「そして、バトンは渡された」(瀬尾まい子)を読んで | 中学受験国語研究ブログ

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本屋大賞2019を獲得した作品ということで読んでみた。ちなみに、本屋大賞受賞作品、ノミネート作品は中学入試に出やすい。
本作品は二重の時系列で物語が進行する。第一の時系列は主人公「優子」には三人の父親と二人の母親はいるのだが、それぞれいかなる人物かという謎解きである。優子と血のつながりのない二人の父親と一人の母親は、どの人も優子に実の親同様の愛情を注ぐ。「渡る世間に鬼はない」ということわざが想起されたが、いささか現実感にかけるのではないだろうか。
第二の時系列は親が変わること、短大受験、いじめ克服、結婚などに直面して成長していく「優子」の物語である。
最後の優子の結婚の場面では、第一の時系列と第二の時系列が合流し、フィナーレを形成する。
私的には「やや受け」という感じで、圧倒的カタルシスには導かれなかった。
ただ、これは映像化すれば面白いという気がする。三人の父親役と二人の母親役、そして「早瀬君」など映像で見ればかなり面白いという気がする。「森宮さん」役には渡部篤郎なんかどうだろう。「梨花」役は上野樹里というイメージがある。
物語だけではイマイチだが、ぜひ映像化してほしい。
 
さて、残念ながら、入試的には出しどころが少なく、来年度入試に出まくるということはなさそうだ。
強いて言えば、p73~p83のいじめのシーンか?
あるいはp113~p118もある。p113の「萌絵は肩身が狭そうな顔をしていて、史奈も『面倒な相手に目をつけられたねぇ」と言いつつも、墨田さんたちの前では私と距離を取った」という、いじめの対象者の仲間とは思われて、自分までいじめられたくないという心情は中学受験でも頻出だ。
または、p259~p269の短大入試~合格の場面もありうる。受験生に受験の場面の物語を読ませるのはスパイスが効き過ぎか。
 
#そして、バトンは渡された #瀬尾まい子 #2020年入試予想 
#本屋大賞2019
 
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