TBC「サタデーウオッチン」COVID-19(2020年5月号) | こどもクリニック四方山話

TBC「サタデーウオッチン」COVID-19(2020年5月号)

 

 4月25日院長がTBC「サタデーウオッチン」にゲスト出演したことは、皆さんならきっとご存知でしょう。スタジオ出演は15分で、取材と比べると長かったのですが伝えきれない部分もあったので記事にしました。

 まずは顛末からお話ししましょう。放送の10日ほど前、東北放送からクリニックに電話が入りました。いつものように取材の申し込みと思って出たところ、「サタデーウオッチン」にゲスト出演の依頼でした。表面上は冷静を装っていたのですが、心の中では「ヤッタと」声を上げていました。内容は新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)による休校での子どもたちの過ごし方で、アンケート調査のこともしっかりと把握していました。それに加えて不思議な縁もありました。テレビ製作部担当者の名前が一字違いの川村和弘さんでした。私の取り組みに目を向けてくれ、一字違いの親戚のような名前では受けない理由はありませんでした。

 

 インフルエンザやCOVID-19の取材は各放送局から何度も受けているのですが、スタジオ出演は久しぶりです。NEWS愛読者はWeb講演会のことを知っているので、久しぶりということに違和感があるかもしれません。確かにWeb講演会は昨年一昨年と何度も経験していますが、スタジオで収録して生配信するところは全く同じです。しかしながら電波に乗って届くのとケーブルによって繋がるかのには大きな違いがあり、やはりテレビ生放送では緊張感も格段に違って来ます。スタジオ出演が久しぶりというのは、実は東北放送とのお付き合いと関係があるのです。クリニック開業の翌年(1994年)に宮城県教育委員会家庭教育充実事業「すこやかさん こんにちは」の企画運営委員に指名されました。この事業には子育てパンフレット製作部、巡回相談・子育てセミナー部、テレビ・ビデオ製作部、「すこやか家庭」テレホン相談部がありました。その頃からお喋りだったせいか2年後にテレビ放送制作委員長に就任しました。年間6本のうち2本出演することになり、当時アナウンサーだった現市長の郡さんが司会を担当していました。市長とはその後も長いお付き合いが続いています。アナウンサーはいかに上手に講師から言葉引き出すかと、タイムキープでした。いくら講師が話が長くなろうと、終了10秒前には魔法のように終わってしまうのには驚きを隠せませんでした。

 

 前置きが長くなってしまいました、これからが本番です。当日は朝から緊張していたこともあり、余裕を持って家を出て1時間前に到着、すぐにテレビ制作部長、川村さん、そしてアナウンサー名久井さんとの打ち合わせが始まりました。台本はもちろんありませんが、COVID-19による休校の過ごし方として、生活の乱れ、生活上の安全、引きこもりの弊害等について原稿みたいなものを作っていました。打ち合わせでは喋りすぎの感はありましたが、あまり触れられないCOVID-19における子どもたちの問題は伝わったものと思います。さて打ち合わせが終わりマイクを付け、スタジオに入る前にはちょっと気恥ずかしいお化粧です。Web講演会では化粧はしませんが、ちょっと薄暗い化粧室も忘却の彼方のテレビ出演を思い出させてくれました。

 

 いよいよ本番です。テレビとなると緊張すると思う読者も多いことと思います。緊張しないというと嘘になりますが、緊張していることを感じさせないだけなのかもしれません。番組動画を示しますので緊張していたかどうか判断してください。そして名久井アナウンサーの紹介から始まりました。テレビ出演エピソードにしようと思いましたが、やはりCOVID-19での子どもたちの問題について触れないわけにはいきません。ということで話した内容ではなく、より深掘りした私が伝えたいことを記事にしてみました。

 名久井)ここで小中高校の休校が続く中、家庭での子供の過ごし方の問題について専門の先生をお迎えしてお話を伺います。仙台市医師会の新型コロナウイルス感染症対策本部の担当理事で「かわむらこどもクリニック」院長の川村和久さんです。川村さんは小児科医として「お母さんの不安・心配の解消」を理念として、CLINIC NEWS、SNS、Mail Newsなどの情報発信を中心に子ども・子育て支援に長年取り組んでいます。

 

 川村先生)かわむらこどもクリニック院長の川村です。今日は皆さんと一緒に新型コロナウイルス感染症に関わる子供達の問題を一緒に考えいければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

名久井)宮城県では4日、仙台市では6日新たな新型コロナウイルスの感染者が出ていませんが、まず仙台市医師会の新型コロナ対策本部の理事として、現在の状況をどう受け止めていますか?

 

 川村)ここ6日間感染者が出ないことは嬉しいことですが、私はあくまでも一時的なことと考えています。新型コロナウイルスは見えない敵との戦いと考えています。すぐ隣にいても見えないのです。密かに拡大を狙っていて姿を隠しているような、いわゆる忍者のようなウイルスです。県民の皆さんが感染拡大防止にの意識を高く持ち、活動を自粛し3つの「密」を避けるような努力をしていることが、この結果に結びついていると考えています。一度油断をするというか、たがを緩めて仕舞えばより大きな姿になって襲いかかってくるかもしれません。

 

 名久井)一方川村先生は、小児科医として新型コロナウイルス感染症に関して来院する保護者249人に独自にアンケートを行っています。その中のデータでは、県内の小中高で来月6日まで続く臨時休校について「休校することで子供の何が心配か」という問いに対しもっとも回答が多かったのが「生活の乱れ」となっています。先生は、この結果をどのように分析していますか?

 川村)新型コロナウイルス感染症が拡大したことを受けて、休校の影響についてのアンケートを行いました。学校が休校することによって保護者の心配を把握することが目的でした。勉強遅れを心配することがもっと多いと予想していましたが、結果としては生活の乱れがダントツでした。確かに小学生のお子さんが家にいれば、なんでも自由に行動してしまうのは当然のことでしょう。学校というのは小学校入学した後は誰も時間割に従って行動することに関しては何の疑問さえ持つことがありません。つまり時間割が習慣となってその時間通りの行動をとることが身についているのです。ところがお休みの日は時間割がないので、自由意志で行動をしていいように習慣づいているのです。学校が休校になれば、それは全て休日の延長となってしまいます。朝何時に起きてもいいし、勉強はしなくていいし、ゲームや動画サイトなど自分の好きなことさえしていればいいのです。そのため就寝時間が遅くなっても構わないのです。それが生活乱れということになるのです。

 

 名久井)生活の乱れはどうすれば解消できるでしょうか?

 川村)先ほども話したように、子供たちは入学以来無意識の中のルールでコントロールされているのです。ということになれば生活の乱れを防ぐためには、ルールを作ればいいことになります。ただお子さんを相手に、しっかり勉強して、ゲームや動画サイトを見ないようにしましょうとルールを作っても、それは見せかけだけのルールにしかなりません。

 ということで私が考えるのは、家庭時間割を作ることです。ひとつ例を作ってきましたが、学校の時間割と違うのは起床時間、就寝時間が必要と言うことです。後は学校の時間割と同じですが、窮屈過ぎる縛りではすぐに根をあげてしまいます。そこでおやつの時間などを組み入れて、余裕を持った作りにしてあげましょう。

 ここで重要なのは教科ごとの項目が全て勉強ということではないのです。もちろん教科書を当てがっておいて、勉強しなさいで勉強できる子はいません。様々なツールを使って勉強ではなくて、学習させるのです。現状を打開するために様々なツールを提供してくれるサイトもあれば、動画を提供してくれる学校、プリントを配布してくれる担任など様々です。理科であれば公園で花の観察、社会であればお遣いを頼むのもいいかもしれません。ペットの散歩も体育になるかもしれなせん。

 重要なことは勉強をさせるということではなく、無意識のルールにはめ込むというか、自然に嵌っていくということが重要です。休みでも、それをするのが当たり前という意識を芽生えさせるのが目的です。

 夜に道徳の時間を入れたことにも大きな意味があります。この時間は親子のコミュニケーションを取るための時間であり、COVID-19から身を守ることを考えるは道徳であり、感染予防も理解できれば一石二鳥です。さらに宿題は、今日のことを明日につなぐという意味にもなります。これもルールを自然に身につけさせるためのものです。そして土曜日の週の終業式ですが、1週間の区切りとして評価をすることが目的です。できればこの1週間は休みなのによくやったと褒めてあげるようにしたいものです。

 

 最後のQ&A含めて15分出演でしたが、誌面の都合でここまでとします。全体の内容に関しては、Blog「こどもクリニック四方山話」、Facebookページに掲載予定です。

 

 今回の放送でとてもありがたかったことは、テレビ製作部川村さんがしっかりCOVID-19の情報にアンテナを張って、自分が取り組んでいる子どもたちへの活動を見つけてくれたことです。そして番組に招いてくれた東北放送に感謝です。アナウンサー名久井さんには上手に話を引き出してくれただけでなく、「先日の生放送では慌ただしい中の展開になってしまい、もっとお時間を確保出来ずにすみませんでした。先生が開院以来、地域のお子様とお母様に寄り添っていらっしゃること、新型コロナウイルスに関しても、独自のアンケートによるデータをお持ちのことなど、 先生の日頃のご活動が、視聴者へのメッセージとして伝わっていましたら、こんなに嬉しいことはありません。」をいただきました。

 あっという間に終わりましたが、小児科医の想いを伝えることができ、達成感と満足が得られました。お世話になった東北放送の皆さん本当にありがとうございました。

 まだしばらくCOVID-19の脅威は続きます。みんなで力を合わせて、STOP COVID-19 :STAY AT HOMEを合言葉に乗り切りましょう。

 

追:紙面で伝えきれなかった部分はTBC「サタデーウオッチン」COVID-19-2に続きます。

かわむらこどもクリニックNEWS 2020年5月号:PDF