本の方の感想はhttps://ameblo.jp/mk9aa7m2-64/entry-12476562521.html?frm=theme
でも書いたが、今回は映画の方の感想です。ちなみに本の方は2019年度栄東東大コースⅠで出題されました。
結論から言えば大傑作ではなかろうか。観終わったとき心の底から「栄伝さん、よかったね」と思ってしまった。「栄伝亜夜」を演じた松岡茉優にブラボー」!!
物語では最近はやりの多層構造とでもいう構成である。鬼才「風間 塵」の物語、母を失ったことで音楽家としての自分を見失っている「栄伝 亜夜」の物語、文句なしの天才「マサル・カルロス」の物語、社会人として「生活者の音楽」を目指す「高島明石」の物語という四つの物語が交錯する。そして、それぞれの登場人物が影響を与え合い、己を高めていくという物語である。
だからこそ、物語として面白い。映画でもそこは見事に再現されている。
思えば音楽の世界は厳しい。ほんの一握りの天才だけが生存を許されるのが音楽家の世界である。そして、音楽における天才とは、音楽に満ち溢れるこの世界において、音楽を奏でることが許される存在なのである。天才の世界と一般人の世界の違いについても「高島明石」の視点で考えさせられた。
そして、我々は天才ではないゆえ、その劣等感、嫉妬心から天才を強く求めるのである(斉藤由貴が演じた「嵯峨三枝子」のセリフ。嵯峨三枝子は個人的には故人となったが「中村紘子」を連想した)。
鹿賀丈史も久しぶりに見た。当初は気難しいそうなイメージだったが、コンテスタントの演奏終了後は、とびっきりの笑顔を見せることで演奏のすばらしさを見事に表現していた。
音楽も聴きなれたモーツァルトやラフマニノフ中心ではなく、プロコフィエフやバルトーク中心なのも新鮮である。
国語が苦手な小・中学生は、この映画を観てから小説を読むのもありだと思う。
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