR検査)-2

 設問:ご承知のように軽症者が多く、治療法ありません。それでも検査は必要と思いますか


 回答:必要71.1%、不要10.4%、わからない18.4%


 設問の意味:新型コロナウイルス感染症を診断するためにPCR検査が必要であることは前回解説しました。ましてマスコミではPCR検査という言葉が飛び交っています。となれば必要と判断するのが当然です。また軽症者が多く、治療法がないのにどうして検査が必要と思う人が多いのでしょうか。その意味を考えてもらうのが次の質問です。

 

 設問:必要と答えた方にお聞きします。どんな人を対象にすればいいと思いますか


 回答:症状があって希望する全ての方39.5%、相談・受診の目安に当てはまる人(風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方)28.3%、希望する人全て15.1%、肺炎の重症者(点滴や入院が必要な方)8.6%、目安に当てはまらない症状の高齢者、持病がある人、妊婦(重症化しやすいと言われています)8.6%


 設問の意味:少し見方を変えてインフルエンザを例にあげましょう。新型コロナウイルス感染症と違うことは迅速検査が受けられ、治療法があることです。2009年新型インフルエンザ流行時に、仙台市内小児科医療機関医療従事者136名の感染研究を行いました。その結果は軽症感染者約50%、無症候性感染者(症状がない感染者)約20%でした。つまり約70%はインフルエンザに感染した自覚ななかったわけですから、研究でなければ検査もしなかったはずです。新型コロナウイルス感染症も軽症患者が約80%と言われていて、まして治療法がありません。そうなればPCR検査は本人にとってあまり意味のあることではありません。もちろんPCR検査は別の意味があります。それは感染の広がりを把握することです。

 

 PCR検査の可能な数も考えると、感染している可能性の高い人を優先的に検査することが正しいと考えます。もちろん感染の広がりの把握は大事なことですが、それに目を奪われて希望する人全てに検査しても、陽性になる割合はさほど高くありません。検査数には限界があるので、本当に必要な患者さんが検査できなくなることは避けなければなりません。もう1つの問題は新型コロナウイルス感染症の取り扱いです。現在指定感染症となっているので、陽性になれば症状の有無に関わらず隔離が必要で、現状では入院しなければなりません。症状がなく偶然見つかったのに2週間も入院しなければならないことになれば、それこそ大変です。となると検査数を増やせばいいというものでもありません。

 

 同じことの繰り返しになりますが、PCR検査によって確実に新型コロナウイルス感染症を見つけ出し、重症化に歯止めをかけ、一人でも多くの命を救うことが最も重要な目的です。もう1つは単なる感染の広がりを把握することではなく、クラスター(感染者の集団)における感染経路の特定です。感染者と濃厚接触者の検査を進め、感染者を見つけ出し、感染拡大の連鎖を止めることも重要です。

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新型コロナウイルス感染症に関する調査結果(PCR検査)-1